斎藤 佑樹 選手のフォーム

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斎藤佑樹選手止って見える斉藤選手のフォーム

 早稲田の斎藤佑樹選手が日ハムにドラフトで決まりました。甲子園での苫小牧高校との決勝死闘は今でも目に焼き付いています。何といっても回を追うごとに尻上がりに球速が上がり、決勝再試合の最後の9回に150キロのスピードガン表示がでたのにはびっくりしました。抑えなければいけない中軸に対しては明らかにスイッチが入って絶対に打たせない・・気持ちが前面にでた炎のピッチングでした。ハンカチ王子というイメージよりも、Wが似合う人を熱くさせるハートが印象的な選手でした。早稲田大学に入り、1年目から大活躍でほとんど負けることなく格の違いを見せつけていましたが、3年生あたりから打ち込まれる場面が見られ、最終四年生では東大にも歴史的な?負け方をして田中マー君とは明らかに差がついたという評価が正しい見かたでしょう。新聞記事でも大学3年生では本人も真っすぐが走らないということに悩んだ時期もあるようで、現にスピードが出なくなっていました。それに伴ってなんとなく怖さもなくなり打たれる場面が多くなっていたように思います。大学に行ってちょっとホッとしたところや、ハングリー精神などが違ってきたのかな?と勘ぐるときもありました。考えて投げる投手ですので、駆け引きや投球術を考えすぎて、一番大事な勢いつまりリリースで全ての動きを指先でボールに伝えるか・・・気持ちと動きを一緒にボールに込めるかという原点を忘れていたのかもしれません。
 理学療法士は投球フォームとして見て評価することが多いと思います。気持ちを乗せてというような、観念論は似つかわしくないというか、我々理学療法士が述べるフレーズとしては相応しくないともとられそうですが、実は気持ちを乗せるということの意味は単なる根性論の延長ではなく、パフォーマンスにとって最も大事な呼吸との連動に不可欠なのです。
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これは高校時代の決勝時の写真のようです。若さもあるでしょうか躍動感のある身体全体がボールにのっていきそうな、ちょっと今の斉藤選手と違ったイメージのフォームですね。

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これは現在の早稲田大学での斉藤選手です。高校のときと同じアングルの写真が無かったので単純に比較できませんが、しっかりと打者なりキャッチャーをみていることがわかります。投球の期としてはコッキングの手前のテイクバックになります。ちょっと腕が下がり気味からコッキングに移行していきます。
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そしてコッキングフェイズです。それでも腕は全体的に下がり気味のようにみえます。決して肘が下がっているというわけではないのですが、腕が下がっている印象が感じると思います。そして上の二枚の写真で共通しているのは首の傾きです。この決して緊張がみられない、脱力した頸部をしてみると斉藤選手の全体的なフォームの中での力加減がわかってきます。

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そしてフォロースルーです。バットに隠れて少し見えにくいですが、なんとなく印象としては体重が乗りきれていない感が出ています。

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これはドラフトで早稲田から3人が一位で指名されたことを伝える紹介の写真です。左が福井選手、真ん中が斉藤選手で右が6球団の競合にて西部が交渉権が得た大石選手です。大石選手の投球は見たことが無いのですが、ニュースで見る限りでは軌道が糸を引く様なスーと吸い込まれるようなストレートが印象的です。クローザーを務めている大石選手の売りは、間違いなくストレートということになります。斉藤選手も一時期ストレートの球速が落ちて、小鳥はストレートを取り戻すということをテーマに140後半の球速まで回復しているようですが、それでもストレートが持ち味の選手ではなくなっています。高校時代はコントロールはもちろんですが、ストレートが素晴らしかったと記憶しています。現在はボールのキレで勝負するタイプではなく、駆け引きと球種の豊富さでタイミングをズラして打ち取る桑田や小宮山、三浦選手などのカテゴリーに入るものと思われます。そのどの選手であっても、何となくスカッとするようなピッチングではなく、意外に打たれだすと止まらないような感じです。

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 斉藤選手は相手を良く見ながらの投球であるため、前を見ている場面とテイクバック、知覚と運動が一体化していないのです。つまり知覚して認知しようとしている場面だと写真からははっきりとわかり、そこでは運動の連続性は途切れているのです。よって止まっているように写真では見えるのです。
 知覚ー運動パターンならいいのですが、知覚認知ー運動と少しphaseがズレているので、どうしてもボールを置きにいっているように見えるのです。これが技巧派といわれ理論とテクニックが抜群だと言われた桑田や小宮山、そして現在の三浦選手がその投球術だけでは抑えられなかった理由なのです。決してボールの速さが無いからではなく、知覚ー運動の一体化に違いがあるのです。山本昌弘選手も決してスピードは速くありませんが、抑えられるのは気持ちがボールに乗っていると称される知覚ー運動のリアクション投球だからなのです。もちろん投げる前はいろいろ考えるのもいいでしょう、裏をかくなど、実際に投げるときにはインスピレーションの赴くくままにまかせるとうぐらいのスタンスが不可欠です。緊張したり大舞台になると急に撃ち込まれたり硬くなる場面が今シリーズでも多々みられました。土壇場での西部の湧井選手やソフトバンクの杉内、阪神の久保田や藤川、そして巨人の各ピッチャーの中日とのCSで自信なさそうなナイーブな表情などに見られました。
 よってスピードガンでは大分球速はでてきたものの、なんとなく速球が持ち味に感じないのです。
知覚ー認知ー運動の観点からの分析は、性格や野球観などが関係してきますので、理学療法士では立ち入るのが難しいですが、運動学の観点からはどうでしょう。
 テイクバックが下からでてくると言いましたが、原因は腕の使い方ではなく首の使い方にあります。頸部の運動と肩甲骨のアライメントは運動連鎖ともいうべきパターンがあります。頸部の伸展は肩甲骨の挙上、屈曲は下制、側屈であれば伸長側は下制であり屈曲側は挙上と相対的な連鎖が見られます。斉藤選手の首は側屈に伸展も同じ割合ぐらいで入っており、それも脱力しています。患者においても同じような不良姿勢が多々みられます。頸部の過緊張による伸展は本来は肩甲骨は挙上ですが、肩が物凄く下がっているなで肩、顎が前にでているいわゆるhead forwardの姿勢になっているパターンです。頸部伸展による肩甲骨の挙上位の持続的な保持は困難であり、頭部や肩甲骨の二次的アライメント、そして僧坊筋の低緊張による適応という段階を踏みます。
 斉藤選手は最初から相手を見て投げようとするため肩甲骨の脱力から入るので、結果的に頸部の短縮側になるテイクバックが下がってしまっているのです。脱力できているが下がりすぎたなで肩の印象があるのはそのためなのです。相手に見られてしまうので、東大など頭のいい?選手たちも認知ー運動なので合わせられてしまうのかもしれません。気持ちが乗った時にはこのパターンが崩れ知覚ー運動になるので打ち取れるのです。いずれにせよ現在の斉藤選手は首にstability感がなく、低緊張になっています。肩甲骨の上げ下げと体幹のstabilityは不可分の関係にありますので、斉藤選手の体幹もstabilityがききにくくなっています。そのため体幹のstabilityが必要となってくる前後の移動によりボールに加速を与える戦略がとれずに、late cockingが強調されたピッチングになるのです。フォロースルーは短くなり、いわゆるボールを長く持つことができません。前後へのフォローではなく、その場での腕の振りだけで投げることになるので置きにいってしまうように見えるのです。
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 これも同じく早稲田の三人です。並びは上の写真と同じで、福井・斉藤・大石です。めずらしく苦悶の表情を見せる斉藤選手です。大石選手の軸が通ったスッとした体幹に比べ、斉藤選手はテイクバックがゆったりとして小さく下がり気味ですので、コッキングでは体幹の軸がよじれるようになってしまっています。これは、普段下がっている上肢肩甲帯を引き上げるために、頸部の伸展による肩甲骨の挙上が強調されているからです。現在の斉藤選手は熱投ためには、身体をよじるようなフォームに成らざるを得ない状況にあります。福井選手は力で投げるタイプで、キレとかはまだなく全身が洗練はされていない印象です。

 楽天のマー君の躍動感に比べ、斉藤選手は身体のパーツパーツが連鎖というよりは分離して見え、写真からも躍動感が感じられない止まって見えるフォームなのです。マー君は気持ちが乗りすぎて、筋肉が限界を超え悲鳴をあげてしまい、大胸筋の部分断裂などを起こしてしまっているので、力の配分は必要ですけどね。
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