日大スポーツ勉強会

第56回 日大スポーツ医学勉強会 報告
『アスリートのリハビリテーション』



日時:平成21年6月6日(土) 
会場:日本大学駿河台病院 3階 講堂

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 6月6日土曜日16時~日大駿河台病院にてスポーツ勉強会が開催されました。日大スポーツ勉強会は年に数回開催される、日大の整形外科スポーツ専門医が主催する、開催回数も50回を超える伝統と歴史のある勉強会です。医局が主催となると、リハビリ関係者だけの勉強会とはかなり雰囲気も変わります。病院に勤める我々にとって、最新の医療情報を得られる環境にはあるはずですが、改めて聞ける場は意外にも少ないものです。院内の医師がどのように考えて、治療やリハビリさらにスポーツ復帰に対してどのような見解を有しているかはやはり生の声を聞いてみなければわかりません。この勉強会には医師も各大学やクリニックから参加があり、またトレーナーやインストラクター、研究者など本当に多種多様な職種と立場の方々が参加されています。多い時には100名近い参加者があるちょっとした情報交換の場所として確立されています。

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本当にいつも大勢の参加でディスカッションも熱く盛り上がります。いつもでてくる話題といいますかテーマは、医学的学術的な話題よりも、医療と現場との連携、そして各々のスタッフ間の連携の話です。最後は相互理解のもとにコミュニケ-ションをしっかりととっていかなければならない、社会生活を営むうえで最も基本的な結論にいきつくように感じます。各々の立場の違いや考え方の違いがあることは当然ですので、このような他職種間の集まりは貴重ですね

 駿河台日大病院 整形外科 斎藤明義先生を中心にした、本当にスポーツ復帰を真剣に考える場として、また現場のトレーナー、リハビリスタッフとの連携を重視していただいている数少ない大学病院ではないかと思われます。
 タイムスケジュールとしましては以下のとおりですが、PT学会でも口述のスポーツセッションのネタが少なくなりつつある中で貴重な演題内容といえます。

:主題 「アスリートのリハビリテーション」 16:10~17:40
・ACL再建術後のリハビリテーション~Return to sports~  
                                駿河台日大病院 富樫 俊文 先生
・膝関節疾患のリハビリテーション(ACL損傷におけるKnee in予防について)
                                高島平中央病院 杉山隆廣 先生
・  バトミントン選手における足関節脱臼骨折後のリハビリテーション
                                    永生病院  三宅英司 先生
・ アスリートへのBody workの応用
                              運動連鎖アプローチ研究所 山本尚司
                               Physical Art        川原万由子
・年代別肩、肘有痛部位と真下投げVASの評価の詳細~野球選手10957名のフィールド調査から
                                     東京大学  伊藤博一 先生
・講演  18:00~19:00
「行動変容を踏まえた肩関節障害への対応 」
(有)フィジストレーナー 代表 山口光國 先生

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斉藤先生からのご提言に談笑?する川原さん。斉藤先生自身もピラティスの体験をお持ちとのことでした

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デモンストレーションする川原さん。ハンドレッド!!

 今回はバレーボールのピラティストレーナーとしての活動の半年にわたる活動の報告とその効果について発表してもらいました。群馬県のN高校の女子バレーボールチームに月1回通って指導をしています。体力測定の結果としては柔軟性と敏捷性などの向上、プレーの質に対する選手の実感、また腰痛の発生予防の効果について報告し、実際にやっているエクササイズのいくつかをデモしました。課題としてはプライオメトリック系のジャンプについてはデータ上は向上がみられなかったことからも、パワー系の競技特性にあったトレーニングとの併用が必要性が示唆されました。bodyworkでもなんでもそうですが、全てを網羅できないことは確かですので抗重力下でのスポーツ動作につながるbodyworkをアレンジしたメニューを考えていきたいと思います。

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 なんといっても本日のメインは山口先生です。ドクターの中でも著名であり、現在は「行動変容相互決定主義」という、新たな視点から機能障害の問題を明らかにしようとしておられます。私も大学院は知覚運動制御が主なテーマである研究室に、4年間も在籍していましたので話はなんとなく理解できました。山口先生のお話をお聴きするのはかなり久しぶりです。噂では耳にしていましたが、少し意外なぐらいの転身とも感じました。もちろん肩やスポーツパフォーマンスへのアプローチという基本的なルーツは変わりませんが、整形もしくは医療という分野にとって、未知なる遭遇といってもいいいでしょう。何故なら、私が大学院に入った時も確かに人の行為(behavior)に対しての探究ですからリハビリと関係が無くはないのですが、常に「なんでそんなところまでこだわるのかな?」という疑問が頭にあり、その考え方に慣れるまでに相当時間を有したことを覚えています。人間が相手の仕事ですから当然のことなのですが、スポーツ整形という分野にとっては、これからといえます。

Post Rehabiritation
 今回はスポーツ現場での領域でのbodyworkの発表ということで、私としても初めての試みでしたので、どのような反応が返ってくるかが未知数でした。しかしながら、全体的に好意的に受け入れていただき、特に著名なドクターなどもbodyworkへの支持を表してくれていたと思います。やはりスポーツ選手に関わるなかでは、あらゆる方法や情報を見聞きすることが多くなりますので、ドクターであってもBodyworkについてある程度は知っているわけです。むしろリハビリ関係者のほうが、巷での新しいというか斬新な情報については身体運動の専門家?としての自負があるがゆえに慎重になります。ところが同じ医療従事者でも少し分野が違うとかえって大胆に試したり、取り入れたりしてしまうものです。例えば心理や脳科学の分野でもそうです。学部や大学院などにてある程度基礎を学んでいればまだしも、独学で学んでいったことでかえって解釈が自己流になりその道の専門家が思いもつかないような使い方や応用の仕方をしてしまうことがあります。これは良い面と悪い面と両方があり、良い面は専門家が陥っている既成概念を超えて、発想の転換や可能性について気づかせてくれます。悪い面は、なまじっか中途半端に知っているが故に、業界の常識や使い方などのルール、そして自己の正当性を示すための甲羅として防具としてまとってしまうことがあるのです。
 
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その夜、新宿にてさらに運動連鎖アプローチ研究会の打ち合わせです。
 日大勉強会が終わったのが、予定よりも相当のびて8時過ぎでかかりました。やはりディスカッションのせいでしょうか。その夜に今度は新宿で来週にせまった運動連鎖アプローチ研究会in神奈川の打ち合わせがあったのですが遅刻です。オープニングを飾る、クライアントの遠藤氏とピラティスインストラクターの夏井先生とのセッションが主な打ち合わせでした。
 さてポストリハビリという話ですが、まさにリハビリ後にさらに良くしたいいうニーズはかなり患者さんの中にあるのですが、このご時世、延々にリハビリを受けることはできません。杖や装具を使っていても自立できていれば、病院での役割は終えて介護保険下のリハビリに移行します。しなしながら、デイケアーや老人保健施設でのサービスには、まだまだ働ける人にとっては満足くものではありません。我々も2年もたって装具や杖がある現状を打破してさらに良くなることに対してはほぼ諦めているというか、無理だろうという認識が先に立ちます。なまじっか知識があり、脳卒中なりの病態と機能回復の難しさを知っているということも原因です。そして、自立した人をさらに機能改善を促すてめのノウハウが無いということと、そのような対象の患者さんも病院にはいないのです。ところがピラティスというツールにて、遠藤さんはリハビリが1年数か月で終わってからもドンドンと良くなっていったのです。その難しさを知っているが故に、そのすごさもわかりますし、まず患者さんのまだまだ良くなる潜在能力を信じるという基本が失われていたことが最大の問題だと感じています。これが、先述した専門家ではないからこそ可能である良い面です。悪い面は、我々リハビリスタッフの対応としては、長い患者さんには機能に対して固執するのではなく、別な生き甲斐などに転換させるように促していきます。それは、まだまだ引き出せるツールがあることを知らなかったからかもしれません。既に聞けば理解できることばかりなのに、コンセプトとして無かったというのが正解でしょう。
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