運動連鎖アプローチ研究会in京都報告

運動連鎖アプローチ研究会in京都 報告
~顎関節とCORE~



 9月26日日曜日、京都にて運動連鎖アプローチ研究会in京都part42 「顎関節とCOREアプローチ」というテーマにて開催しました。毎回、京都で開催することが多い歯科の先生方とのコラボレーション。今年で3回目になるでしょうか。例年でると本当に参加者の集まりが悪く、広い会場をとっていてもあとから狭い部屋に変更するということがあるぐらいでした。ところが今年は約40名近いセラピストの参加者が集まり歯医者さんも10名余りと総勢50名の参加は稀に見る大盛況といえます。東京で開催すると集まり易いことは確かですが、地方ではテーマとしても難しいのかもしれません。私が京都でやりたいわけではなく、歯科の先生方が京都をとても希望されるということで京都での連ちゃんとなっています。また関西には講師である西川先生の懇意にしている仲間も多く、そういった意味で京都はいいのかもしれません。私も何度行っても京都はいいですね。この季節は寒くもなく暑くもなく、それほど混むわけでもなく一番いい季節かもしれません。
 しかし、何故に顎のテーマにて参加者が集まったのか?アンケートを書く時間もないぐらいキツキツのスケジュールでしたので残念ながら、回収率が悪くその意図はわかりませんでしたが数枚集まったものを見る限りにおいては、とても充実した内容であったことが窺えます。参加の動機については、個人的に聞いた感じでは、多様性のある時代といいますか、新しいものにチャレンジすようとする機運が例年になく高まっているのではと感じられました。それは一昨年や昨年にもなかった新しい流れです。時代の流れはよくはわかりませんが、確実に既存の概念の延長線上にある限界というか手詰まり感を感じているようです。
 今回の内容はタイムスケジュールとしても載せている通り、歯科の先生方の症例発表が目白押しという、まれにみるセミナーとなりました。言って見れば、理学療法のセミナーに医師が症例発表をどんどんするなどとは考えられません。
今回、ご講演していただいた西川先生と杉元先生はまさに時代の風雲児ともいうべき存在です。歯科業界の常識やタブーに真っ向から立ち向かい、真髄を求めてそして極めようとしています。最新の知見と最新の測定評価機器を用いて、本当にミクロ単位にて精巧さを求められる歯科において客観性のあるデータとしての知見がそこにはあります。感想などをチラホラ聞いても、感覚だけではなくやはり他分野の専門家にもわかる説明と理会の必要性がひしひしと伝わってきました。ともすれば、理学療法の世界においては狭いある意味閉鎖空間のなかで通用する言葉であったり常識であったりというなかで過ごしています。歯科の先生方の話はもちろん専門的なことが全てわかるわけではありませんが、客観性をもって証明しようという姿勢とスキルとしての卓越した技術がまさに両輪となって動いています。そして何といっても、情熱です。世の中の世界のなかでどのような立場にいるか、そして今自分がそこにいるかをしっかりと見極めて、今があるということが実感できます。歯科の先生方は本当にしょっちゅう海外の学会や勉強会に出かけてその視点を常に世界基準にしています。よって自然と自己満足の世界ではなく普遍的なものは何か?を求めています。単なるエビデンス的な発想であれば理学療法でもありますが、そこに単なる海外の知見をさも正しいかのように紹介するだけでなく、しっかりと自らの日本人としての意見と方向性を見出しているのです。流石にここまでは理学療法の世界も成熟はしていません。まだまだ世界の漏れて来る蜜を吸っている程度です。そして国内には全く世界基準の情報を知らないセラピストが大半ですので、たまたま海外に行って帰ってきたジョン万次郎のような人に情報を聞いて「ほー」と感心ているのです。知識だけではなく実践と経験を兼ね備えている・・このあたりがさらに理学療法と違うところです。臨床でも第一線で、そして研究やその歯科における哲学においても先導していけるような人はそうはいません。今回、大半の参加者は西川先生や杉元先生のような話を歯科の先生から聴いたことは初めてだと思います。機能なのです。話していることは解剖や運動学などの機能なのです。そして考え方はリハビリなのです。初期評価をしっかりして、そして問診をしっかりととる。数値化できるものはしっかりとして、データを残していく。そして5年後10年後と経年的に経過をおっていく。そんな当たり前のことをしっかりと踏まえているのです。決して、その瞬間的な手品のようなテクニックを披露するわけではないのです。
 西川先生が総合歯科診療という言葉と使っているように、人の身体をみるということにおいては全てに精通しようというスタンスが不可欠であり、そしてそれを目指すべきなのです。何かの専門だとか興味だけに囚われてしまうようなスタンスは既に臨床ではありません。西川先生は最初に顎・顔面・頸部の筋肉の触診をして緊張をみます。筋肉だけでも相当の数があるのですが、我々理学療法士が専門と思っている骨関節や筋肉も、頸部~顔面にいたっては途端に弱くなってしまいます。その細かい舌骨上筋や舌骨下筋、顎顔面筋、頸部筋の起始停止をしっかりと熟知し、触診ポイントを押さえます。そして、その緊張度は患者の主観的なスケールに任せるわけですが、その確認をまたしっかりととるということです。「はい返事」西川先生の講義で実は一番印象に残ったのはこの言葉です。つまり患者との同意をもとに痛みなどのスケールをとっていくということです。VASの10スケールでは余りにも筋肉が多すぎるので、●△×の三段階でみていきます。そして施術前後での痛みの変化をみます。「この痛みは△でいいですか?はい返事は?」という具合です。しっりと答えてもらい責任?をもってもらうということですね。この頸部や顔面の筋緊張ですが、なんと大半は顎に対する開口時の抵抗運動にて緩快するのです。筋緊張が半分以下になって痛みもほぼ無くなることも珍しくありません。頸部の緊張は一般的に姿勢や特に頸椎の問題として考えられていますが、意外にも顎の問題が相当関わっていることを伺わせます。私も上位頸椎の変位や頸部の緊張に関してはほぼ顎へのアプローチをもって対処することが多いです。筋緊張とは何か?という問いに対しては、その緊張のある筋肉をストレッチするのも間違いではありませんが、結果として起こっているバランスを保持するための緊張に対してリリースしようとしてもそれは生体との綱引きをしているにすぎなくなります。嫌だと言っているものを無理やり引き抜いているようなもので、それは労力の割には報われないということになります。
 筋緊張というのは中枢神経疾患の場合は脳に何らかの問題が生じることで、そのアンバランスな脳神経の営みそのものが顕在化したものと考えられますが、一般の運動器疾患であればそれは生体の歪の是正という必要不可欠なシステムだといえます。この抵抗運動つまりマッスルエナジーの方法は顎関節の関節円盤を関節突起に乗せる(On disk)の状態にすることが前提となります。開口時にコリっと軋轢音が鳴ることがよくあると思いますが、このコリっはdiskが乗っていない状況から乗り上げるときの音ということになります。開口路を観察すると顎の先端が蛇行するのが確認できますが、偏移する側の顎関節の動きが良くないことが触診できます。顎関節の回転運動と滑り運動という膝関節に似た動きをします。この回転運動が初期の30度ぐらいで起きて、あとは滑りがみられます。関節円盤が乗った状態になるととたんに筋緊張が低下するのです。首も動きやすくなります。顎が与える頸部筋緊張に対する影響の大きさを物語る事実です。頭蓋の調整においても顎関節の動きは改善すますが、それは側頭骨に顎関節があるからにほかなりません。
 世界に発信するんだ!!既にその域まで杉元先生は来ています。杉元先生は私と全く同じ年です。それだけに松田聖子やおにゃんこクラブの話題が合うのです。そんなことはどうでもいいのですが、熱意,情熱とチャレンジ精神においては明らかに負けているようです。理学療法も教わるのはもちろんいいことですが、さらに自分の確固たる意見と自我をもって、まずは患者に社会に貢献するということを念頭において、さらに学術的にも世界基準でものごとを考えられるようになることが大切であることを学んだ一日でした。
 
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