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脊柱の運動連鎖アプローチの疑問質問

○脊椎回旋運動の際に、側弯症に対しても運動指導するとのことでしたが、側弯症に対する治療として効果が認められてるものは、装具による保存療法のみと記憶しています。
側弯症に対する運動指導目的について理解が曖昧になってしまっているので、そこを解説していただきたいです。

 
 構造的な変化はあまり期待できないですね。私の治験でもコブ角が9度が5度、16度が12度ぐらいの改善は認められます。エビデンスがないということでを考えると、腰痛も膝OAも理学療法による長期効果は証明されていません。つまりレントゲンにおける構造が変わらないから、現状も分離症もスポーツ障害における靭帯炎も保険対象外となっています。つまり治るということは現代医療では構造的な組織的な治癒であり、愁訴や機能の改善ではないということです。しかしながら相変わらず側湾症に対する親御さんのニーズは高く、何かを頼らなくてはいません。理学療法や保存療法に効果が証明されていないとしても、ニーズがあるということです。よって愁訴や機能を改善することが理学療法の目的ですので、そういった意味での適応はあるということです。
https://www.neurology-jp.org/guidelinem/pdf/dmd_08.pdf
この文献は筋ジス(DMD)患者を主に対象としたものですが、重度な進行性の側弯における手術療法の適応と効果について述べられています。
https://sarcopenia.jimdo.com/脊椎外科のエビデンス/思春期特発性側弯症の装具治療のエビデンス-nejmより/
装具治療が特発性側湾症には有効との報告が多いようですね。
腰痛もそうですがコルセットだけでは改善しませんが、運動療法が必要です。側弯症も彎曲の進行を抑えられるかどうかがエビデンスの効果ポイントになっており、その観点からは装具療法は手術回避ができる可能性が高いということです。装具なしで理学療法や運動療法のみで改善できるかどうかはわかりません。側弯に付随した愁訴の改善といった観点から見ると腰痛同様適応があると言えるでしょう。

○実技で筋の緊張状態の触察や使わせたい筋肉を使わせやすい場所への誘導が難しく思いました。

 関節を操作する上で、直線的な操作だけではなく、婉曲的なハンドリングが必要となってきます。つまり運動連鎖アプローチでは運動パターンの組み替えという概念があり、下肢であれば股関節と膝関節と足関節の多関節運動の組み合わせとなってきます。動かし方によって二関節筋の作用は変化してくるわけで、主動作筋と拮抗筋の緊張によっても関節の整合性が低下していることもあります。いかに周りの筋肉を抑えて、目的とする筋肉がだけをisolationできるか?それは鍛錬していくしかないですね。一度上手くいかなかったら、軌道を変えて何度かチャレンジしていく中でアジャストしていきます。私も関節を動かすその一瞬に何十種類もの組み合わせをランダムに動かしながら探索しています。

○腸腰筋がなぜそんなにも大事なのかいまいち理由が分かりません。
なぜ大事にもかかわらず腸腰筋が働きにくくなる人が多いのか?
どのようにしたら腸腰筋を働きやすくさせることができるのか?


腸腰筋は最初から大事だとわかっていた訳ではありません。腰痛の原因として取り上げられていることは明らかで、腰椎の前弯の増強が指摘されています。そういった意味で腰痛の改善に寄与するということからも有用と言えます。ただ本当に機能として股関節屈筋というだけで脚を持ち上げる作用以外の効能は近年まで示されていませんでした。ところが東京で世界選手権があった、もう20年以上も前になるでしょうか・・・大希望な研究班が入って、早く走れるメカニズムについて解析が行われました。そこで初めてMRIを腰部に水平面に撮影してみると、黒人の大腰筋が大きいということが分かったのです。また筑波大学の久野教授が介護予防の研究で大腰筋が大きいほど、介護度が低いということが分かっています。つまり統計をとって相関を見たら、活動の高さと関係性があったということで、機能は後付けで説明されています。その機能が道場でも説明した伸展と屈曲に作用するということであり、実際に体験してみることでその軸としての重要度がわかります。

○骨盤後傾位の人はハムストリングスが廃用により短縮する…という話があったと思うのですが、女性と比べ、男性の方が柔軟性が低いことが多い点と何か相関はありますか?

男性が女性よりもtightnessなのは、女性ホルモンの関係もあると思います。関節が弛緩しやすく、生理の時には膝の靭帯損傷を起こしやすいという報告もあることからも、そのことを物語っています。また筋力も男性のほうが強いということも、より腱に対して負担がかかることになるでしょう。ハムストリングスのtightnessのメカニズムは本当に短縮なのか?それともspasmなのか?立位体前屈が何かの手技などで簡単に伸びることを経験しますが、あの現象はどちらかというとハムストリングのみの硬さではなく、アナトミートレインで提唱されているSFBL全体のlinkとなります。開脚の柔軟運動ではハムストリングや内転筋のダイレクトな短縮が顕在化しますが、これは綿密に検討するとコアーを効かせて、拮抗筋である大腿四頭筋などの収縮のタイミングを図っていくと、ハムストリングは伸びやすくなります。男性のほうが骨格がしっかりしていて、筋力も強いことから単関節運動であらゆる労働をこなしてしまうことも硬さの原因かもしれませんね。何れにせよ筋力が強いということは全身のボディメカニクスではなく末端の筋力で遂行してしまうことも、柔軟性の欠如につながる要因だと思われます。アウターの筋ボリュームが分厚すぎると、ボディイメージとしてほぼアウターで占められてしまい、インナーにフォーカスできなくなります。アウターの少ない女性は、それだけでも身体感覚のレイヤーが違う。つまり常に鎧を纏っている男性と、普通の衣装を装っている女性とはそもそものボディが違うということです。

○脊柱管狭窄症の病態と介入の仕方について後程説明する…と話されていたと思うのですが、
実技であったようにアウターに入らないポジションを探して、筋収縮をモニタリングしながらインナーを活性化させていく…という流れで介入していけばいいのでしょうか?


脊柱管狭窄症は前駆症状として不安定性腰椎があります。不安定性は初期のことは前方に辷り、年齢を重ねていくと後方滑りも合併してきます。この不安定性は上体を前傾することでも増長します。よって根元から積み木が倒れていくような動作は、さらに不安定性が増すことになるのです。もちろん脊柱管狭窄症も脳卒中も体幹の安定性ということにおいては、原則は変わらないのですが、病態に応じたアプローチが必要です。レントゲン所見を見て、どの動きで不安定性が増長するのか?また矢状面だけではなく前額面における側方変位や側弯の影響も考えられますので、神経症状が間欠性跛行なのか、例えば裏腿が痺れるようなダルサが出るタイプなのか?坐骨神経症状などの神経根症状なのか?そしてその症状がどの腰椎分節と関係しているのか?体幹だけのアプローチですとそれはトレーニングになってしまいます。メディカルであることを考えると、診断的な視点を持ってミクロの変位を分析して、外郭からどのようにコントロールできるのかを考えて、ポジショニングやエクササイズ方法を選定していくことになります。
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