腹横筋2

腹横筋2

一般的にいわれてる腹横筋の評価はASISの近接を触診して左右差を比較しますが、私はこの方法はほとんど使うことがありません。ピラティスのDav cohenの実技ではASISの内側を触り、腹部を膨らませないように緊張させるトレーニングをしました。しかしながら自分ではできてもこれを患者レベルに応用することは難しいと感じました。
 既にコアーの評価も含め運動連鎖の機能的評価はレントゲンや血液検査のように数値化できるものではないので、要素還元的な方法ではなく演繹的な方法を用いることが不可欠です。実は整形外科テストにおいても陽性か陰性かという曖昧なものなのです。
現在は超音波を使った研究や臨床応用が進んでいますので、本当に評価をしようと思えば超音波を使用するしかありません。
  私自身はstabilityの評価に腹横筋を用いることはほとんどありません。まず腹圧を高めてもらって脇腹を押してみてtoneを評価することはしますが、あくまでどこの筋肉をではなく側腹部となります。結果的に単独の腹壁の筋肉を抽出する作業そのものが難しいので、側腹のtoneが入っているには腹横筋も機能的に働いているはずだ、という演繹的な考え方を用います。多裂筋を評価しろといわれても難しいのと同じですね。ただ脊柱の分節的な動きの評価を含むであろう、ピラティスでいうロールアップの可否は多裂筋の働きを反映しているといえます。よってパフォーマンステストとして出来不出来をみて、多裂筋なりの要素を含む機能評価とします。最終的には実際に活用される動作への視点がなければ単に学術レベルになってしまいます。臨床レベルになると単独の評価エクササイズなどの要素還元的な考え方だけでなく、パフォーマンステストに飛躍して組み合わせる必要があります。
 
 腸腰筋に関しては珍しく単独で評価できます。座位で股関節屈曲を能動的にはほとんどの人が可能ですが、骨盤前傾と生理的前彎をスタートポジションとしできるだけ保持させながら他動的に屈曲の最終ROMにもっていき、ゆっくりと手を離して空中に保持させます。腸腰筋が利いていない場合はバッタリと落ちてしまいます。または既にこのような行程を踏まなくても、腸腰筋がきいていなければ他動的なROMも制限されますので屈曲可動域が小さく挙がり幅が小さくなります。股関節を屈曲してソケイ部が詰まるという現象も腸腰筋の機能不全になります。仙腸関節をモニタリングしながら股関節を屈曲させて、腸骨の前後傾、腰椎の前彎が促されるかどうかをみるのも判断材料になります。

 総括すると、stabilityおよび体幹の機能として不可欠であろう条件である前記事の項目を満たすことが腹横筋の働きには不可欠なのです。腹横筋を単独に働きを評価すうことも大切ですが、むしろ働けない環境にあるため利かないというのが腹横筋の正しい解釈だと思います。よって、各種のパフォーマンステストを用いることで、より腹横筋が働きやすい環境を整えることが、臨床ではより早く効果へ結びつけることができると思われます。その上でtoneが上がってこなければ、単独の筋機能の評価が不可欠になってきます。つまり筋の委縮などのボリュームそのものに問題があるなどです。
 要素に限局して理論的に正しいということへの追及が必ずしも臨床的に効果があがるとは限りません。パルペーションによる動作分析など、運動機能に関わるセラピストの場合は即時的な直観力を磨いていくことも必要です。 先日のネットの記事で特筆すべき内容があったのですが、将棋のプロ棋士はデタラメに並べた盤面を0.1秒後には盤面の90%以上正当できるそうです。アマチュアの4段以下の人は0.5~1秒を要したそうです。脳波ではその0.1秒後には前頭葉にシータ波が強く現れ、これは認識や記憶と関係がある脳波とのことです。プロは将棋の駒に反応するのではなく、配置の意味まで瞬間的に理解していることがうかがえるとしています。また脳のfMRIでは頭頂連合野の背内側部が活性化するようで、プロ棋士の直観を解明する糸口として注目されています。この内容は10日の日本神経科学大会で発表されるようです。詳細は0.1秒のひらめき プロ棋士の「直観」科学的に解明へをご参照ください。セラピストは理論派と感覚派というタイプに分かれ、しばしばどちらが大切かという議論になるようですが、エビデンスと直観のバランスこれが大切です。
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評価

新人PT
やはり日々の臨床において評価の重要性はいうまでもありません。言い訳にするつもりでもありませんが、新人にとってはかなり悩む分野でもあります。姿勢や動作観察・分析と各機能レベルの評価の間の評価が必要と感じています。単純に勉強しろと言われるとその通りですが、実際のつながり、つまり運動連鎖が見えないないのも事実です。山本先生のおっしゃる通り各パフォーマンスを選択することもままならないと思われます。したがって、小生の悩みとして臨床推論について御教授願えると幸に思います。

吉田大地
腹横筋の触察については、一般的にはASISの2cm内側、体格差があるので日本人であれば1.5cm程度であると聞いています。(英訳の文献と勉強会の内容、だったと思いますが)
しかし、ASISから正中軸へ辿る様に触察するのであれば、その部位では内腹斜筋が水平方向へ走行していることも考慮し、単独収縮を確認するのは難しいのではないかと思います。
名古屋大学の川上先生が運動器体表解剖セミナーや著書で提唱されている、腹横筋の触察、下部肋骨と腹直筋の境目であれば、他の筋に邪魔されず比較的触察は可能であると思います。

しかし、単独収縮をいくら評価し確認できたとしても、それが望まれる動作の中で協調的に収縮しているかがポイントとなります。私も山本先生のパフォーマンステストと同様なことが大切であると考えていますので、また自己研鑽や勉強会等で学んでいきたいと思います。

余談ですが、最近とくに『運動連鎖』という言葉を耳にします。勉強会や文献等でも取り上げられてきているようですが、やはりトータルに考えていく必要性を皆感じているのだと思いました。失礼します。

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