樋口貴広・森岡周 共著 「身体運動学」 新刊紹介

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  ついに出ましたね~今か今かと待ち望んでいた樋口先生と森岡先生の共著!!以前より共著で執筆されていることは情報として知っていたので、手に取ると万感の思いがあります(大袈裟)。共著がでることがわかっていたので来年の6月の運動連鎖アプローチ研究会ではお二人にお願いしたという経緯があります。ぜひ皆さん、新刊をもって研修会に参加しサインをもらってください。内容も素晴らしいですがサインつきの本というのは、とても得難い価値があります。
  さて思えば樋口先生と森岡先生が出会ったのは、運動連鎖アプローチ研究会にて認知運動学習シリーズを開催した2005年8月に遡ります。当時、木村貞二先生と森岡先生、樋口先生の3人のコラボによる研修会を企画したのがきっかけです。森岡先生はPTですが、樋口先生はリハビリの学校や研究には関わっていたもののセラピストではなく心理の研究者です。しかしながら研究という糸で二人はつながっていたようで、何と初対面がフランスの学会だったそうです。樋口さんがフランスの学会で挨拶をしていると、8月に運動連鎖アプローチ研究会で講師依頼をうけているということで、森岡先生が気づいて「オレ!俺!」(詐欺ではありません)とアピールしたそうです。偶然といいますか異国の地での初対面に驚きとともに、すぐに意気投合したようです。お互い30台前半という若さであり、その後、森岡先生は樋口先生のことを「貴ちゃん」と親しみをもって呼び合う仲になりました。樋口先生が森岡先生のことを「周ちゃん」と呼んでいるかは定かではありません。気さくな間柄でありながらリスペクトし合っていることがよくわかります。私からみればお二人とも本当に頭脳が切れ切れです。私とは全く対極にいるタイプです。ノリと流に身を任せている運命論者の私と違い、お二人は理論派で特に研究や考え方は理路整然として付け入る隙ががありません。樋口先生は私が都立大学の理学部修士課程の身体運動科学専攻時の直属の指導教官でした。そのあまりものポテンシャルの高さに、私は研究には向いていないということが良くわかりました。今回の新刊をパッとみてもらってもわかりますが、そのわかりやすい構成と文章、そして身体運動学というネーミングに興味を引く表紙など見るにつけ、その非凡なセンスとエレガントさを感じます。本当に頭の中が整理されていなければこんなふうには書けません。よく文章のわかりにくい論文や本がありますが、あまりにも完璧すぎて嫌になります。私のようないわゆる一般教養のない巷の凡人は、人の落ち度を探して安心している部類に入るのですが、付け入る隙がないとわかると万歳降参です。一般的に教養のない人が知識や名声などを成り金のように手に入れると、傲慢になったり鼻が高くなったり、目つきがどことなく濁って浮ついておかしくなっていくのですが、頭脳明晰で正確も人柄もいいときたらどうしようもありません。
  つまりのところ研究やリサーチは専門家に任せればいいということです。よくいろんな講習会でEBPTについて述べられていますが、臨床にて忙しく従事しているセラピストにEBMだ研究だの頑張れ~と促すのはそもそも間違いです。本当の意味での研究はそれこそ協会と学校の教官が、臨床に赴いてアイデアを吸い上げ、臨床現場とコラボしてデータを吸い上げていくべきものなのです。毎年、どれだけのEBPTができているのでしょう?ガイドラインはでていますか?実証性のあるとかEBMというのは聞こえがいいですが、結局は旗振りだけでいつまでにどのようなテーマで何を目的として取り組むのかは全く聞こえてきません。
  さて話が脱線しましたが、いろんな講座や勉強をしていると結果的に自分が向いていないということがわかることがあります。つまり今やっていること、目の前にある当たり前のものの価値が再認識できるということです。自分は臨床ベースに進むべきなんだと、ブレナイ心が培われました。例えば臨床のツールにおいてもそうです。認知運動療法のメッカであった公社の大久保病院というところに非常勤で定期的に行っていたことがありました。とても素晴らしい方法だと思いましたが、そのアプローチ手順は私にはじれったくて向いていないことが漠然と認識できてきました。もちろん認知運動学習などのベースとなる理論は臨床に応用しており、現在の臨床の基盤の一つとなっていることは疑いの余地はありません。大学院でも知覚運動制御などの実験心理学が専門の研究室であったため、認知運動療法の理解にはとても役に立ちましたし、その後のBodyworkの布石にもなっています。思えば辛い大学院生活も結果的には今につながっているんですね~陸上競技の長距離も学生時代の部活に入っていましたが、辛いだけで楽しいとは一度も思ったことがありませんでした。グランドをぐるぐる回って走るだけで、とてもQちゃんみたいに笑顔で走れませんでした。しかしながら、そのぐるぐる回る競技のおかげで、身体の左右バランスが崩れ、lateralityのある身体アライメントになりました。仙腸関節もズレテおかげで仙腸関節にはずいぶんと興味を持たせてもらいその後の研究発表につながっています。運動連鎖アプローチも仙腸関節への取り組みがあったからこそだと思います。bodyworkもlateralityへの取り組みがPTのやるべきテーマだろうと思い、YA~MA bodyworkを立ち上げています。今でもこの身体左右差のために上手くポージングができないことが多々あり、そのために日々工夫しているからこそYA~MAも進化します。
  リハビリを取り巻く知覚・認知の世界は急激に変化しつつあります。治療効果に差がでるかどうかはこれからの取り組み次第ですが、セラピスト自身の脳機能をコントロールする、つまり心理的なコントロールの術として脳科学、認知神経科学はあるのではないかと感じています。何故ならスポーツの世界でも心理的なコントロールが勝負を左右するように、臨床においてもセラピスト自らのコントロールが効果の是非を決めることになるからです。また、クライアントの理解度や学習過程を推し量ることができるようになるのです。ココロと身体、ようやくデカルトの二元論的な身体からの脱却がはかれる時代が来たのです。この本のなかには樋口先生の研究室の書棚や、駐車場がでてきます。実にそのあたりの引用?にうならされます。゛そこかい見どころは!”と突っ込まれそうですが、6月にお二人の掛け合いを楽しみにしています。
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