胸鎖乳突筋

胸鎖乳突筋の機能

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胸鎖乳突筋について考察してみたい。臨床にてみているとこの胸鎖乳突筋の役割は鎖骨を持ちあがる機能ではないことがわかります。起始と停止を考えると乳様突起から鎖骨および胸骨柄についています。筋肉が収縮すると鎖骨が持ち上がるか、頭部が屈曲することになります。しかし本来の働きは回旋と屈曲にて最も働くようにできています。確かに頸部の回旋筋というのは具体的には無い?かもしれません。上位頸椎の後頭下筋群はありますが、分節的な繋ぎとめとしての役割はありますが大きく動かすためのモーメントを発揮できるわけではない。ということは胸鎖乳突筋にて頭部を大ざっぱに回旋モーメントを与え、その軸に上位頸椎が追随していく。よって環軸椎はむしろ構造的にくるくると回っているコマのような構造といえるかもしれません。その軸がずれないように靭帯や後頭下筋が留め金として働いているといえるかもしれません。また後頭下筋はメカノレセプターが豊富であり、ちょっとして頭位の変化やズレも察知して上位にフィードバックしています。
 前置きが長くなりましたが、実際には胸鎖乳突筋は鎖骨の挙上や頸椎の屈曲運動において過剰に働いているというか、本来あってはならない役割にて働いていることがあるのです。頸椎の屈曲運動は主に斜角筋や椎前筋によって行われます。胸鎖乳突筋も走行上関与はしますが起始は側頭骨でありあくまで頭部の誘導に関わります。ここで乳様突起に近い繊維が過剰に収縮すると、既に頸椎の屈曲モーメントとしては前後への移動が入ってしまっています。綺麗な軌道を頸椎と頭部のカップリングにて頸部頭部のお辞儀運動が遂行されるのですが、これが前後の特に前方へのトランスレーションが働くと途端に胸鎖乳突筋と斜角筋は本来の目的を達成できないままに頸部と頭部の位置を中心に保持するための留め金となって硬く収縮してしまいます。

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あくまで頸椎の屈曲に働くのは斜角筋ですが、こおも硬く収縮してしまうのはNGです。本来筋肉は外力などが加わらない状況で普通の関節運動をするならば、適度な筋緊張にて遂行するべきなのです。硬く収縮することを目指すと筋肉本来の機能性を失ってしまいます。
 よって胸鎖乳突筋は頭部頸部屈曲においては浅層も深層も硬くならないこと、そして呼吸においては鎖骨を挙上させないことが不可欠です。胸鎖乳突筋と斜角筋の特殊なところは関節の運動としても働きますが、呼吸における働きもあるということです。頭部頸部の運動と呼吸補助、この両輪を両立させることの役割を担っている特殊性があります。胸鎖乳突筋は鎖骨の軸回旋という役割を担っています。決して胸骨柄を逸脱して挙上することではありません。また肩甲骨が挙上に伴い鎖骨が挙上するときも、あくまで僧帽筋や肩甲挙筋がメインであり、ここで頸部の伸展に伴う顎の前方突出などの動きを出さないことが大切です。とにかく胸鎖乳突筋は鎖骨を動かすことではなく軸回旋を鎖骨下筋とともに行うのです。鎖骨下筋は鎖骨のstabilityに関与しています。起始が鎖骨の外側底部から第一肋骨の内側上部ですので、第一肋骨に対しての作用というよりも鎖骨を胸骨へ押し込むような力が働くものと察せられます。つまり長軸上の軸を安定させるということです。そして軸の安定とともに胸鎖乳突筋が軸回旋を担うということです。上方回旋した鎖骨は鎖骨下筋の作用にて元に戻されるという連動性です。
 よって呼吸における胸鎖乳突筋と斜角筋の役割分担としては、吸気にて鎖骨を安定させ斜角筋にて第一肋骨および第二肋骨をpaump handle motironを誘導します。呼気にて斜角筋が弛み肋骨が下降します。吸気においてはどうしても肩で息をするパターンがよく見られますが、この肩の挙上は鎖骨への求心性の軸安定にて抑制できます。前鋸筋などの肩甲骨のstabilityに関わる筋肉ももちろん重要ですが、鎖骨のコントロールこそが上位の胸郭の機能的な働きを助けるのです。胸郭は呼吸のみならず四肢の運動にも大きく関与してくるのですが、まずは呼吸機能としての働きを促がすことで自然に運動につながってくるのです。胸郭のアプローチは運動と呼吸の両輪からみていいくことが大切なのです。
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