ジャイロキネシス

ジャイロキネシス

 運動連鎖道場生から始まった目黒若菜先生との交流、私もジャイロキネシスを先月から定期的に受けるなかで感じたことを書いていきたいと思います。ジャイロとはその名の通り回転という意味であり、人の身体運動に回転やスパイラルなどの要素を取り入れたエクササイズということになります。ピラティスが比較的二次元的な要素とワンポーズの完結型であるのに対して、ジャイロは流れの中でコントロールしていくというモードが必要です。本来ならば最初はゆっくりと反芻しながら、繰り返しトレーニングして完成度を高めていくという学習方法をとりますが、ジャイロの場合は流れの中で止まらないで会得していくというコンセプトになります。よって、少しモードを変えなければいけません。
  リハビリの治療でもそうですが、評価~治療~検証という断片型のコンセプトですので、どこかでモードを変えない限りは流れのある治療にいきつきません。私自身も臨床のなかで、意識的に熟考型から感覚派に変えた記憶があります。感覚に行き過ぎると大事なことを見逃すこともあるので、時にはリサーチモードにならなければいけませんが・・・バランスが大切なんですね。読売新聞の朝刊で、小学校の体育のは動く時間が少なく、体力強化になっていないとの記事がありました。つまり質的なものを求めるあまり説明や解説が多くの時間をとられ、平均すると実際に身体を動かしている時間が40分のうち10分程度になっているとのことです。自分が小学校のときはもっと動いていたように感じていましたが、現在はそんなものなのかもしれませんね。そこで意識的に動く時間をタイムにとって、身体を動かす体育授業(当たり前のことですが)に転換した結果、県の体力平均値よりも大幅に向上したとのことでした。
  リハビリにおいても、考えないでやれというわけではなく、動いている量は少なくてもいいのですが、いわゆるあーでもないこーでもないという考えている時間(考察時間)は、セラピスト側としてはいいですが患者側にたつと満足度が低下します。つまりセラピストの頭の中のみが充実した濃密な時間をすごし、傍から見ているとほとんど変わっていない動いていないということになります。動きの大きさでなく意図した動きを、より多くの時間使っていることが大切なのです。例えばマッサージなど、よーいドンで40分いくらというふうに最初から最後まで施術で終わります。自費で払う分にはやってもらった感は時間と量に比例します。リハビリの場合、急性期で劇的によくなれば5分でも気持ちよく自費で払っていただけますが、退行性変性疾患などでは動きの質を変える運動学的なアプローチのみでは、自費をもらいにくくなります。多少サービス的な気持ちよさなどがないと、自費では少しきつくなります。その点インソールや針などは、作ってもらった、生体内に刺したという痕跡が残りますので対価を払いやすくなります。たとえば、我々でも診察で注射をしてもらったら時間は数秒ですが数千円は払おうと思いますよね。その効果と価値をわかっているからこそですが、注射をしてもらうと良くなるという意識と痛みを我慢して受けたという覚悟もありますね。よって比較的ギューギューやってもらって痛かった~という足裏マッサージなどがやってもらった感が強くなります。新人がいきなら外来中心のクリニックにいって、いきなり何をしていいか分からず、マッサージに走ってしまうのは仕方がないことなのです。まずは患者の満足度を得ようとする行為だからです。マッサージ抜きで満足度を高める、そんな努力をしましょう。私はマッサージの免許ももっていますが、リハビリではマッサージはしません。何故なら、マッサージを勉強したからこその効果の高さも患者受けがいいことも知っているからです。
また結局、リハビリでもセラピストがマッサージをしますが、マッサージの専門の学校に行って学んだマッサージ師には技術的に敵わないことも知っているからです。講師陣の指や手の質をみればリハビリ関係者の手とはかなり違います。職人の手です。何か良くなりそうな雰囲気をだしている手です。
だからこそ、マッサージではなく理学療法として動きをベースとしたアプローチで専門性を打ち出さないと独自性がアピールできないのです。以前、若いマッサージ師が研修に来ていましたが、腕が良くすべての患者を確かにマッサージでアプローチするのですが、間違いなく楽になるのです。確かに運動療法などにてマネージメントしなければ、効果は持続しないというような講釈をPTはすぐに言い訳のようにしますが、その場の満足度も得られないようではただの言い訳を言っているだけになります。
PTがマッサージで勝負したとしてもとても敵わないのです。他のPTがマッサージするとほぐれはするものの、マッサージ師ほどの満足感は得られないばかりが、場合によっては揉み返しまでおこしてしまいます。よって、私は基本的には揉んでいる手つきをリハビリ現場でみせることは、敢えて禁止としています。運動連鎖を整えた後に、循環を促す意味でマッサージは有効だなと感じる場面はあります。しかしながら、最初からマッサージですと患者は依存的になります。他の方法で良くなったとしても、マッサージを要求してくるようになります。気持ちいいに慣れてしまうと、慰安的となりリハビリではなくなります。気持ちいいより、良くなるところなんだという教育が必要なのです。近年、大衆の意識の高まりにより、能動的に自らをコントロールする手段を求めてくるクライアントが多くなっているので、そういった意味においてbodyworkを導入するいい時期なんだと思われます。リハビリの雰囲気はどうしても、フィットネスとは違いますので、寝て揉んでもらってという流れが地方ではまだまだあると聞いています。逆にフィットネスでは揉んでもらってという風景は違和感があるように、積極的に身体を動かしていることに価値観の比重が高くなります。bodyworkになると雰囲気的にレッスンになるのです。やはり環境に影響を最もうけるということなのです。

  話が脱線しましたが、大事なのは大脳皮質と脳幹部のバランスです。もう少しわかりやすい例にとると、ボトムアップとボトムダウンの見方があります。私が臨床実習しているときに、そんな見方があるのかと先生方の初回のリハビリをみていて感じたことを今も鮮明に覚えています。つまり学生の時は個々の評価項目を並べることに精いっぱいで、結局全体像がみえてこないことが多々あります。どんなに部分をつきつめた何百という評価項目を並べても、結局は人にはならないんですね。デカルトの心身二元論の限界です。さて実習のときに何を見たかというと、初期評価だけでは実際は何日もかかって、プログラムの立案からアプローチに至るまでに学生であれば1~2週間もかかってしまいます。しかしセラピストになると、できることとできないことを大まかにADLや動作をチェックして、そのなかから必要と思われる身体的要素を反映した評価にて確認していくという算段です。つまり評価は確認の意味あいが強く、改めて雲をつかむようなところから真理を導き出そうとしているわけではありません。研究はまさに雲から氷結の結晶を見つける作業ですけどね。
  さて、  さて具体的な話に移りますと、まずジャイロのコンセプトは解放して体験感じることです。考えるとジャイロの動きは途絶えてしまいます。縦と横の動きからさらに斜めや螺旋かの動き、そして淀みなく連続する意識と運動そして息使い、エネルギーの流れ・・・レッスン終了後に求められるのは爽快感などの気持ちの部分であり開放感です。ピラティスの場合はバランスが良くなった、機能的に改善したというリハビリに近いモードになります。だから数あるbodyworkのなかでも、ピラティスが日本でもまずリハビリの中に入ってきたんでしょう。bodyworkには基本的には感じることというコンセプトがありますが、ジャイロはさらに身体のエネルギーを感じながら、大地との融合をチャクラにてアクセスしながら行います。若菜先生は間違いなくエネルギーの実態を感じながら身体に回しているのがわかります。まずは自らが見本というより、エネルギー回して結果的に動きを見せます。よって型ではないので、引き込まれるムーブになります。もちろん手順はありますが、動きを示すのではなく、エネルギーのムーブの結果をみせるのです。1月の沖縄ので運動連鎖道場のレクチャーも快諾していただき、要望が早朝の海でやりたいですって。大地とともにあるbody workですね。
  まさに、ダイナミズムな呼吸のリズムをもって行うエクササイズは、すでにエクササイズではなく対象は地球といった感じです。キーワードは「スパイラル」「3demention」「Fifth line」「エナジー」「The earth」「解放」「味わう」そして一番大事なのが「スマイル」だと感じました。エネルギーの出し入れを感じながら行うエクササイズは、淀みなくそして四肢にまでエネルギーを感じることができれば、それはまさにエネルギー的な観点からの運動連鎖アプローチということになります。結果的にキネマティクスの観点からも良くなっているのです。ピラティスがコアーと筋肉によるコントロールがメインとすると、ジャイロは骨になります。これがfifth lineと呼ばれる、左右前後とは別の仮想のラインです。運動連鎖でいえばニュートラルの軸といえます。骨と骨を連動させるようにつなげていく先には、無理な筋活動を強いない、自然なそして最小限度の効率にて骨関節の動きを促します。副運動の促通といえばわかりやすいかもしれません。ピラティスがコアーを強く太くOKCでの躍動性を目的とするならば、ジャイロは骨の3dementioのジャイロ(回転)を促すということです。靭帯や小さな筋肉のリリースにも効果的でしょう。
  私が現在まで3回のジャイロキネシスレッスンで感じたことは、呼吸のパターンと動きの組み合わせにより、いくつものバリエーションが生まれること。そしてエネルギーを丹田に充電しそして末梢に伝播させていくために全身の力を中央に集約し、そして流していく。そのためには運動学的な筋骨格の抵抗性や能動性が不可欠であるということです。イメージだけではダメなのです。イメージとコントロールされた動きと、そして重力下に暮らすものとして抵抗性、そして心身のバランスを取る意味で呼吸による自律神経と運動による運動神経の調和が不可欠なのです。また、ハムストリングスに注目したエクササイズが多いのが特徴で、ピラティスでは内転筋ですけどね。ジャイロはハムストを促通することにりエネルギーを、ピラティスは内転筋と体幹を意識することでコアーの形成を促すのです。やっていることはあまり変わりがなかったり共通するところは多々あるのですが、理念が違うので結果的にできあがる身体が違うのです。最近、クライアントから話をきいたり、体験でやったことがあるという一見さんの話ではピラティスはキツイよね~ということです。もちろんセラピストやスポーツ選手がやると楽になったなどの意見も多くききますが、一般人ですと、それと同じぐらい大変だとか腹筋がキツイなどの筋トレ補強運動的なイメージもあることも確かです。ピラティスで始まったbodyworkの流れは、心地よさや気持ちよさというヨガやジャイロなどのマインド的な要素があるものに興味が広がり、そしてロコモーションにつながるコンセプトとして抗重力を意識した太極拳や効率的な動きとしての古武道、そして民族性を取り戻す原点回帰としての能などにより、心と身体の日本人化が促されてくるものと思われます。

 また話がそれましたが、ジャイロではハムストを、コンセントリックとエクセントリックに自由に使い分けていきます。結局、男性がbodyworkをするにあたって、一番の問題は身体の硬さ、つまり開脚ストレッチのハムストのタイトネスです。これをクリアーしないと結局、筋力はあってもポーズがとれません。説得力で何が一番あるかというと、ベターと両手が地面につくとか180度開脚できるとかです。
 女性は特に何もしなくても柔軟性に富んだ人が多いですよね~よって女性のほうがbody workにむいているんですよ。男性はあまり柔軟性が注目されない、精神性を兼ねた武道にいくのです。ハムストリングスをいかにやわらかくするか、これはジャイロでかなりヒントを得ました。agonistとantagonistの働きのあるハムストを足と股関節そしてOKCとCKCのバリエーションを加えると、相当やわらかくなることがわかりました。ようは何故にタイトになるかというと、伸長反射がおきているわけで、全ての歩行のphaseにて何らかの筋収縮形態が入っているようにトレーニングすれば自然と伸びてくるものと思われます。今自らの身体で実験中で、YA~MAでまた体系づけますのでお楽しみに。
 ジャイロキネシスに興味のある方は、「運動連鎖道場 掲示板」にて若菜先生のセラピスト向けのワークショップの案内がありますのでご参照ください。
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