胸骨

胸骨の運動連鎖

 胸骨の運動連鎖と題して記事を書きたいと思います。なんだかマニアックな部位にフォーカスをあてることが多いですが、ここまでくると単なるマニアかもしれません。分析やメカニズムを解明することへの興味は実は臨床ではなく研究者的な思考ですね。胸骨は胸骨柄と胸骨体そして剣状突起に分かれます。wikipediaなどを読むと胸骨は腸骨に次いで造血器官としての役割を担っているようで、なんと血液の20~30%は胸骨で作られるそうです。この事実をもって臨床的に何か理学療法で変わることはありませんが、今後腸骨とともに注目しておきたいと思います。
250px-Illu_thoracic_cage.jpgwikipediaより転載

 さて本題の胸骨の運動連鎖アプローチですが、以前より胸郭~肩甲帯あたりを探っていく中で胸骨の存在はちょくちょく出てきていました。まだ明確になっていなかったこともあり、その本当の役割や周りとの繋がりについては私の中では完成していませんでした。このほどその実態が少しわかってきましたので報告します。2月の18-19日に大阪の元気創造センターにて胸郭をテーマにセミナーを開催しましたが、その時に資料をまとめていくなかで、久しぶりに胸骨と対面して考える機会が与えられました。以前は注目していたことも、改めて振り返ってみると忘れていたこともあり、つくづくその都度記録をしておかなければもったいないことになってしまいますね。

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ホワイトボードにて解説した胸骨の説明(元気創造センターにて)

胸骨を臨床上見る場合は大きく分けて二つあります。一つは呼吸機能としての籠を整えるため、そして正中線を整える場合です。
胸骨の機能1:呼吸機能としての籠
まず胸肋関節部と横肋関節を触診しそのズレをみます。いわゆる変位のある部位は圧痛がみられ、触っていても凹凸が感じられます。肋骨の変位の表記はよくわかりませんが、取りあえずおじきの前屈方向は前方回旋、そして起き上がりの後屈方向は後方回旋とします。肋骨は本当に一本変位していても呼吸における胸郭の動き全体に影響を与え、その結果一本の変位を改善するだけでも大きく自覚的に呼吸のしやすさを覚えます。また胸肋関節部位の変位は必ず背面の横肋関節部位においても何らかの変位が認められ、アプローチにおいては同時に触ってアプローチをすると効果的です。
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肋骨は前後から触診して評価。まず深い呼吸をしてもらい大まかに上下左右のブロックに分けて動きの悪い区画を選定します。そしてさらに局所を探っていき、問題肋骨を明らかにしていきます。アプローチは呼吸を利用するならば、仰向けで腹側背側にターゲット肋骨を触診し軽く挟み込みます。そして自然に何度か呼吸を繰り返してもらえれば元に戻ってきます。もちろん変位方向を同定し、矯正方向に軽く誘いながら待ったほうがより効果的です。ただし他動的に元に戻すということではなく、自然な作用を利用して全体的に統合していくというコンセプトです。
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ホワイトボードにもあるように胸骨はいわゆる籠にハマっているのです。つまり瓦がはめ込まれている構造なのです。小舟が水面にゆらゆらと浮かんでいるように、波に寄って傾いていることもあります。まさに提灯のような籠状の胸郭は決して綺麗な均等な円筒形をしているわけではなく、肋軟骨にて胸骨と付いているようにとても柔軟性に富み、というより柔軟性に富むことが進化の中で求めらてきた部位なのでしょう。胸肋部位をみていくと胸骨体が肋骨の籠の中で沈んでいる部位と浮いている部位がみてとれます。その浮いている部位から角度を定めて押圧すると沈んでいる部位が戻ってくるとイメージして軽くトンと叩くように押します。その後に呼吸をしてもらうと胸郭全体のふくらみが違ってくるのが実感できます。胸郭は柔軟構造になっているので、小石を投げ込むと水面に波が広がっていくようなそんな刺激を胸骨体に与えます。

正中を司るセンサーとしての胸骨
 そしてもう一つの機能は正中を司るセンサーとしての胸骨です。胸骨は以前からC7と同時に触知すると連鎖があることはなんとなくわかっていました。またC7は肩甲骨のアライメントというか動きと連鎖があることも気が付いていました。しかしそのどれもが単発的な発想でしたので結びつくことはありませんでしたし、それ以上発展することもなく長らく埋もれていたのです。C7というのは頸椎回旋ー肩甲骨連鎖の重要pointとして存在しています。C7は触診するとわかるのですが、とにかく確実に変位していて尚且つ硬く固まっているように感じることがとても多いのです。宗形テクニックにおいても重要視されるC7はいわゆる横にズレやすい椎骨なのです。その肩甲骨との関係を胸骨から紐解いていくと、まず鎖骨が胸骨柄と連結されています。鎖骨を介して肩甲骨が胸骨とつながっており、その鎖骨は胸骨柄に連結されています。胸骨はよくよく考えると不思議なことに胸骨柄と胸骨体とわざわざ分かれているのです。そこには何らかの意図が感じられます。動かなくてもいいのなら一つの骨で良かった筈なのに、すこしばかりの遊びを許しているのです。胸骨柄はよくみると胸骨体と整合性をもって接続されているわけではなく微妙にズレテいるのです。そのズレは肩甲骨の変位ととても相関がありそうなのです。唯一鎖骨にて繋がっている肩甲骨の根元がズレテいては、既に運動軸がズレテいるということになります。よって肩甲骨の細かいstabilityというか胸郭肩甲関節のフィット感を高めるためのモニタリングとして胸骨柄は使えそうなのです。剣状突起も何故あるのかよく知りませんが、尾骨と一緒で何らかの名残なのかもしれません。いずれにせよ尾骨は骨盤底へのアプローチにて欠かせないアイテムですので、剣状突起も正中を司どる重要な羅針盤の働きをしているのかもしれません。現在はbi-latearalを補正するためのポイントとして胸骨は欠かせない部位となっています。左右対になっている部位は、そのバランスによって平衡を保つセンサーとして脳に情報をfeedbackしているのでしょう。体幹の正中を感覚と司る重要な部位として存在する胸骨を是非着目してみてください。

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Re: タイトルなし

山本尚司
> 急に胸が痛くなり病院に行きCTをとったら、胸骨柄と胸骨体の間が離れていてギザギザになってました。運動は色々してるのですが、どういう運動をすれば、この部分が削れて擦りへってしまうのでしょうか。いまは安静にうごかさないようにするしかないのです。

おそらく胸骨柄は肩甲骨と深い関係にあるので、肩甲骨の不安定性が関係しているのではないでしょうか?そしてC7ですね。C7および胸骨はセンターを正中軸を司るセンターのような働きをしています。いずれにせよキーは肩甲骨ですね。

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