腸腰筋の機能とは

腸腰筋の機能とは?

大臀筋と腸腰筋は切っても切れない関係にありますが、前回の大臀筋の記事に続いて腸腰筋からみた機能について述べていきます。同じ話でも角度を変えるとまた違って見えるものです。腸腰筋はコアーマッスルのなかには今のところ入っていないのですが、探究すればするほど、必要不可欠な筋であることがわかります。ある意味腸腰筋が機能しなければ、張りぼてのような柔い構造物でしかあり得ないとも言えます。腸腰筋が機能している腰部は、外観からも明らかに安定感が違います。どっしりしていると言うのか、安定感が全く違います。腹横筋や多裂筋は筋力としては小さく、また動的な安定性や特に持久性に乏しい印象があります。Powerの源であるコアーの柱が腸腰筋であり、ダイナミカルな躍動感を与えます。
 staticでは意識しやすい腹横筋や多裂筋がダイナミカルな体幹のエクササイズや動きにおいて制御し続けることができるのだろうか?体幹が動きの中で働くということは、伸縮するということであり姿勢を変えた時のねじれた体幹のときの腹横筋なり多裂筋をどのようにコントロールできるというのでしょうか?エクササイズではASISを基準としてアライメントを整えた中で学習していきます。そして四肢の動きを加えてその収縮を保持できるように広げていきます。固めるという意味合いが強いエクササイズであり、腹横筋をフォーカスして意識するためには必要な手順であることは確かです。ある程度収縮ができるようになるとインナーマッスルの場合は汎用性があることも確かです。アウターの場合は運動特異性や収縮特性に順応しやすく異質性転移が起きにくい印象があります。インナーの場合はあるポジションで一定の収縮を促通すると、その後の動きが軽くなったりします。しかしながらさらにダイナミックな動作になると四肢のパターンのバリエーションが多くなり、その組み合わせによってisolationできていた筋感覚が一気に消し飛んでしまいます。意識を維持しようとするならば動きに制限ができていしまいます。加速度や急激なモーメントが加わるスポーツ動作などでは、腹横筋や多裂筋のセットから別のセットへと移行させていくことも必要でしょう。すべての運動形態にて同じ筋のセットで通せるわけではないのです。つまりハイパフォーマンスになればなるほど体幹を支持する機構に、腸腰筋のウエイトが大きくなる可能性があります。黒人のスプリンターに大腰筋の断面が太く、ADLの自立度の高いお年寄りも同様であることを考えると明らかに人の動作レベルと相関しているのです。機能がわかっていたわけではなく事実として大腰筋が発見され、解釈は後付けになっていますので我々の腸腰筋に対する固定観念はガラリと変わる可能性を秘めています。

≪ロコモーションと腸腰筋≫ 歩行時に腸腰筋がどのように働いているかは、運動連鎖アプローチ研究会や道場において度々述べてきました。まず最初の発見は踵への刺激にて股関節の求心性が変わるという事実です。立位や歩行ではなくsupineなどの地面に足が着いていない状況においても、踵への刺激で股関節や腸骨に微妙に動きがみられることがなんとなく実感できてきたのです。なるほど運動連鎖とは物理的なモーメントなどの作用だけでなく神経学的にも連鎖があるんだという発見です。つまり運動連鎖とは足もとから構造として回内外や内外旋などの模型がある方向に傾くことで積み木が倒れるように説明できるかのような印象をもたされていますが、実際はそこに筋の活動があるわけです。筋は基本的には制御においてはエクセントリックに制動していますが、能動的に誘導していく作用も有しています。この能動性はコンセントリックの形態になりますが、いわゆる筋力トレーニング時に発揮する筋収縮とは全く異なる次元のものであり、意識化できないレベルでの僅かな筋収縮になります。あくまで初動のきっかけを作るだけであり、その後は慣性に任せるというのが合理的な動きになります。歩行とは動作とは最も効率のよい選択をすることが理想であり、ぜんまい仕掛けの人形のように何者かに操られるかのようにコントロールされていることが大切です。実感は筋収縮がより意識化できるほどのレベルでの収縮であり、人はどうしてもこの実感に引きずられることになります。力を抜くということは、その実感を消して動作するという難しさでもあるのです。
 話は戻りますが最初の誘導は筋活動により行われ、そして骨関節の形態がその筋肉が生む出すベクトルに追随します。筋肉の形や配置、そして骨の形や配列そのものが動力には欠かせない設計になっており、骨が直接動くわけではなくあくまで動力は筋肉ではあるものの、その筋の努力が最小限で済むように構造がサポートしているのです。
 腸腰筋にあてはめるとまずヒールコンタクトにおいては腸骨筋が働き腸骨を誘導します。この腸骨の誘導なくしては次の大腰筋の働きが阻害されてしまいます。つまり腸骨が後傾のままでは腰椎の前彎は当然崩れてしまい、大腰筋が働く条件であり伸張性が得られなくなります。大腰筋はmidstanceからtoe-offにかけてエクセントリックに作用し次の遊脚の振り出しに備えます。骨盤が後傾のままでは腰椎は伸展が制限されてしまうということです。この場合は大概、胸腰移行部を過伸展の代償にて補おうとしてしまい腰が落ちて膝が屈曲位のよく街で見かけるパタパタ歩きになってしまいます。heelcontactでは腸骨は前傾+in flareに誘導されることが理想であり、その作用を担っているのは腸骨筋になります。

≪足からの運動連鎖?骨盤からの運動連鎖?≫ しかしながらです、heel contactでの腸骨の動きの理想は前傾+in flareなのですが、実はここにさらにバリエーションがあるのです。さて話題を運動連鎖の順序性について述べていきます。一般的には足からの運動連鎖として体幹に上っていきます。これは歴史的に運動連鎖が足から始まって行って、骨盤や体幹の知見が後から加わっていったので必然的に足から上への連鎖の理論体系となってのです。しかしながら本当に動きとは足からの運動連鎖なのでしょうか?最近、自分で検証していて明らかに重心の移動による連鎖が下降性に波及していくことが実感できるのです。もちろん人によってstrategyのバリエーションは多種多様ですので足からの連鎖が優位な人もいれば重心の移動つまり骨盤からの連鎖がメインである人もいるでしょう。野球とベースボールをみていると、その違いは明らかです。特にバッティングですが、日本に来日する助っ人はバリバリの大リーガーのように有名でなくても、ホームランを打つパワーが素人目でも明らかです。ふりの速さというかインパクトの迫力といいますか、技術で打つというよりパワーで叩くという感じです。つまり55松井選手のように足元を固めてボールを呼び込むスタンスと、思いっきり外人のように体幹の捩じりを制動するために全身を対応させる、足元からの連動性では明らかに違います。インパクトの瞬間は踵を支点にしてつま先は浮き上がったいわゆる背屈位です。外人の打ち方は軌道が最初のテイクバックで決まってしまうので、外されると空振りです。日本人の足からの連鎖を重視している場合は最後までボールをみて当てていくということになります。WBCにおいて日本人のパワー不足というかホームランの出なさそうな雰囲気は、諸外国との比較対象で如実にでていました。さてこの足もしくは膝というふうに地面に近い部位を重視するがゆえに、というよりも骨盤を上手く誘導できないがために足元の比重が高くなるといったほうがいいかもしれません。その機能を補うのが丹田なのです。
 骨盤のアライメントには左右差が付きものであり、開いている側と閉じてる側があります。たとえば右がout flareで左がin flareという具合です。右の骨盤がoutの場合は当然inに誘導するために腸骨筋の働きが不可欠になります。しかしながら、in側はすでにstatcな状態にて閉じているのでさらに閉じる必要はなく、むしろ正常なポジションにまで戻すためにoutに作用させなくてはいけないのです。つまりin-outは正常なポジション、ニュートラルなポジションに戻すことが必要なのです。このニュートラルな骨盤つまり歪のない仙腸関節にて初めて正中位になることができるのです。仙腸関節の変位と荷重変化については既に私自身が研究して明らかにしています。つまりout側は荷重側にin側は非荷重側になりやすいという事実です。outはPIと連動しますので、ブレーキのかかる制動しやすい骨盤のアライメントになります。この歪のない骨盤は腰部のバランスにつながり、さらには大腰筋の作用に大きく影響を及ぼしていきます。大腰筋は脊柱の傍を走行している一本の細いラインです。棘上筋や中殿筋と一緒で本当にあるベクトルでしか効率よく効かない筋肉なのです。少しでも姿勢が正中よりズレていると大腰筋の作用するラインから外れてしまい、アウターが効いてしまうのです。つまりこの大腰筋が常に働いているもしくは太く存在していることが、重心の変位に対する体幹のコントロールに重要なのです。軸の形成そして崩れたときに立て直す作用は柱である大腰筋が担っているのです。ある基底面を超えて体勢が崩れたときには、もはや腹横筋や多裂筋システムでは補いきれないのです。
 私の場合は右がoutで左がinの腸骨をしており、右のheelcontactでは腸骨をinにするべく腸骨筋を意識し同側の腹部を閉めます。広がった体側を閉めることで元に戻すということです。広がりのある体側はアウター優位となり力は強く筋の厚も太いですが、結果的に逆側の体側を窄めてしまうのでアンバランスを助長させてしまいます。このアウターの発達している体側はあくまで広がっていて制動は効きますが、軸の意識が無く片足起立は意外にも苦手です。つまり足からの軸としてのつながりがなく骨と靭帯による支持機構となってしまうのです。この右側は制動として働きやすいため大殿筋は発達しています。中臀筋を効かせた立ち方が苦手なのです。どうしても大殿筋優位な立ち方になってしまし見かけ上はしっかりと安定しているように代償できます。
 では左の体側は締まっているからいいのでは?となりそうですが今度は左側に傾いてしまい短縮してしまいます。荷重も逃げてしまうので筋の委縮もしくは硬さが顕著となり廃用様になってしまいます。この場合は腸腰筋が短縮したしまうのです。左右のアンバランスが大きくなると結局のところ機序は違うものの、腸腰筋にとって不利な環境になってしまうのです。完璧な骨盤のバランスなどあり得ないのです?もちろんその通りです。ある臨界点がるはずで、どこまでが許容範囲かはわかりませんが私のように立位で荷重が左右で7~8キロも相違があるようだと弊害がはっきりわかります。おそらく1~2キロの範囲内であればなんら問題ないと思われますが、臨界点はわからないですね。

≪腸腰筋の働きのチェック方法とは?≫ 長くなりましたが、左側の体側は私の場合は拡げます。つまり吸気に伴い腹側を拡張させると広がります。吸気により腹圧も高まりエアーバック効果により縮んでいる体側は風船に空気が入るかのように生き返ります。縦への軸ができますね。骨盤の開きに呼応して左体幹を右にリバースして戻す意識にすると大腰筋が伸びてきて縦の軸が感じられるようになります。右の体側は締めることで中心化させ大腰筋が意識しやすくなります。しかしアウターが発達している側はインナーの意識化は難しくなります。よりアウターの意識の鎧を外してインナーに集中する必要があります。右側のinflareを促すということはいわゆる内旋運動を誘導するということになります。内旋とは骨盤が外側にswayすることによりリバースで内側に下肢骨盤が捻れていくいく現象です。結果的に足部は回内になります。受動的な回内です。あくまで受動的でありまず足が回内がおきて上に立ちあがってくるわけではないのです。足からと重心の変位との相対的な関係により連鎖は成り立っているので、どちらが先とはいえませんが、骨盤は傾きではなく平行に水平移動することにより大腰筋はより伸張しやすくなります。つまり腰椎の自由度を高めることができるのです。傾いていると仙骨と腰椎5番に歪がおこり腰椎全体による運動性が損なわれます。腰椎5番は腸腰靭帯にて連結しており僅かな歪が直接的に影響します。この根元である腰椎5番の自由度を保つことが大切なのです。アウター側はどうしても腸骨稜が高くなりやすくなりイン側に傾いてしまいがちです。よってしっかりとinflareに誘導してなおかつ腹側が締まるように右下肢に乗り上げるように骨盤をswayさせます。アウター側の右下肢は外側接地になりやすくアーチも高くなお且つ硬くなっています。いわゆる内側にかかりにくい回内が起きにく足になっているのです。足部の回内を誘導するためには、骨盤のswayを大胆に実施する必要があります。そのためには腸骨のinflareが不可欠だり腸骨筋の作用なのです。長年の使い方としてoutflareになっていることが多いので、腸骨そのものの形状にも左右差があるように感じます。つまりASISが前方に飛びているような触感があります。入院している高齢者の患者においても機能的な脚長としてでてる場合があります。つっぱり棒のような脚の使い方は骨盤が高くなっているので、さらに荷重を乗り込ませるのは逆行しているように思われます。しかしながら骨盤のinflareとswayそして脚の内旋、内側アーチの荷重を連動させることで、壁を乗り越えさせることが必要です。
チェック方法は背筋を触擦して硬くならないように骨盤のswayおよび歩行ができていれば大腰筋が効きやすい環境を作ることができます。この腸腰筋の意識ができてくると軸の意識ができてくるので肩のインナーのエクササイズなどがより効果的にできてきます。軸がずれてしまえばあらゆるアウターでの歪がでるわけで、よりニュートラルな身体感覚にてエクササイズをすることこそが大切なのです。その役割を大腰筋と腸骨筋が担っているのです。丹田の力もこのバランスのとれた骨盤帯と腸腰筋の作用が不可欠であり、丹田の機能に下肢の連鎖が連動してくるというのが高いパフォーマンス発揮には不可欠だと思われます。この重心のコントロールである丹田の力を生かせる境地になると楽天の山崎選手のように40を超えてもホームランを量産できることにつながるのでしょう。スラッガーである松井選手であっても40を超えて山崎選手のように活躍できるかは微妙です。それはまだ丹田の作用が不十分だからなのです。

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