足部アーチの作り方

下肢の運動連鎖 足のアーチを考える

図3
 足部アーチはwindlass機構とTrass機構による説明が何十年も前からされています。少なくとも私が理学療法士になった時には既に清書に載っていましたので、20年前以上昔からある理論です。そのアーチ形成に介在している最も主要なパーツは足底腱膜腱膜になります。足底腱膜の足趾が伸展することにより、内側アーチが持ち上がるという「巻き上げ理論」になります。しかしながら、実際に足趾の伸展エクササイズを繰り返すことで内側縦アーチが形成されたという報告は聞いたことがありませんし、実例としても効果を観たことがありません。足底腱膜が何らかのアーチ形成に関わっていることは確かでしょうが、偏平足が足底腱膜が緩んでいるとか機能不全を起こしているという話も聞きません。ただ足趾を伸展するとアーチが挙がるという事実をもって、足部内側アーチの形成には足底腱膜理論だけで成り立つというのは無理があります。理論的には大昔に出来たものが全くといっていいほどその後発展していないことが不思議であり、またそれが全てであると考えること自体が既におかしいのです。
 理論的には正しいようだけど実際には効果が顕著でないといった類の話は山ほどあります。説明は合っているようだけど結果がでないとなると、臨床では使えないということになります。また手順が煩雑で難しく長続きしないといった方法も実用性に欠けているということになります。
図1
windlass理論のメカニズム
もしWindlass理論が正しいとするならば、足趾の伸展を促すべきでありタオルギャザーの運動はむしろ屈曲を促がしていることになります。もちろんタオルギャザーをするときには足趾の伸展を強調してやりますと言われれば確かに間違ってもいませんが、であれば直接伸展に抵抗をかけてエクササイズするべきなのです。タオルギャザーには具体的な目的として足趾の筋力強化といったところが妥当なところです。それも伸展筋ではなくて屈筋がメインになります。長趾屈筋や長母趾屈筋をメインで使うと足底がつってしまったりします。あくまで内在筋にてstabilityを高め長い筋肉で関節運動を誘導するというのが全ての関節運動における法則です。
図2Trass理論 
 Trass理論は荷重をかけたときに足が潰れるのを足底腱膜で支持するというものです。ハンモックのようなイメージでしょうか。ではハイアーチの人は全て足底腱膜が硬いせいか?といわれると決してそれだけではありません。骨の構造的にアーチが潰れないという人は沢山います。足底腱膜の問題だけなら足背から押して潰れる弾力性があるはずです。しかし、まったく押しても潰される感じが無いのは骨の構造的な問題の可能性が高くなります。よって、いずれにせよ足の弾力性という発想が大切であり、足の隙間を全て埋めてしまおうという足底板の考え方には疑問符がつきます。
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足背から床面に押して弾力性を評価する。そのスケールの定量性これからの課題だが、左右の相対的な差および自覚的な感覚をもって判断する。

 足のアーチの話になりますが、まず大切なのは内側アーチという認識が誰にもあります。足には内側アーチ、外側アーチ、横アーチがあるにもかかわらず長らく内側アーチにのみ注目が集まっているのは、見た目にもわかりやすい現象だからでしょう。近年、内側アーチは外側アーチと横アーチの形成と機能ができていてれば自然と機能するものであるという考え方が主流となりつつあるように感じます。何故なら足底でついている部位は踵と外側アーチおよび横アーチだからです。支持している部位が不安定であれば内側アーチが潰れるのは必至です。足の骨で不思議なのは距骨と立法骨は筋肉の起始停止が無いということです。
図4
外側アーチ それだけフリーに動ける自由度が与えられている距骨と立法骨は、床面(サーフェイス)が変容しても即自に対応できる機能が必要であるからとも考えられます。外側アーチを構成する第五列と第四列の要には立法骨が位置しており、その立法骨が変位をおこすと外側アーチの支持性にも影響が出てきます。もうひとつ言うと、へん平足であろうと凹足であろうと、何らかの足のマルアライメントが生じると荷重動態が正常から逸脱してくるわけで外側アーチにも当然何らかの機能障害が生じていると考えることができます。 距骨下関節のアライメントと機能が前提として、外側アーチの作り方は以下の通りです。
・step1:立方骨~第四中足骨ラインのアライメント補正
・step2:小趾外転筋→短小趾屈筋の促通

横アーチ人の筋肉の中でなんとなく悪者になっている筋がいくつかあります。横アーチを形成している母指内転筋もその一つです。何故かというと外反母趾を増長するベクトルに走行しているように見えるからです。筋肉で不必要なものは無いはずですが、腸腰筋が腰痛の原因と未だに認識されているように、知識として人間が勝手に当てはめて良くないとしている筋肉なのです。ではもしその筋肉が無くなってしまったとしたらどうなるか?この検証はなかなかできませんが、実際にはかなりの支障がでるでしょう。例えば腰痛の改善のために整形外科的な考え方なら腸腰筋を切除しましょう。外反母趾には内転筋は切除しましょう、ということになります。過剰に働かせるのはまずいが、無くなってしまうと弊害が出そうな気がしますよね。先程も述べましたが足のアーチの運動と言えば内側アーチをターゲットにしたものばかりであり、横アーチに関しては本当に皆無です。外側アーチは各種bodyworkをみていると運動療法などのコンセプトが入っているものが多々あります。ただコンセプトとしては外側に荷重しましょうといった単純なものであり、まだまだ理論的な構築には至っていないのが現状です。
 横アーチの形成への手順は以下の通りです。イメージとしては外に披いてからネットで包み込むように、卵をふわりと掴むように使うということです。以下のアプローチをすると間違いなく前足部への荷重がしやすくなり、つま先立ちが安定します。
・step1:短母指屈筋の外側頭・外転筋の促通   
・step2:母指内転筋斜頭と横頭の促通

 足へのアプローチとしてはインソールにて痛みや動きやすさといった点では改善することが多々見られますから、愁訴の改善といった点では十分なのですが、足のアーチなどをもう一度一つ一つ見直していく中で、インソールだけでなく運動療法や徒手療法への応用が展開できるのです。
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コメント:2

生見たくや
立方骨には筋肉の付着ありますよ。

母趾内転筋の促通はどのように行ってるんでしょうか?

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