scapula stability

Scapula stability とNeck alignment

 2月19-20日二日間、大阪の元気創造センターにて運動連鎖研修会が開催されました。元気創造センターは何度かお邪魔してセミナーを開催しています。理学療法士の植松先生がオーナーで、介護保険サービスも併用している会員制の治療院です。最近ではセミナー開催も定着して大阪では知名度が上がっている施設です。しかし、手広く理学療法士のアイデアにて展開している治療院などは本当にスタッフの活き活き度が違いますね。例えば年棒性を敷いている病院があります。普通は固定給で働きによって給料が変わることはほとんどありません。しかし、稀に年棒性を敷いているところでは、眼の色が違います。なんといっても年に10万や20万上がるというのは理学療法の世界では考えられないことだからです。これだけ結果を実績を残したのだから、当然その対価をもらうに値するという自負が新たなチャレンジを生みます。こなすことではなく、新しい企画展開することが標準となる環境は人を自然に向上心に駆り立てます。ノルマをこなすという環境では理学療法士の意欲が湧かないのは明らかなので、理学療法士がオーナーや理解のある経営者のいるところでは、資本主義の原理に則って方針をたてていきます。業務外の仕事が余計な仕事と思うか、さらなる自らのスキルアップにつながると思うか、3年後、10年後に何らかの差がでるおは当然の理です。それは学生時代の頭の良さなどとは関係ない、あくなき向上心が成せる技なのです。
 さて、今回のテーマは「胸郭と脊柱」です。体幹がどうやら理学療法における身体機能を語る上での幹になりつつあるなかで、またまだ多くのクリアーしなければいけない課題があります。実は理学療法における身体機能の幹がないのです。哲学とも理念ともいいますが、基本的動作能力や身体の使い方などの形容は身体機能の真髄というには弱すぎます。キャッチフレーズとしてはいいのですが、具体的な方略が見えてこないのです。いったいどのうようにその理念を追求するのだろうか?ということです。どのようにして基本的動作能力を会得させるのか?その手法は?ということになります。そこで体幹機能を高めるというと、少し近づいたように思えます。しかし、体幹機能を高めるといっても、これがまた言うは易し、具体性が欠けるのです。腹横筋と多裂筋を促通すれば我々の理想とする身体機能に到達できるのか?といわれればそれはNoでしょう。なぜならば体幹機能そのものは、理学療法の専売特許でも何でもないからです。スポーツ現場、トレーニングやレジスタンス、インストラクターの世界でも、いくらでも言われていることです。体幹の何をもって機能的というのか?その歩みは始まったばかりです。まだ何にもできていないのです。 ということで、今回のテーマは胸郭と脊柱です。依頼される仕事は私がテーマを決めるわけではないので、かえって要望されたことについてまとめる作業にて新たな発見があることが多々あります。私の場合は依頼されるテーマがまちまちなので、その都度構成しなおさなければいけないのです。専門が運動連鎖アプローチですから頭の先からつま先までがテーマの対象になります。本題に入りますが、胸郭の柔軟性もしくは胸椎の柔軟性は体幹をみていくなかで必ず避けれは通れないところです。とくかく可動性がない硬いという印象を持っている人は多いと思います。そしてこれがなかなか軟らかくならない。不良姿勢の大半はこの胸椎から首あたりのアライメントが不良姿勢を司っています。このあたりのヒントは脇元 幸一先生が胸椎のフラットから始まる脊柱カーブの破たんについて述べておられますし、宗形先生はアプローチのなかでisometricに脊柱起立筋を促通することで姿勢の改善を促がしています。マッケンジーでも伸展動作の反復により不良姿勢の改善を目指しています。もっとタイムリーな胸郭についての理論がないのか?運動学的な解剖学的な観点からの、理学療法士が慣れ親しんだ手法での解説は無いのか?我儘な我々はそのように考えていしまいます。つまり教育された考え方というものが既に染み込んでおり、その延長線上に理論を展開したいと思うのが人間の常だからです。よって急に全く違く世界から新しい理論や哲学が飛び込んできても、どうしても腑に落ちないのです。つまりカイロプラクティックやオステオパシーから最近はどんどん新規な考え方が入ってきてはいますが、結局は理学療法の王道にとって代わることは永遠にないのです。理学療法の文化という王道があるからこそ、方向性の違う視点が引き立つのです。政治でいうキャスティングボードと同じことで、小さな政党が最後のジョーカーとして過半数を満たすカードとなるようなものなので、上手く時流に乗れば席巻しますが、やはり大きな政党に最後は原点回帰してくるのです。
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一般的な抵抗下における肩甲骨のstabilityのチェックです。よくみらるのが外旋抵抗における下方回旋などです。しかしよく観察すると肩甲骨の上中下部に分けてstabilityの欠如を確認することができます。 

 胸郭のmobilityのためには肩甲骨のstabilityが欠かせません。つまり胸郭を取り巻く筋群が緊張していては関節や骨は滑らかに動かないからです。肩甲骨がいかに胸郭と関係しているかは菱形筋や前鋸筋、僧帽筋などをみてもわかります。ですから今回の実習では徹底的に肩甲骨のstabilityの高め方ということに一日を費やしました。そして半日を呼吸や肋骨や胸骨についての講義です。結局、脊椎は時間がなくてできませんでした。
 話せば相当長くなるのですが、まず胸郭の上から見ていくと第一第二肋骨があります。これは斜角筋が付着している肋骨であり、鎖骨の溝と言いますが上から触診できます。斜角筋はまたこれはtightnessになりやすい筋肉であり、誰もが左右差を感じます。この原因としては呼吸器疾患などでみられる、肩甲骨を上下させながら呼吸するパターンにおいて斜角筋が硬くなります。呼吸補助筋を使いすぎて硬くなっているという考ええ方もできますが、実際のところは使いすぎなのではなくて呼吸時に使われていないから硬くなっているのです。正しくは肩甲骨は定位置にて斜角筋を使って第一第二肋骨を引き上げる作用が働いていなければいけないのです。斜角筋の起始と停止は頸椎から肋骨ですので本来は肋骨をpump handleに作用させることなのです。この機能が肋骨に使われずに首の固定にてとってかわられることで硬くなってしまうのです。

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第一肋骨を触診しながら斜角筋の作用にて動きがみられるかを評価する。また意識して促がすことで肋骨を上下さに促通することもできます。

 また以前、顎の項でも述べましたが肩甲舌骨筋を短縮させるように肩甲骨をやや前傾外転させることで斜角筋の緊張は見事に落ちます。ということは頭と体幹が前後に離れていると顎が挙がり斜角筋は固定に入ってくることがわかります。顎を引く動作で実は頸部の筋肉はそれほど硬く収縮しないのです。舌骨上筋は確かに硬くなりますが、胸鎖乳突筋や斜角筋は触診すると筋腹は盛り上がるので確かに収縮していることはわかりますが、筋張った硬さにはなりません。硬くなるのはelongationした、伸長時になります。

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一般的に見られる肩甲骨を外転を促がすアプローチ。実は本当の意味での前鋸筋と菱形筋のバランスのとれた肢位を見つけると、験者が上から押してもびくともしません。安定した場所なのです。これは能動的に肩甲骨を挙げ下げするのもいいのですが、その折に大胸筋と三角筋と僧帽筋に緊張が入らないことが不可欠です。よって宗形九テニックにおいてはretractionにて肩の前方ズレを矯正する手技がありますが、肩甲骨のstabilityのための前鋸筋をisolationして収縮させるメリットもあるのです。リラックスして引ける肢位が正しいprotractionの軌道でもあります。押す惹くではなく、引く押すが前鋸筋の正しい促通の仕方かもしれません。いずれにせよ肩甲骨が胸郭に張り付いた位置を見つけることで安定が得られます。そこからアプローチを開始して肩関節を屈伸方向いに変えて肩甲骨の挙げ下げを前鋸筋をメインした運動として導いていきます。
 最近みている症例で、明らかに肩甲骨のinstabilityが主な症状を有している人がいます。肩関節周囲炎のようにend feelにてガチっととまる触感ではなく、まだ関節そのものはいけそうなのに痛みで挙上が止まってしまうという事例です。もちろん肩甲骨のstabilityを促がすアプローチはしますが、どうやら首のアライメントと関係がかなりあるようなのです。まず方が極端に下がっている側は当然方を傷めやすい可能性が高くなります。もちろん挙上も問題になりますが、下方回旋してしまった肩甲骨は肩峰にて大結節がぶつかりやすくなります。ではその時の頸部のアライメントはどうなっているか?頸部の回旋に着目すると回旋側の肩は普通は挙上します。僧帽筋が収縮するからです。ということは回旋側と反対の肩甲骨が下制しやすいというロジックが成り立ちます。そして下がった肩の平衡を保つために回旋側屈にて対処します。頸椎はもともとは回旋側屈は同側におきるので生理的ともいえます。しかし例えば頸部右回旋の左側屈というような不合理なアライメントになるどうか?左肩は完全に脱力したぶら下がり状態になります。筋の緊張は低下し肩甲骨は支持を失います。まずは頸部へのアプローチにて平衡を改善しそして肩甲骨へのアプローチという手順が正しいということなるでしょう。
 他にも胸郭シリーズとして記事をお届けしたいと思います。
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