weekday道場in海老名

運動連鎖アプローチの神髄は脳を介したプローチである

臨床は脳との駆け引きだ


 運動器疾患といえども脳の機能を考えてアプローチしなければならない。このようなことが言われて久しいですが、実際に頭でわかっていても、骨関節筋肉レベルの考え方から、なかなか脱却できるものではありません。私も認知運動療法や知覚運動制御といつた勉強を積む中で、認識はしていましたが実感するまでには至りませんでした。確かに脳卒中においては表在感覚から再教育していく必要があるので、関節や筋肉をむやみに動かことによつて新たな運動が生成し定着することは難しいです。よつて認知運動療法はそのジレンマを埋める画期的な方法でした。まさに全く予期せねところから降って湧いてきた黒船だったのです。何故なら、10数年前はですが、認知課題を提示してなぞなぞをといていく様な治療をするという発想は生まれなかったからです。その異種の存在を受け入れるためには、まだ何物にも染まっていないキャンパスを持っているか、よほどの感銘がなくては無理です。興味はあるものののぞき見程度の人が大半です。特に運動器疾患にいたっては、運動学的なアプローチで十分に効果がでている印象があったからです。現に変化も改善も経験しています。そこに、むりくり脳の機能を考えてアプローチしろと言われても、解釈として脳の営みを入れたとしても結局アプローチは従来と変わらないのではないか?そんな危惧もあります。

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運動連鎖道場ではインソールのアプローチの中でマグレインテープというものを使うことがあります。これは、踏まず支えもしくはアライメントを治すという建物の構造に柱をたてるような、建築的な効果だけではないということを証明するために使います。また関節モーメントによる効果の説明だけでは到底無理ですよということも示すことができます。マグレインテープについては、リンクの項目にありますので是非閲覧してみてください。簡単にいうと7mmの小さなピップエリキバンのようなものであると解釈してもらってもいいでしょう。ただし磁気テープとは違います。皮内針という鍼灸で使う小さなテープに針がついているものがあるのですが、針ではなく金や銀粒がついています。成分は金・銀・鉄などになります。鍼灸の世界では微弱電流による皮膚に乗じる電位差により生体を調整するという分野があります。微弱電流といっても電気を流すわけではなく、鉄や銅などでも金属そのものが陽イオンや陰イオンに帯電していますので、それを皮膚に貼るだけで表面に電位的な変化が生じるのです。鍼灸の免許を持っていないく手もこのマグレインテープであれば理学療法士にも使えます。

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見えにくいですが、左足甲に一つマグレインテープを貼っています。これは楔状骨または第一中足骨の背側面に対して、マグレインテープを貼ることで前脛骨筋もしくは後脛骨筋、長腓骨筋の促通もしくはコリを軽減させることができます。前脛骨筋の付着は第一楔状骨と第一中足骨の背面であり、その底面には後脛骨筋と長腓骨筋が付着しています。まるで上下から微妙にバランスをとるように第一列に付着しているのです。長腓骨筋なんてわざわざ小趾側から回ってきて第一中足骨底に付着しているのですから、この筋肉はもの好きとしか言いようがありません。
ただ、それだけ第一列の重要性を表しているともいえます。第一列に主要な筋肉がそれも第一楔状骨と中足骨に集中しているあたりは、如実に表れています。内側アーチの重要性はいまさら言うまでもありませんが、体重を受けるためのアーチ機構がそこにはあります。よく考えれば体重の何倍もの荷重を足で受けるのですから。これがアイロンのような固い足ではその衝撃に耐えられないでしょう。そういった意味においても、単に足の隙間を埋めるインソールは本来の足の機能を無視したstaticな考え方といえます。
 このテープが何故脳へのアプローチと関連するか?ということですが、マグレインテープの効果はテープそのものの効能だけではありません。つまり、その貼った部位の筋肉が解れるというような局所的な機序のみではないのです。このテープ療法の大切なことは、一度貼る部位を確認した後に貼るということです。どういうことかというと確認のために触診をしたときに、既に効果を感じていなければいけないのです。触りながら押しながら変化を感じ、その部位の位置と方向と深さと強さを調整していきます。そして生体からの反応が引き出せたら、その余韻を残しながら間髪いれずに貼ることです。つまり脳がその反応を覚えている間に貼るのです。そうすることによって、手で押したtasteがそのままテープにて持続することが期待できます。テープ療法とはツボだから貼るということもありますが、さらに効果を引き出すためには触診とアプローチがされた後で刺激の持続を期待するのです。実際に外来などでも痛くて仕方がない患者がいます。しかしながら、治療時間は限られており、そしてその時はよくても持続しないということがあります。そんな時に、いちいち病院に来なくても持続し続けるためのアイテムがほしくなります。そのアイテムがテープ療法なのです。私はいわゆるスポーツテーピングといった類のものもやりますが。それこそ動きの質を高める、まだ眠っている機能を引き出すためにはできるだけ局所ではなく、全体の中の部位として考えるべきなのです。
 
 脳をだますということですが、足でいえば楔状骨の上下どちらでもいいのですが触りながら前脛骨筋などの緊張具合の変化を感じます。すると個人差や個体差もあるようですが、何かしらの筋緊張の変化が認められます。その徒手的なアプローチというか、モビライゼーションというべきなのかははっきりとしていないですか、ちょこっと狙う方向に骨を誘導してあげると変化がみられます。具体的には前脛骨筋の筋腹が盛り上がってくるような触感でです。被験者もなんだか局所が熱くなってくるような、ぴくぴくするような感覚を覚えます。つまりあたかも前脛骨筋が働いたかのようにjointを操作すると、肢節は動いていないのにあたかも動いたかのように脳が錯覚するのです。関節運動なくして筋収縮を促すということになります。


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このような原理で下腿三頭筋でも腓骨筋でも大腿四頭筋でもハムストリングスでも操作可能です。ターゲットとなる筋肉を触診しつつ足のどの関節もしくは骨で反応するかを評価していきます。考え方としては中間位に戻すということがpointとなりますので、同じ筋肉を促通もしくは正常化させるにも刺激部位が違ってくることは珍しくありません。

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実はこの日はインソールの作成がメインだったのですが、どのようなコンセプトで入れるかということを理解するためにマグレインテープなどを用いて感覚入力による脳へのアプローチおよび反応を引き出すという方針に一貫性を持たせます。もちろん踏まず支え効果やバイオメカニクス、筋への刺激など相補的に機能効果を出していることは間違いありませんが、原理原則を徹底することで効果の出方にむらがなくなります。また一つの方針があることで効果が今一つだったときに別のコンセプトを持ってくることができます。矯正したいのか促がしたいのか、アライメントをガラリと変化させたいのか、そのどれもが混在している状況ですが、脳へのアプローチに方針を固めることで、結果的にlow risikが達成されます。そして足の構造にとどまらない脳から全身に作用し、その効能が足にも影響を与えるという循環になります。関節モーメントなどにて説明する姿勢制御も、結局個々がとる戦略はまちまちであり、回転モーメントを与えたから逆に補正するような制御がおこるという単純なロジックでは語れないのが人間です。ただ、脳へのアプローチとして反応を出し続ければ脳が自然に変えようとするのです。

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ということで今年最後の道場です。次回は1月4日finalです。テーマは東洋医学などのアプローチになります。今回が9期性ですので、次回は第10期性のweekday道場は来年の3月ぐらいにスタートさせようと思います。
それでは道場性の皆様良いお年を・・・
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