C7は何故大切なのか?

C7は何故大切なのか?

「わがままな異端児」第七頚椎

 第七頚椎の重要性は頚椎回旋肩甲骨連鎖でも証明済みですが、宗形テクニックを始め、発声などもふくめて、あらゆる方面で重要性が叫ばれています。第一頚椎や第五腰椎など明らかに重要性が高い部位は別段強調する必要がないのですが、第七頚椎が重要というのはダークホースが重賞をとったようなものです。今回は頸椎の一つ一つの役割を明らかにしながら、第七頸椎の特異性に迫ってみようと思います。

第一頚椎

第一頚椎は言わずと知れた首の回旋においてもっとも可動性が大きい頚椎となります。後頭環椎関節は軽度の屈伸を担っているとされ咀嚼時などに実は微妙に屈伸運動が生じています。この後頭環椎関節を制限すると途端に開口しにくくなります。また椎骨脳底動脈が走行しており眩暈につながることもあります。後頭下筋が付着していることもあり、眼球運動や顎の運動時に重要な働きを担っています。後頭下筋のメカノレセプタターの割合は身体のなかでも最も多い筋肉なのです。この第一頸椎を最も重要視したアプローチとして治療をしているのがカイロプラクティックのアトラスオーゴソナルテクニックです。第一頸椎のレントゲンでの評価を始め、第一頸椎を矯正するための専用の機械もあります。第一頸椎を矯正すればあらゆる病気や症状が軽快するという解釈です。カイロプラクティックやオステオパシーにおいて最も大事な機能的部位となっています。現実に臨床にて患者さんをみると、こんも第一頸椎をおざなりにしていてはクリープのないコーヒーのようなものです(古いネスカフェゴールドブレンドのコマーシャルのフレーズです)。仙腸関節を含めこの上位頸椎の説明ができなければ、機能障害の考察が薄っぺらいものになってしまうのです。後頭環椎関節に限っていうと、運動学的に屈伸だけでなくお椀のように実はどの方向にでも動きます。この後頭環椎関節が詰まっているようだと、頸部の疾患は難渋します。詰まっているという印象は、動きが無いということであり、明らかに拘縮していて動かないのです。局所のモビライゼーションなどでも全く不動です。最近の私の知見では、上顎の歯肉部にアプローチすると最もreleaseできます。
 
第二頸椎

 第二頸椎は環軸関節として回旋に最も寄与している関節部位です。第二頸椎は軸椎といわれているように歯突起が第一頸椎の輪っかを貫いており、連座しているお坊さんのようにも見えるため人の化身として扱われます。この環椎後頭関節は後頭環椎関節とセットで評価します。というのはジグザグに交差していることが多いからです。環軸関節の回旋変位を補正するために環椎後頭関節が逆に回旋しているということが多々あります。よって頸部を後頭環椎関節に合わせて強く可動域を促そうとすると環軸関節の変位を増長させてしまうことがあり注意が必要です。どちらがメジャーでどちらが従属なので、アプローチする順番を運動連鎖アプローチ研究会が提唱するパルペーションテクニックにて検証してから決定します。

第三頸椎

 顎の開閉の要、つまり支点として提唱している団体もあるように、この第三頸椎が後下方にズレると開口障害がおきるとしています。私の感覚では第一頸椎から第三頸椎までそこが変位しても顎の運動を妨げてしまいます。ただ私の場合は、後頭環椎関節や環軸関節ほど注目してアプローチすることはありません。facetの部分が後下方に出てきていないかはチェックするといいでしょう。筋肉の付着としては肩甲挙筋が第一~第四横突起から起始しています。肩甲骨の動きが比較的上位頸椎に影響を及ぼしている可能性が考えられます。何故かC2/3椎間も動きが小さく、ほぼC7/Th1椎間と同じぐらいです。上位頸椎と中位頸椎との境界線を担っているかのうようで、明確に役割の違いを示しているのかもしれません。例えばC1/2の回旋が左右40度であるのに対して、C2/3は平均3度ですからこの極端な落ち込みは特筆すべきものです。屈伸にいたってもC0/C1、C1/C2が20度前後であるのに対してC2/3は10度ですから、回旋はまだしも屈伸に至ってもという感じですね。C3/4になると屈伸は15度、回旋は7度と増大しますので明らかな役割分担が示唆されます。つまりは、首が回旋するとカップリングとしてC3~7椎間は屈曲が入ってくるということです。全ての頸椎が回旋のみでカップリングする構造であるとホラー映画がSFのように真後ろに向けてしまうのかもしれません。それでは脊髄を守れないのでC2/3椎間で堰き止めているのでしょう。

第四頸椎~第六頸椎

 第四~第6頚椎は頚部でヘルニアや神経根症状がもっとも頻発しやすい部位になります。理学療法の頸椎への徒手療法と言えばむしろこの中位の頸椎がメインになります。しかしながら、この中位の頸椎は上位と下位頸椎の狭間に立って影響を受けていることが多いのでメジャーな機能障害部位に成りえない印象があります。モビライゼーションの手技を勉強するなら扱いやすい関節ではあります。しかしながら個々の頸椎の機能的役割を理解しておかないと、その重要性やアプローチする意義がぼやけてしまいます。同じ頸椎をアプローチするにしても、単に運動学的な理解だけでなく、頸椎全体のなかでどのような役割を果たしているか特徴を理解しておくことが大切なのです。感覚障害が親指あたりにでることが多々ありますので、髄節としてはC6ということになります。つまり教科書的にはC5/6間の神経根障害ということになります。ただ小指側の尺側にもしびれなどができるケースが多いので、髄節に問題を求めるならば下位頸椎の影響を大きいといえます。しかしながらヘルニアといえばこの中位の頸椎ということになります。この中位の頸椎は屈伸に関与しており、問題にいなるのは回旋変位ではありません。前後へのスライドが問題になるのです。前後への滑り運動は頸椎には必要のない動きです。だからこそ機能障害なのです。回旋変位は上下位頸椎の変位の結果おきていることが多く、上下位の頸椎の回旋に対してアプローチしたほうが機能障害への改善効果は高いのです。この第四~第六頸椎のどれかが臨界点を超えて変位してしまうと、首が全く動かなくなってしまいます。動かしてほしくないと患者さんは不動の首に苦悶してしまいます。この場合はのんびりとしたアプローチのモビライゼーション手技は適応になりません。高速低振幅にて前方に滑っているであろう頸椎を後ろに戻します。つまりじわじわと動かされると緊張が亢進してしまい、いわゆるガーデイングが起こってしまうのです。変位ではなくて、生理的な範囲を超えてズレてしまうと激痛と周りの組織の反射的な収縮にてロックしてしまいます。そこを他動的には自分の立場に置き換えても動かされたいとは思わないでしょう。肩関節の脱臼の矯正にある程度、梃子の応用など幾何学的な思考で一気に戻す手技と通じるものがあります。この前方へのスライドが起きてしまう背景としては上位頸椎と下位頸椎が逆方向に回旋して捩じれてしまことで、中位の頸椎が緩衝しきれなくなり前方にズレてしまうのです。あとはフラットな頸椎の中核をなしているのも、この中位の頸椎になります。

第六~第七頸椎

 フラットな頸椎は斜角筋の緊張による影響も多々うけています。前斜角筋は第3~第7頸椎の横突起から起始しています。中斜角筋は第2~7頸椎から、後斜角筋は第5~6頸椎の横突起から起始しています。不思議なことに第一頸椎には付着していません。いずれにせよ中位の頸椎には全てまたがっており、多大な影響を及ぼしていますが、むしろ下位の頸椎に対しての影響が多きいように感じています。上位から下位までほぼまんべんなく付着していますが、私は下位頸椎の変位の責任筋としてみることが多いのです。中位の頸椎の横突起を触診すると確かに緊張した斜角筋を触ることができます。しかしながら、この緊張を直接ストレッチなどしても効果を期待することはほとんどできません。気持ちいいですが改善はしないということです。最も斜角筋で硬くなっている部位は下部頸椎の椎前部あたりを触知すると硬くなった塊を感じることができます。この塊をリリースしなければ下位頸椎の動きを促すことはできません。第六と第七頸椎は一緒に変位することは珍しく、大概は上位頸椎と同じでジグザグに捩じれています。第七頸椎は体幹の回旋に順じた動きをし、第六頸椎は首の動きに連動しているようです。先日の大分での運動連鎖道場にて第七と第六頸椎が同じ左回旋している人がいましたがTOSを発症していました。明らかに運動連鎖的なセオリーとしてはイレギュラーとして考えたほうがいいかもしれません。この辺りは今後も臨床にて検証していこうと思います。頸部のisometoricなエクササイズとして顎を引くよな運動指導をすることがありますが、このときにターゲットとなるのはこの下位に触れる斜角筋です。頭や顎が雨に付き出た不良姿勢お場合は思わず首というか顎を引かせたくなりますが、間違いなく椎前部の下位斜角筋が硬くなっています。
 
第七頸椎

 特に第七頸椎は他の頸椎との連鎖を無視して単独で変位していることが多く、結構わがままな異端児、もしくはわが道を行く頸椎という印象です。横滑りのような変位も多く、明らかに拘縮していて動かないという印象を多々覚えます。単独で変位するにはそれなりの理由があるわけです。先ほど第六~第七頸椎の項目でも述べたように体幹の動きに準じているいるとしましたが、第一胸椎と同じ変位をしているかというと、そういうことではないのです。胸椎は肋骨が付いており第一、第10、第11、第12肋骨の肋椎関節は単一の椎体と関節を形成し、残りの肋骨は隣接する二つの椎体と関節を作っています。ということは決して第七頸椎と第一頸椎が肋骨によって、直接留め金で連結されているわけではないのです。C6-7間の頸椎可動性と比べて、C7-Th1の可動性は極端に小さくなります。C2/3椎間の特異性については第三頸椎の項目で既に述べましたが、同じくC7/Th1も特異的です。まずは可動性が極端に落ちるのです。軸回旋に至っては左右平均2度であり、屈伸にいたっても中位頸椎の約半分になってしまいます。ただし側屈に至っては前頸椎にそれほど差はなく、C0~2の上位頸椎で5度、C3~Th1の中~下位頸椎7~11度ですので、それほど頸椎による差別化は屈伸や回旋ほどできない感じです。 ような側屈はまんべんなく動きているようです。ただし各々の椎間の屈伸と回旋のカップリングにより側屈はなされていので、その運動学的な動態に至っては各々の特性を生かしているものと思われます。T1/2との比較でいうと、軸回旋は平均でT1/2は9度でありC7/Th1は2度ですので、ここでも極端に頸胸移行部の可動性の少なさが浮き彫りになってきます。個人差はもちろんありますが、肋骨がついている胸椎と比べても回旋にいたっては小さいというのは驚きです。屈伸はT1/2は4度で、C7/Th1の9度ですのでこれは普通に納得できます。軸回旋にいたっては体幹の回旋に準じていることは確かなのですが、その可動性の少なさが故に緩衝しきれなくてサイドシフトという本来あるべきはない変位を生じてしまいます。しかしながら、運動連鎖としては四肢体幹を操作するとC7に連動性が見られます。また斜角筋という観点からみると上顎の歯肉部や頬骨、前頭骨などを前から後ろに軽く刺激すると緊張が落ちることが多いので、頭部顔面骨は頸部を前方へのモーメントもしくはベクトルを生じさせやすい特性があるのでしょう。
 頸椎回旋~肩甲骨連鎖の第一治療選択部位が第七頸椎であるということをは、やはり第七頸椎が体幹などの抹消の動きと連動していることは間違いないでしょう。
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