運動連鎖アプローチ研究会記念大会

運動連鎖アプローチ研究会記念大会 

講師陣からのメッセージpart1
矢田部英正先生
「身体技法とは生活そのものである」

 5月3-4日に神奈川県の相模原市橋本で開催される記念大会が間もなく開催されます。そうそうたる講師陣の先生方にメッセージをいただきました。その道の極めた人であるからこそ、それは普遍的に応用がきく真理に到達するのです。ノーベル賞をとるような科学者には思想があります。ノーベル賞をとるような偉人の場合、その道だけを極めたいわゆる職人的な方が多いのかなと思いきや、文化や歴史、芸術における造詣の深さ驚くことがあります。政治や哲学などにもしっかりとした考えを有しており、教養の高さに驚くことがあります。真理を探究するということは、そこから導き出される法則は実は森羅万象につながるのかもしれません。文化や芸術や歴史に造詣が深いことが、例えば理学療法にどう関係があるのか、もしくはどう応用できるのか、どのような良い影響を与えるのか?そこに医学的な専門性を学ぶ以上の必要性があるのか?そう思ってしまいますが、数学であっても物理であっても、その原理を探求するということはその根底に流れるものは実は政治であっても生き方であっても普遍的な法則に行き着くのです。落合監督が民主党の混迷ぶりをみるにつけ「戦う相手をまちがってはいけない」とコメントをしたことがありました。内部でお互いを批判しあい、そして党派の中で離脱をほのめかすような現状をみかねての一言です。勝負しての大局を見ての読みです。政治のプロであるはずの政治家がよってたかってこの現状ですので、必ずしも政治のエリートが時流のかじ取りをできるわけではないのです。永田町のことに精通しているとかは当然政治家のほうが上ですが、だからといってリーダーとしての資質とは別です。スポーツ・芸術など探求するということは宮本武蔵のように、文武両道そして生き方の心構えといったことに五輪書で述べるに至るのです。

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武蔵野身体研究所 日本人の身体技法について造詣が深い、矢田部英正先生のオフィスになります。

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昔ながらの家屋をそのまま居宅そしてオフィスとされています。そこには自然と日本人のあるべき身体技法が培われます。道具そして家屋、家具その全てが文化であり、その文化の違う調度品や家屋、着物や食器そのものが身体技法につながってくるのです。自らの身体の使い方、そして道具にあわせて身体技法というのは発展してくるのです。
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決して煌々として明かりの中ではありませんが、自然光を取り入れた和の空間がそこにはあります。精神性や心の在り方など、この空間によって培われるところが大きいと改めて感じました、神社仏閣のなかの凛とした空気、古民家に足を踏み入れた時の落ち着きと懐かしさ・・・我々の中に流れる日本人として脈々と受け継がれてきている身体技法が呼び起こされるからかもしれません。デザイナーが設計したビルや公共の施設など、見た目の凄さや圧倒感などはありますが、そこに風流やわびさびはありません。日本は電飾で街が煌々としており、いわゆる知覚への刺激の強さをドンドン増長させていました。映画でもハリウッドの派手さに比べて日本映画の間で魅せる違い。最たるものがホラーものの、ダイレクトにエイリアンがでてくる洋ものと違い、日本の怪談ものの怖さは違います。想像させる・・そこに日本の技法があります。
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矢田部英正先生のご経歴は器械体操選手であったというバックボーンに、さらに身体技法についての歴史的な検証そして整体やあらゆる身体操作についての探求の後に行き着いた、文化に根ざした身体技法を提唱されています。日本人の座り方の歴史的背景はなんなのか?そんなところまで調べ上げる人はほとんどいないと思いますが、そこに仏教や神道などがどう絡み合って今に至っているのか・・目から鱗の話が山ほどありました。現在は大学の講師と執筆などを通して発信しております。
 またイスやコップなどあらゆる調度品を自ら工房で作製されるという、誰も真似できない分野を確立されています。このコップもオール木材で作製されており、自然に持つ手の角度や指などの機能的肢位になってきます。そして香りや口に自然に注ぎ込まれるコップの縁のカーブなど、そのどれもが道具を通して身体技法が規定されてくるように設計されています。まさに道具によって日本人としての身体技法が培われてくるのです。この木の重さが身体全体の力を抜き、その温かさが心に滲み、その木の器と調和した香りが我々に流れる三丁目の日本の懐かしさを思い出させるのです。
 
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コップを把持し身体技法を解説する矢田部英正先生。手の持つ角度、腋の開き方、コップを口元に運ぶ軌道、操作する姿勢や軸など道具を通じて文化が身体技法が形成されてくるのです。コーヒーカップではこのような身体技法にはなりません。
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ヨガの太陽礼拝(スーリヤナマスカーラ)を表現している調度品。一本の凛とした天と地を結ぶ身体感覚が呼び起こされます。
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立ち方の身体技法について解説そして実践される矢田部英正先生。
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手を合わせる行為の効能はかねがね感じていますが、立ち方座り方、そして生活動作について多くの研究と長年の探求、そして論文執筆などを通してその意味を歴史的な経緯を解説してくれます。
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自らの工房で作製された椅子が見えます。木の優しさは勿論ですが、身体を包み込むような心地よさがあります。解剖学的な機能性だけでなく、そこは人が生活の場として欠かせないアイテムである椅子を心地よさという心理的にもサポートするものでなければいけません。オーダーメイドとしても作製されており、まさに自らの身体技法を生活という場に落とし込むことを実践されているのです。多くの生活必需品としてのアイテムがまだまだあるようで、それはリハビリテーションが掲げる生活に根差したサポートそのものです。特に作業療法士の方々は必見かもしれません。矢田部英正先生はスポーツと生活という身体技法をしっかりと分けて考えられており、身体技法つまり技術が不可欠であると説かれてます。今回の運動連鎖アプローチ研究所part50を通して、私自身もおそらく5年越しの待ちに待った矢田部英正先生の講演を楽しみにしています。また是非、個別にもゼミをして頂ければと考えています。学術的な歴史的な知見とそして自らの身体技法の実践、さらには道具や家具などのマッチングなど、そのどれもがリハビリの世界では初公開となるものばかりです。参考図書が多数ありますので、是非ご参照ください。

矢田部 英正(やたべ ひでまさ)

所属
武蔵野身体研究所 info@corpus.jp

プロフィール
1967年東京生まれ。武蔵野身体研究所主宰。筑波大学大学院修了 体育学修士。学生時代は体操競技を専門とし、全日本選手権等に出場。選手時代の姿勢訓練が嵩じて日本の伝統的な身体技法を研究する。国際日本文化研究センター研究員を経て、文化女子大学大学院にて和装と身体のかかわりを研究し、博士号取得(被服環境学)。姿勢研究の一環として1999年より椅子の開発に着手。デザインレーベル「コルプス」を発足する。身体を軸とした「物づくり研究」は、椅子、服飾、建築と広い守備範囲をもつ。東京女子大学, 武蔵大学 非常勤講師。

著書
からだのメソッド~立居振舞いの技術 バジリコ出版
たたずまいの美学~日本人の身体技法 中公叢書
美しい日本の身体 筑摩新書
椅子と日本人のからだ 晶文社

学位論文
和装の起居様式に関する身体技法論的研究



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