浅田真央選手の滑り

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浅田真央選手の滑り
http://www9r.nhk.or.jp/figure2/r/single_viewer.html?x=2_0019


 浅田選手はNHK杯では点数的には最低の演技となってしまいました。しかし取り組んでいる方向としては間違っていないと思います。ジャンプを一から見直し、スケーティングも上下に弾むような動作を改善しているとのことです。ジャンプに関する新聞記事を抜粋してみます。

 [6月から技術コーチを務めた長久保裕氏(63)は真央のジャンプを「高さはあるけど流れがなく、着氷が硬い。窮屈な跳び方」と指摘。約3か月、1回転から修正に着手したが「完ぺきに直るのは2年かかる」と話していたように、急激な復調は見込めなかった。]

[夏から取り組むジャンプの修正には進歩を感じている。「少しずつよくはなっている。半分までは来ている」。その成果が本番で描けない。浅田は「練習で百パーセントにならないといけない」と、成功と失敗が交錯する練習に失敗の要因を求めた。]

 
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浅田選手の基本的なアライメント。バンクーバーオリンピック当時のエキシビジョンの写真 
 ジャンプはバンクーバーオリンピックの時にも解説しましたが、着地時に遊脚が巻きこむように後からついてくるという特徴があり、次のスケーティングの加速を遅らせていました。成長期に骨盤のWPIという変位で常に競技をしていたので、アライメントそして骨格が適応してしまっています。特に顕著なのは膝のアライメントです。膝下の脛骨捻転が顕著で内旋傾向に見えます。そして外反変形も見てとれいます。膝が伸びきらない、常に膝が軽度屈曲でロックしている状態です。
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 運動連鎖アプローチ研究会でも道場でOA体験をしようと実習していますが、膝のAMRからALRに連続して操作すると大腿骨と脛骨の軸がズレてダイレクトに床反力が身体に伝わらなくなります。コーチは動作の改善ということを指導しますが、その動作をするための身体条件を同時に修正していかなければ改善は見込めません。
 他にも気がついた点を列記していきます。

・首の過伸展:以前ほどではなくスケーティングでは改善がみられるが。スパイラルなどにまだその癖がでてくる。

・胸腰部移行部の過伸展:これも改善がみられるが肩甲骨の挙上にた代償するとジャンプができなくなる。
・膝の回旋
・練習ではできている。応援のあるプレッシャーのある環境の中での適応がこれからの課題
・ジャンプの踏切り動作時に軸脚の膝が深い屈曲はキープしたほうがいい。
・深い屈曲がないと現在のアライメントの欠点を補えない。

・肩甲骨挙上~頸部伸展の悪いパターンの是正
・ジャンプの踏切りの意識がメインで着地の修正ができていない。つまり着地直前で以前のパフォーマンスに戻ってしまう。
・スケーティングとジャンプの動作では新しい取り組みが反映されているが、スパイラル時の身体の使い方が以前と変わらない。
・まだ頭で修正しながら滑っている。自然と考えなくてもできるほど学習が進んでいない。
・現在のスケーティングは氷からの反力がダイレクトに腰部骨盤に伝達されるなど改善点がみられる。しかし上半身の対応ができていない。
・上手くジャンプ出来た時はジャンプの踏み切り時の下肢と腰部の連鎖がみられるが、失敗時には膝の深い曲がりの前にWPIの骨盤が強調され肩甲骨の挙上が見られる。
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・腰部と肩甲骨が離解してしまい、踏切とは逆の拮抗した力が働き上下の運動ではなく前後の動きが強調されてしまい氷の上から挙がれず滑ってしまっている。つまりジャンプのタイミングが前後の動きのあとになっているのでタイミングがワンテンポ遅れて結果的にカラ廻りになってしまう。
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・フリーでは今まで上半身の生命線であった胸部の過伸展も無くなり、肩甲骨の挙上のみが強調され胸郭が不動になっている。おそらく不安と緊張のためだと思われます。
・SPに比べフリーではさらにこの悪い姿勢が強調され全く跳べなかった。SPの最初のスケーティングは取り組んでいることが垣間見えたが、積み上げているものがSPの失敗でわからなくなって混乱してしまっているのでしょう。
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・オリンピックではかなり痩せていたが、今回は少しふっくらとした印象。しかしオリンピックが異常なほどだったので、むしろ今回ぐらいが普通なのかもしれない。オリンピックではないということを差し引いても少し気に成ります。ウエイトが増えることで身体軸つまり芯への求心力が落ちて、回転スピードが落ちているようにも見える。今回、身体を中心に寄せてくるくるっと回れているときは成功ジャンプとなっている。

・一人で常に闘ってきた真央選手、こちろん家族や周りのサポートはあるはずですが、それとは別に競技に直結するような寄り添う心のサポートが不可欠。チーム真央としてチームヨナのように、傍から見てもガッチリとしたサポートが必要。

他の関連記事も抜粋して真央選手の今後のサポートについてコメントしてみました。
「心理的なものがものすごく大きい。甘い言葉をかけても解決にはならない。とにかくこの1か月半やってきたことをやるしかない。復活してくれると思う」と佐藤信夫コーチ」
このやってれると思う、甘い言葉をかけても仕方がないという、日本人独特の表現そしてスタンスは選手まかせの根拠がない方針と捉えられても仕方が無い。本人がますます根拠のない頑張らないといけないと責任感のある真央選手は一人で抱え込んでしまう。荒川選手や安藤選手の現コーチであるニコライモロゾフコーチぐらいのサポートスタンスが必要

「2日のジャパン・オープン後、佐藤信夫コーチ(68)と不調だったジャンプを集中的に特訓した。それでも真央は「練習から100%の状態で臨めなかったのが引っかかっている。(きょうは)50%くらい。パーフェクトにするための積み重ねができていない」と振り返った。」
練習で完璧にできるということはジャンプの踏切りから着地そしてスパイラルシークエンスなど全てを改造すること、それが無意識にできることである、まだまだ時間はかかるが、今取り組んでいることに選手も、なによりコーチも信じることである。全ての責任をコーチが負い、真央選手を不安や世間から守らなければいけない 

「6月から技術コーチを務めた長久保裕氏(63)は真央のジャンプを「高さはあるけど流れがなく、着氷が硬い。窮屈な跳び方」と指摘。約3か月、1回転から修正に着手したが「完ぺきに直るのは2年かかる」と話していたように、急激な復調は見込めなかった。」
">現在は佐藤コーチに一本化しているようですが、何故に三か月だけのコーチだったのでしょうか?確かに三か月では無理でしょう。その二年間かかるという考え方を佐藤コーチと共有できていたのか?そして現在も長いスパンという方針にブレはないのか?論拠と順序だてたクリアー課題を列記し、しっかりと階段を上って行っていることを選手にも協会にも説明し理解してもらうことである。そううすると周りも理解のある目で包んでくれるので、選手が全て請け負うプレッシャーから解き放たれる。インタビューも本人からとりたいところでしょうか、コーチ自らも説明すべきでしょう


「夏から取り組むジャンプの修正には進歩を感じている。「少しずつよくはなっている。半分までは来ている」。その成果が本番で描けない。浅田は「練習で百パーセントにならないといけない」と、成功と失敗が交錯する練習に失敗の要因を求めた。」
 毎日重ねる練習では好不調の波が大きい。「できるときとできないときがある」。成功への確信が持てない。助走のスピードがなく、着地でガッチリ氷をつかめない。いかにも自信がない風情では、真新しいラベンダー色の衣装も輝かないままだ。

浅田選手のコメントでは良くなってきているという手ごたえはあるようですが、今回の結果には流石にショックだと思います。プレッシャーではなく、単なる自分の滑りに対する自信ですね。取り組んでいる方法は間違っていないので、周りのサポート体制と方針がブレないこと、コーチもプレッシャーに流されないことです。
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