前鋸筋

肩の運動連鎖~前鋸筋の威力

運動連鎖道場in南魚沼後期課程も第二回になりました。5月21-22日の両日での開催です。今回のテーマは上肢肩甲帯ー頸部になります。前回は胸郭体幹でしたのでその流れになっています。肩関節は今も理学療法のなかで最も難しいテーマとなっています。セミナーも増えたにもかかわらず肩関節のセミナーは足りない状況です。何故なら、話ができる人が少ないのと内容としてトピックスが少ないからです。従来のものでも十分勉強はできますし、吸収するべきものは沢山あるのですがコンテンツが足りないのです。つまりどうも自分の力不足もあるにせよ、セミナーでレクチャーされる内容は基本であり、前提として知っていなければいなけいことばかりなのですが、そのれに比例して良くならない結果がでないという特徴があります。下肢の場合は体幹などと絡めればかなり比例として良くなるのですが肩関節は勝手が違うということなです。文献も書籍もセミナーも出たければいい話は聞いたければということになります。結果として言えることは既存の肩関節に対する理学療法で十分でないということなのです。よくならないのは自分の力の無さのせいか?普通はそう考えます。この講義を聞いてセミナーを受けてもやっぱり良くならないのは自分の技術の無さだ。理解の足りなさだと考えるのはごく普通のことです。しかし、下肢や体幹の理学療法に比べ効果がでにくい、もしくは難渋する例が多いという印象なのです。
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浦佐駅の直ぐ近くの会場。本当に交通の便は抜群です。

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棘上筋のエクササイズは親指を上下どちらを向けるかは人それぞれです。棘上筋を触診し収縮を感じながら外転エクササイズを行います。その角度と強さそしてエリアは個別に設定していかなければいけません。棘上筋も含めあらゆる筋肉は個人差があり、その横断面積や走行なども微妙に違います。
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 特に肩甲下筋を触診しているとわかりますが、本当に個人差があります。無いのかなと思うぐらいに薄く奥の方に触知できることもあれば、分厚く大きいく上腕骨頭を覆っていることもあります。方が強い!と野球の世界で言われているその心は肩甲下筋の分厚さと面積ではないかと思います。肩甲下筋が薄く小さいとcocking phaseにて遠心性の制動がでないものと思われます。

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その時の手の形はサムアップに親指を立て、小指を小さく丸めこみます。肩関節が安定するのがわかります。

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大胸筋と上腕二頭筋長頭腱。大胸筋の胸骨繊維の表層部エッジ部分がスジのように硬くなっていることがあります。過剰に大胸筋を使いすぎた肩の使い方により線維化してしまったものと思われます。このように組織レベルで変化してしまったかのような繊維においても、関連性のある筋肉を刺激するとあっという間に弛んでもとの筋緊張に戻ることが多々あります。確かに二点療法ではないですが、発生学なのか機能的なのかはわかりませんが単に運動学的・解剖学的な観点だけではない結びつきがあるものと思われます。

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前鋸筋の触診と評価。前鋸筋は肩甲骨の外転および内転両方において働きます。protractionとretractionです。protractionは前鋸筋の働きであることは間違いありませんが、retractionにおいても大切なのです。宗形テクニックにおいてもretractionが肩のアライメント補正のためのテクニックとして紹介されているように、そのメリットは肩甲骨の挙上を抑制するこができるということです。肩甲骨の挙上位は僧帽筋の活動を伴い従来の前鋸筋による肩甲骨のprotractionを妨げます。
 では前鋸筋の何がそんなに大切なのか?
前鋸筋には肋骨にしれこしイチジクの葉っぱのように手を広げています。他の筋肉とも少し違った特色というか形状ですよね。脇腹を覆うわけでもなく手のように張り付いているというものです。この手のように張り付いていることに意味があると思われます。
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つまり前鋸筋の繊維方向は四方八方に伸びているということです。一般的には筋肉の繊維方向はある一定方向を向いているのですが、この前鋸筋に至っては五本の指を目いっぱい広げたようになっています。つまり、肩甲骨のあらゆる角度変化にも対応できるようになっているものと推察されます。
 実際に各繊維を触ってみると上部の前鋸筋は働いているが中部が働かない、もしくは下部が働かないといったことがよく見られます。各々の繊維方向から考えると上肢が挙上位の時は上部繊維が働くものと思っていたのですが、必ずしもそうでもなく上肢挙上において下部繊維の役割が必要だったりと、どうやらもう少し前鋸筋に対する考察が必要なようです。この前鋸筋を促通するのには働いてない繊維を刺激することになります。単に触っているだけでもいいですし、促通しやすい上肢の肢位を見つけます。また働いていない繊維は大概その部位の肋骨が変位していることが多いので関節や骨に対するアプローチを組み合わせる方がいいようです。
 この前鋸筋繊維を全体的に促通できると、腕の伸びや腋下の筋群の伸びは全然違います。
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さらに前鋸筋は水平内転筋時の胸郭ー肩甲骨ー肩関節の連鎖にも関わってきます。
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肩甲骨が挙上しながらの水平内転。これでは前鋸筋はきいていません。
 
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