運動連鎖アプローチ研究会in札幌 報告

運動連鎖アプローチ研究会in札幌 報告 Ⅰ
足と歩行


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研修会当日の早朝、札幌駅前です。空がなんとなく関東とは違うような遠く澄み切ったそれでいて北の大地をほうふつとさせられます。

 北の大地北海道、一昨年に運動連鎖道場を開催してブラッシュアップをしなければと思いつつ、遠方であることもあってなかなか開催にこぎつけれれませんでした。この程、11月6-7日の両日にめでたく開催にこぎつけました。今回の目玉は足と歩行の第一人者である入谷誠先生です。入谷先生は二日目からの登場ですので、私が一日目に「丹田と足」というテーマにて私なりのトピックスを披露させてたいだきました。

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会場は札幌駅前の札幌デジタル専門学校です。リハビリ科もある近代的な建物です。今回は横断幕ではないですが学校の教員のスタッフが会場案内を作ってくれました。

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参加者は40名、道場生と一般参加者でほとんどが北海道で一名のみ福島から参加でした。丹田と足というテーマは体幹と脚をつなぐキーワードとして丹田が重要だからです。股関節の柔軟性と筋力強化をすれば体幹と下肢が機能的に連鎖するわけではありません。野球では股関節の柔軟性のチェックおよびランジでの安定性がルーチンと化しており、その重要性は疑いようのない事実です。また、股関節の分離した動きが大切だという声も聞きます。分離した動きとは?果たしてどのようにしたら分離していると言えるのか?抽象的な感覚論でしか語られていないのが現状です。我々、理学療法士ができる最大の武器はこの巷で言われている、なんとなく了解ずみとなっている事象について、しっかりとした定義付けをすることにあります。持って生まれたものだ!とかセンスが違う!とかそれではいったいその持っているものの要素やセンスの中身について分からなければ、単なる素質のある選手の発掘および育成システムこそが一流選手を作るためのツールとなってしまいます。中国のような大国は確かに人海戦術です。10億人の中から素質のある選手しかスポーツは基本的にはできません。

 ≪分離した股関節の定義≫008_20101108230438.jpg
 これはあくまで私の考えですが、柔軟性と筋力があれば分離した股関節になるかというと必要十分条件ではありません。分離した股関節を有する選手には柔軟性と筋力があるとは言えますが、その逆は必ずしもyesではないのです。股関節が動きの中で使えている(可動域が大きく動いている)という観察的な洞察は分離した動きが反映しているものと思われます。その条件が柔軟性と筋力か?と言われると、確かに間違いではないが説明が足りません。
写真はPassiveでの最終外転位での保持テストです。activeでは深層の股関節の筋群を確かめることはできません。passiveの最終域だからこそ可能なのです。最初に大殿筋や中殿筋の後部線維あたりが初動で働いてしまうととたんにインナーは利かなくなってしまい、自動での可動域が小さくなってしまいます。あくまで運動の軌道が大切であって、筋力ではないのです。その軌道のためには骨盤の肢位そして仙腸関節の連動性が不可欠なのです。つまり、股関節の分離とは股関節の運動に伴った仙腸関節の連鎖性が不可欠なのです。仙腸関節の股関節の運動に一致した動きが伴わなければ、伸びやかな股関節の動きは不可能なのです。逆に言えば、股関節の硬くなりやすい人は仙腸関節との連動性がない、もしくは股関節の運動と連動した仙腸関節の連鎖が欠けているということが言えるのです。

≪正しい大殿筋の働き≫ 009_20101108231203.jpg
 ブリッジングはリハビリでは特に高齢者や股関節疾患の患者において必須となっている、それこそ最もポピュラーなエクササイズです。この時に殿筋の収縮を促すべく臀部に刺激を入れるようすは昔からみられる光景です。意図としては大電筋の収縮を高めるためです。しかしながら過剰な収縮は股関節の可動性を狭めることとなり、直後の歩容は悪くなります。具体的には股関節の伸展が少なくなり蹴りだしが停滞するのです。腰部の筋肉の緊張は高くなり、脚の降り出しも悪くなります。要背部の筋緊張は腸腰筋の働きを抑制するからです。

≪ブリッジングのメカニズム≫ 013_20101108235325.jpg
bodyworkにも同じようなエクササイズはありますが、殿筋を使ってというキューは全くありません。高く挙げトロも言いません。ピラティスでは両膝を遠くに伸ばしながら、ジャイロキネシスでは胸がまず持ち上がって、そらしながら挙上するというコンセプトです。boydwork全般を見渡しても実は大殿筋を強調して収縮させるというエクササイズは見当たりません。では何故に殿筋を過剰に収縮させると動きが悪くなるのか?そのメカニズムが説明できなければ理学療法士の価値がありません。単にだからピラティスなどのbodyworkが素晴らしい、優れているといっても、それは創始者が素晴らしいということだけなのです。経験的に作られたエクササイズ体系はまさにアートです。サイエンスから生まれるのではなく身体運動とはアートから多くのことを学ぶ必要があります。
 さてブリッジのメカニズムですが、殿筋の収縮を第一の目的とするならば骨盤は後傾します。試しに立位で骨盤を大殿筋を使って前傾させてみてください。全く筋収縮が入らないのがわかります。つまり大殿筋は確かにヒップアップという美容に欠かせない筋肉であり、骨盤の前傾と関係していそうですが前傾運動には関わっていないのです。仙腸関節のレベルで観察するとさらにその事実がわかります。大殿筋を収縮させると腸骨が後傾するのです。つまりPI腸骨を助長させます。PIは背筋を過緊張させ腰部の伸展を妨げます。結果、骨盤も仙腸関節も後傾モーメントが働くので股関節は伸展しないということなのです。それを、bodyworkのようなキューを与えると、見事に
股関節の伸展がでるブリッジになります。その時の殿筋はできるだけリラックスしておくことが理想です。殿筋に力を入れないで支持性が得られるのか?抗重力筋であり、人間の中で最も大きな筋肉である大殿筋を鍛えるという発想は極自然です。しかし私が臨床で見る限りにおいて、仙腸関節をPI腸骨に助長させるようなエクササイズは百害あって一利なしということです。
 殿筋は不思議なことに、鍛えたからと言ってヒップアップするわけではないのです。硬く締めてヒップアップしようと日々努力している人は硬いそれでいて形が垂れたヒップとなることでしょう。大殿筋はトリガーポイントができやすい筋肉です。特に上臀部と仙腸関節部のいわゆる起始部です。この部位にPI腸骨のモーメントが働くとトリガーポイント(TP)が生じます。TPができると筋収縮が抑制されます。というか効率のよい筋発揮ができない印象です。TPをリリースしてあげると、途端にヒップアップしてくる人が沢山います。つまり殿筋を収縮させることを主眼に置くのではなく、適度な筋緊張を保つように意識したほうがよさそうです。一見、ふわふわなのに、それでいて形が崩れていなくて、しっかりと股関節の伸展に利いている。人間のなかで最も大きな大殿筋はそれだけでも筋発揮が優れているため、他の筋に比べそれほど収縮感が生じる必要はないのでしょう。歩く時も含めて筋収縮は確かにおきていますが、収縮感を感じるほどではないということです。むしろ過剰な硬さが感じられるときは股関節および骨盤、そして腰椎の運動性を損なう可能性があります。

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機能的な座り方のテクニックの模式図です。踵とつま先均等に床を押すことで上へのベクトルに変換し自然に背中が伸びて肩甲骨が挙がらない姿勢をとることができます。OA機器を扱う現代人は肩コリが頻発しています。椅子に必要な機能あルンバーサポートではなく、足で押すことができるアイテムなのです。

そして翌日、入谷先生の衝撃のライブを迎えることに成ります。
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