運動連鎖アプローチ研究会in京都レポート2

運動連鎖アプローチ研究会in京都レポート2

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 マッスルエナジーの解説をする西川歯科医院長、西川洋次先生です。下顎を指を指標に正中にガイドし、開口時に抵抗を加えます。一日50回×3~5回、二週間もすれば定位してくるそうです。この頻度はマッケンジーなどの推奨する回数と共通していますね。学習の研究は沢山されているものの、実際どれぐらいの回数と期間を継続すればいいかというのは意外にもわかっていませんが、このあたりの頻度が実はヒントかもしれません。少なくともどんなに方法が正しくても回数と頻度が無ければ効果はでません。生体における学習の回数と頻度、そして効果の持続と定着・・これからの研究に期待です。
 それにしても西川先生は基礎の解剖や運動学は本当に詳しいです。理学療法士は我々の専売特許と胡坐をかいているのかもしれません。胡坐をかいていると当然慢心につながり、ハングリーが無くなってしまいます。頭蓋骨の形状ですが1.5歳児では下顎が短く関節突起も小さく未発達です。そして三歳児より徐々に顎らしくなってきます。食物形態はそれにともなって大人に近くなってくるものと思われます。顎の関節突起ですが外から触診できる外側よりも内側の発達が顕著です。股関節のようなイメージでしょうか。そして加齢に従って、赤ちゃんに戻っていく姿勢と同じで関節突起が摩耗してきます。表情筋と入れ歯の関係も眼から鱗でした。入れ歯が外れやすく嚥下障害をきたいしている人は沢山いると思いますが、実は入れ歯の表情筋や舌骨上筋群を邪魔しない形状が不可欠なのです。特に口腔底を形成する顎舌骨筋を押し下げるような入れ歯だと、結果的に嚥下時の口腔底が挙がることによって食塊を送り込む作用を阻害してしまうのです。左右のサポートは笑筋などが挟み込み、前からは口輪筋そして下唇下制筋などがサポートしています。入れ歯の不適合は、歯槽部との適合が悪いからということだけではなく、筋肉の動きを妨げる形状にあるかもしれないのです。

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ちょっと暗いですが、杉元先生のプレゼンです。とにかくプレゼンの動画というかアニメーションが物凄くクリエイトです。まるで映画の3Dをみているかのようなプレゼンです。このスライドは、TMD:顎関節症と機能、そして隣接する機能との三つの縁が重なり合っている図になります。顎という解剖学的な損傷に加え、動きという機能そして全身の機能という理念が見て取れます。ここまでワイドに身体機能を考えられる歯科の分野に17年前に驚きを覚えたことを思い出します
 さらに杉元先生には顎関節症が何故に歯科業界でもメインとして扱われないのか?という内幕といいますか世界の潮流についてお話しいただき、そして咬合位を合わせるための治療システムについてご紹介いただきました。それこそミリ単位ではなくコンマ何ミリという世界での調整ですので、コンピューターでのシュミレーションなどハイテクが得意とする分野です。歯科の業界で咬合位を合わせるののに画像はもちろんのこと、CGなどを駆使して評価そして治療の指標としていくことはごく当たり前のこととなっています。整形などの手術においても、ロボットが入ってきたり3次元で骨切りをイメージしたりというシステムが徐々にでは入ってきていますが、歯科では既に相当の進歩がみられます。リハビリでは、人間の動きというミクロという単位とは無縁の世界ですので、感覚的な視点に立つことが多いですが細かい評価システムを探求していかなければいけませんね。それには専門家とのコラボにて最新のハイテク機器んどを駆使して簡便にそして定量的にデータがとれて蓄積できるものを開発していくことが必要です。今できる評価をしっかりとやることも必要ですが、柔道整復師や歯科の先生方の開発に対する発想は理学療法士には欠けている視点なのです。新しい商品を開発するという、当然日々臨床にてこういったものがあればいいのにということは多々あるわけで、それを具現化させていくことで創造性がかれてくるのです。
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PT渡辺さんと杉元先生とのコラボ症例発表。。
 杉元先生はPTの渡辺さんと共通の患者に対してのコラボ発表でした。歯科とPTが連携してという症例は珍しいと思いますが、関西で縁があってコラボが実現しました。最初に咬合治療にて劇的に良くなった事例のあとに、コラボ下症例は最終的に何をやっても愁訴が取れ切れなかったという事例でした。顎は完璧、そして身体からもセラピストがしっかりとアプローチしたにも関わらず、どうしてもわからない良くならない何かがあるということです。両肩が揺れる感じがするという、自覚的な症状が残存している事例です。そして、この良くなる事例とならない事例を通して治癒とは何か?というどの業界にも通じる背景についてレクチャーいただきました。また話は戻ります歯科で咬合などを見てもらえるというイメージが何故無いのか?つまり歯科でどうして取り扱われないのか?ということですが、顎関節症に対するエビデンスが不足していることは否めないようです。まず顎関節症の患者がどこに受診するかというと補綴専門医、口腔外科、矯正専門医、歯科開業医、整形外科、理学療法士、カイロプラクティック、鍼灸、心理療法士などなど多岐にわたっており、そのどこでもある程度良くなっているという事実があるようです。場合によってはピンとがズレテいてかえって悪化している可能性も否めません。保存でも歯科治療でもなんでも良くなる?何が有効か?治癒には本当に正しい治療であることは勿論ですが、プラシーボやホーソン効果というものも絡んできます。ホーソン効果とは患者自身が期待にこたえようとして一生懸命良くなろうとすることです。治療者に対する良くならいと申し訳ない、喜んでもらいたいという気質の人は確かにいます。もちろんラポールがとれているからこそホーソン効果も発現するといえますし、ホーソン効果を引き出すということもしっかりとした治療戦略があってこその信頼の上に立っているともいえます。
 そう考えると本当に何が有効なのか?その検証こそが不可欠なスタンスなのでしょう。理学療法には治療方法はあるものの理論的背景で優劣を判断しようとする傾向があります。本当に結果はどうなのかという検証が足りないように感じます。それはきっと病院という中で絶対に治すという必要性がない環境だからでしょう。開業すると治さなければ閑古鳥が鳴きます。この自分の好奇心のある方法や変えたくない環境や状況というものが支配していたため、何が本当に有効なのかというスタンスが欠けているのです。そういった意味においても成熟していない業界なのです。
 はっきりしていることは咬合治療が顎関節に有効であるという証明がされていないのです。咬合とはいわゆる噛みあわせのことで、わかりやすくいうと歯と顎は関係あるか無いかという議論になっているのです。歯でなければ歯医者で視る必要は無いという論法です。エビデンス的には証明されていないというスタンスでいれば当然歯科とは関係ないともいえます。その流れが世界の日本での潮流となっているため我々の認識としても歯科で咬合治療というのがイメージとしてないのです。アメリカでは顎関節症に対していきなり人工関節のような治療が横行して、後遺症が相当ひどかったという歴史的背景から歯科による治療が第一選択ではないという流れにもなっているようです。いきなり人工関節じゃー弊害も出ますよね。このような歴史的背景にたって今があることを理解しなくても、常識とされている解釈を読み違えてしまう可能性があるのです。
 顎関節症は7~8割の患者は何をやっても良くなるということなのです。だから顎は咬合が関係ないとはいいきれません。問題は残りの2~3割になります。その良くならない2割の人たちは咬合が関係している可能性があるわけで、その治らない人たちが患者としては病院に来ているのです。統計学的によくなる人の割合ではなくて、さらに残りす2割の良くならない人たちが困っているのです。実際に治療院に来る人たちも何処にっても良くならないそんなさらに一割の人たちと思しき人たちが来ます。
 渡辺さんの発表した内容は姿勢や筋緊張など我々にとっては馴染みのある発表無いようでしたが、杉元先生いわく「まったくついていけませんでした」とのコメントがありました。それはもしかして歯科の分野の話もリハビリの人には全くわからないのかな?という不安を覚えたようです。歯科の先生方の発表は専門的な詳細はわからないまでも、解剖と機能、そして治るメカニズム、評価とアプローチの流れ、エビデンスなど医療従事者として共通したスタンスが多く含まれていたので、参加者も食い入るように見ていました。病院の医師やリハビリでは偏っている場合が多く広く専門をみようという流れはありません。
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顎を通じて身体機能とは適当とは代償とは、治るということの心理的社会的背景など、リハビリにも関係することばかりです。逆にいうと顎関節症というのはメカニカルな問題に留まらない余りにも多くの要因を受けやすい特異的な部位であるがゆえに、全人間的な考え方を適応させなければ治せない疾患であるともいえます。複雑な人間というメカニズムは顎をとおして深く知ることができるのです。
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