アルプスの少女ハイジにみるリハビリテーション

アルプスの少女ハイジにみるリハビリテーション

 みなさんアルプスの少女ハイジはご存知ですか?不滅の名作とは言いすぎかもしれませんが、私が小学生ぐらいだった思いますが、いつも天真爛漫で「おじーさん」と野山をかけめぐり転がっている姿が目に浮かびます。
実はその時は特に気がつかなったのですが、絵本をみてみると見事にリハビリが展開されているのです。
クララというハイジより4つばかり上の少女がいるのですが、脚が悪くて歩くことができません。ハイジはおジーさんのいるアルプスの山から都会にクララの話し相手として半ば無理やり連れてこられました。しかし、そこには山はありません。連日、教育係のロッテンハイムさんに絞られます。そのうちハイジは夢遊病になってしまい、お屋敷に幽霊が出没する騒ぎとなります。ハイジは山に帰れることになります。クララは春になったらハイジのいる山に遊びに行くことになります。ある時、ハイジとペーターと一緒に野山に行って走り回っているのをみて、クララはさみしくなります。おジーさんは見逃しませんでした。そのタイミングを見計らったかのように「わしは クララの足をみて、きっと歩けると思っていたんだ。どうだい練習をしてみないかね?」と揺れる気持ちに語りかけます。クララの足を見てそう判断をしたとしたならば、アルムおんじの凄さを感じます。
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「まずは脚を動かすことだ」でたー他動から介助運動か~

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次は筋肉をほぐしてからSLRだ~ ハイジは体幹の代償がでないようにしっかりとクララの肩を押さえています。首も屈曲しておらず体幹もバッチリ入っています!完璧ですね!!また、犬を背もたれにするあたりはアルプスならではの粋な設定です。この長座位の肢位にてSLR!!いったいドウシテこの姿勢を採用したのでしょうか?本当に何気ない場面ですが、素晴らしいの一言です。
 アルムおんじは、クララの脚をみて歩けると判断していたとしたら、これは間違いなくリハビラーです。きっとおジーさんの隠された過去は病院で理学療法士をしていて、ある時山に籠ってしまったのかも?本当の設定は昔は兵隊であったようで、退役後に山に籠って暮らしていたということだそうです。従軍時に衛生兵だったのかもしれません。修羅場をくぐりぬけた確かでシビアな眼が光ります。

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歩く練習です手すりをつかって、つかまり立ちから伝い歩きです。しっかりと腰のあたりをサポートしています。やはりおじーさんは只者ではありません。しかしクララの疾患はなんだったんでしょうね?痙性はなさそうなので脳脊髄レベルではないと思いますが・・・股関節疾患でしょうか?お嬢様だからこそ手厚く保護されていたのかもしれません。

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しかしリハビリは右肩上がりで機能が上がっていくわけではありません。遅々として進まない時期もあります。いわゆる停滞期です。なかなかつかまり歩きから独歩への道が見えないクララは「歩けるようになんかならない」と自暴自棄になります。 「クララのばかー。もう知らない!!」時には突き放すことも必要です。切り札のカードをハイジは切ります(そんなわけないか!)。「待って!」いつも寄り添ってくれた人の、予想外の突き放しに自らの甘えと、いつも励ましてくれてサポートしてくれる人の気持ちに気がつきます。その瞬間、積み上げられた脳のニューラルネットワークがビビットつながります。そうです、最後の勇気というスパイスが入ったのです。時には突き放す勇気の大切さを教えてくれます。

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振り向くと立っているクララ はじめて両手を離して立てた瞬間です。結果がついてくると、さらにリハビリも勢いがつきますね。あくまで熱意あっての切り札です。

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  ここで新たな壁にぶち当たります。立てても歩けるようになるには、またいくつものハードルをクリアしていく必要があります。安っぽいドラマなどでは、簡単に麻痺が治って感動を演出しようとしますが、我々専門家からみたらかえって白けてしまいます。「そんなわけないだろう」と・・しかし、このアニメのすごいところは、そう簡単には歩かせないところです。この軌跡のなかで起こる心の葛藤を見事に描写しています。
 立つには立てましたが、なかなか歩けるようにならないクララは、封印していた車いすを使おうと納屋に行きます。しかしバランスを崩して頼みの車いすは坂を転げ落ち壊れてしまいます。泣き伏すクララの姿におジーさんは気持ちを察します。「クララ、まきばにあそびに行こう。ペーターにおやつでも持ってな」みんなを、まきばへのピクニックに連れ出します。ここでのキーワードは気分転換です。
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 「つんだわ!自分の足であるいて、お花をつんだわ!」歩くことの意味を見失いかけたクララに、一面の花畑で歩きたいと思った初心を思い出させます。クララは自らの脚で歩いて花を摘みます。ここに新たな勇気と希望が湧き上がります。ただ歩くということではなく、なんのために歩くのか・・きっと歩きたいという気持ちが改めて思い出したことでしょう。また歩くことによって得られる喜びを実感することができたのです。何をしに来ているのか?リハビリの目的は何だったのか?時々は再確認をしてもらうことは大切ですね。

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 そして夏が来て、クララのお婆さまと父のゼーゼマンさんが迎えに来ます。そこで二人は奇跡をみるのです。まさかクララが歩いて出迎えてくれるとは・・歓喜に包まれます。家族の大切さ・・そして家族の愛がここに描写されています。

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「ありがとう、わたし、しあわせよ」 リハビリは人を家族を幸せにします。
30年も以上前のテレビアニメですが、本当にリハビリに関して言えば見事に心の揺れ動く葛藤と、機能回復の過程を実に精巧に表しています。なんといってもお爺さんの絶妙な心遣い。見た目や普段の言動は決して易しくはないが、どこか思慮に富んでじっと見守ってくれている安心感があります。
 子供の絵本ですが、結構読んでいて感動します。リハビリ読本としても、とてもよく出来た教本ですよ!!
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