山口県士会特別研修会報告

山口県士会特別研修会報告下肢骨盤帯の運動連鎖アプローチ


 平成21年7月4/5日の二日間、山口県の岩国というところで県士会主催の研修会に呼ばれていきました。場所は岩国市医療センター医師会病院というところで、急性期と回復期、訪問リハビリなどその地域では中核となる病院とのことです。

 山口県は観光で一度いったことがありますが、研修などでは初めてです。気候は蒸し暑くもなくとても快適です。私の故郷が兵庫県であることもあり、なんとなく西日本特有の雰囲気が懐かしさを感じさせてくれます。新岩国から車で30分ぐらいの山間のなかを車で行ったところに会場である病院があり、40名あまりの参加者にて開催されました。下肢骨盤帯の運動連鎖というテーマですが、結局は局所的なテーマであったとしても連鎖を考えると全体のなかの部分ですので、どのテーマであっても全身の連鎖をレクチャーしていく必要があります。部分から全身へ広げようとすると、結局無理がありますが、全身から部分へとおろしていくとスムーズに全身へのイメージがいきやすいように思います。
今回の研修会はまさにジャイロトニックのコース参加の真っただ中でのレクチャーでした。なんといってもここまで2週間、毎日6~7時間ジャイロ漬けの毎日を過ごしてきましたので、必然的にbodyworkモードになりそうな予感でした。
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土曜日は午後2時からの開始であり、PM6時からの4時間です。大概の研修会は理論があって実技があるという流れだと思われますが、理論を先にレクチャーすると身体が動かなくなることが多々あります。つまり新しい言葉や概念を消化するためにはそれ相当の時間が必要だからです。その言葉と理論の理解が頭だけでは到底できませんので、未消化のまま引っかかったまま実技に向かうと感性が生かされません。体験を通して感じた身体感覚をあとからスライドで確認するという方法をとりました。仕事のあとに疲れていても運動をするとかえって楽になることがあるように、考えることと感じることのバランスをとることが大切です。自律神経と運動神経、左脳と右脳、もしくは皮質と脳幹などのバランスをとることが必要なのです。臨床においても例外ではありません。脳科学がこれほど進んでくると、学習には右脳と左脳の使い分けが不可欠であることが明らかです。理論的な背景は当然左脳がそして感じることによって動くという右脳をともに働かせることで学習の効率は上がってくるものと思われます。
 まずは運動連鎖概論として触察テクニックの関節内圧評価と下肢骨盤帯のつながりについて実習です。あくまで私の考えですが、身体の関節内圧の総和がある程度決まっていて、その総和を全身の関節でオーバーしないようにある程度銀行のように出し入れしているものと思われます。炎症や機能障害によりそのキャパを超えると、いわゆる腫れがひかないということになるものと思われます。よく術後でなかなか腫れが引かなくてリハビリに難渋するということがあります。ヒザの手術などでそれこそ2週間でもプログラムが遅れると相当機能的には問題になる可能性があります。何故ならROMや筋力の落ち方は2週間もリハビリがすすまないとあっという間に進んでしまうからです。そのあとに取り戻すのに、何倍もの時間がかかってしまいます。ましてや回復期などの在院日数がある程度決まっている中では、否応なくリハビリでフォローできなくなってしまいます。
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さてさて研修の報告ですが、まず各々の関節内圧の評価と圧迫されている関節部位を特定したらその部位を軽く牽引を加えていきます。その後に再度、インソールなどを作る時にも用いるstability pointにマグレインテープを張って歩きの違いを感じてもらいました。マグレインテープとは皮内針のような小さな磁気テープのようなものです。各々の人によって普段つかっている足~下肢にかけての連鎖ルートが違います。ある人は母趾からのルートを使っていたり、ある人は小趾からルートを使っている場合があります。人によっては膝で下肢の連鎖ルートが途切れている場合もあります。連鎖ルートが途切れていると機能障害への入口に立っている可能性があります。本当に小さなテープですので、そのわずかな刺激によって荷重連鎖が変わり歩行が変化してくることをまず体験してもらいます。
 そしてstability pointの次は足の中の連鎖を促すために足趾と踵の連鎖を評価して足趾にテープをはります。場合によっては爪の上だったりするので、まさか爪の上に貼って動きが変わるとは露とも思いませんので参加者にとっても連鎖とは何たるかを身をもって体験してもらうためには格好の実技だったようです。逆にいえば生体といいうのは、なんらかの感覚入力によって必ず応答しているということです。感覚入力ー反応もしくは応答という図式が常に環境のなかで行われており、恒常性を保つためのあらゆる層のメカニズムを動員するのです。よってある一つの治療方法によって、ある一つの側面からのアプローチや感覚入力方法によって全てを網羅することが最初から不可能なのです。人間は反映するなかで、生き残っていった民族はおそらく何万年というなかでそれこそ我々の想像もつかないほどの恒常性を保つためのメカニズムを身に着けてきたからこそ、今ここに存在しているといえるのです。おそらく恒常性を保つためのメカニズムが少ない民族は淘汰されていったはずです。何百何千という民族のなかで、生体のシステムを刷新つづけて適応していったものが生き残ってきたものと思われます。そのように考えると全ての疾患や病態に対して、何万年という年月をかけて構築された叡智の結晶であるホモサピエンスを、たかが数十年の歴史のなかの一人の人間の既成概念をもって論じられることそのものが、人類の叡智に対するなんとも失礼な話ということになるでしょう。人類の歴史祖先の功績に対する畏敬の念をもってすれば、経験的に積み上げれた叡智に対するリスペクトが生まれるはずです。つまり科学至上主知にある現代において、ともすれば今新しくでているここ数十年の知見こそが過去の何物よりも優れていると勘違いしてしまうということです。
 マグレインテープのあとは、早速フランクリンで習ったBone rhythmeのエクササイズです。距骨下関節のマルアライメント、左右差を各々評価し実はこれほどまでに足元に左右差がるということを認識してもらいます。踵が一度外反しても、直立とは全くかかるモーメントが変わってきます。逆にいえば、左右差が2度として左が外反、右が内反とすれば、たかが二度の違いによって全く逆の回転モーメントがかかってしまうことになるのです。屈伸に伴う下腿の回旋、大腿の回旋、そして骨盤の回旋を各々検証および記録しながら実習をしてもらい、内在的な運動連鎖とは何たるかを理解してきました。観察による動作分析では決してわかり得ない現象が、触察による動作分析つまり内在的な運動連鎖から類推できるのです。ここで骨盤のカップリングモーションを身体で覚えたところで、さらっとスライドにて確認です。体験した後に知識が入ると実感があるので、結局時間的には数倍の短縮になります。学習効果に関しては、理論から入るものとは比較にならないくらい効率がよくなります。
 運動学的なbone rhythmeから外れている部位と側性を評価し、最後に足部の回内外の崩れている側、つまりスクワットに伴い回内がどのような軌跡で抜けていくかということを評価して、テープを貼っていきます。たとえば、人によって回内が舟状骨であったりMTP関節であったりと抜ける部位に相違があるのです。

懇親会にて皆さんで盛り上がりました。岩国は居酒屋が唯一ではないですが、本当に地元の人たちのなかで根付いていることがわかります。

二日目はまずはbodeyworkの説明とaxialな動きに対する体験とエクササイズです。そして筋膜の講義と反応のパルぺーションテクニックの実習です。最初にもってきていた内容を最後に回して、身体感覚が高まったところで内在的な運動連鎖をみるツールとしては最も大事な筋膜アプローチです。
まずはbodyworkとして回旋にともなう伸び縮をリズムとシークエンスを感じながらエクササイズです。そして足関節の背屈と底屈と脊柱全体との連鎖性をボールをつかって実習です。また仙腸関節機能をボールを使って評価アプローチして、床反力を触察にて感じながらその変化を確認していきました。

bodywork的な感覚はかなり伝わってようで、おそらく今後興味をもってくれることでしょう。
開催にご尽力いただきましたPT平岡さんおよびスタッフの皆様、山口県士会の皆様に感謝いたします。

 
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