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筋膜の解剖と病理⑴

筋膜を取り巻く学術的、臨床的な領域において大きな発展を遂げています。

私自身も臨床に携わる中でその効果を再検証し再実感している次第です。

この膜fasciaという概念が運動連鎖アプローチの中で定着することで、新たな身体像が見えるようになってきました。

元々、運動連鎖パルペーションテクニックにおいては、身体をスキャニングすることが最大の持ち味と言えます。

つまり運動連鎖アプローチ®︎とは、一つのチャンネルが開くと、そのモダリティにアクセスすることができるのです。

学術的には医学会において筋膜はどんどん発展しており、今まではアナトミートレインやオステオパシーに携わるセラピストのみの秘伝のような扱いでした。このやり方では名人芸的な逸話でしかなく、学術にも医学にもなり得ません。自称ということになり、明確なジャッジを受けることもなく国際的な検証を受けることもなく、埋もれて消えていくのです。

それがアナトミートレインを通じてではなく、自国においての医師を中心とした医学としての検証と効果が謳われてきたことにより、新たなステージにたったと言えます。

ここに改めてその基礎に立ち返り、運動連鎖アプローチ®︎における新展開のための礎にしていきたいと思います。

2015年、国際筋膜研究学会において「形態学」と「機能的」な研究で定義を分ける必要があるとの見解が示されました。
これは解剖として明確にしていくことと、実際に臨床においておきうる現象や反応において本当に筋膜における反応かどうかは選別しなければいけない段階に来ています。つまり手技としては筋膜リリースと言っていても、実際にはどのモダリティに対してアプローチしているかを区別していないと、好転反応は全て膜の効果だと一括りにしてしまう可能性があります。実際に徒手によるアプローチの検証は前後でのエコー検査でしか分からないのですが、それさえも他の軟部組織に対する介在も考えられ、画像診断と実際の効果や反応とは相違があることも予想されます。よくあるのは画像では良くなっているけれど、自覚症状としては「痛い」といったことであり、このようなピットフォールに陥らないように気をつけなければいけません。しかしながら検証の方法が前後のエコーなどの画像診断だけですと、リアルタイムでの介入の検証はでいないのです。つまり結果的に画像における変化と臨床症状の改善が一致することが不可欠ですが、そうすると例えば深筋膜に対するアプローチは徒手だと皮膚や浅筋膜に対する媒介もあるわけで、介在しての深筋膜への到達は徒手ではダイレクトではないということなのです。ダイレクトであれば針を入れて生理食塩水にてリリースするといった方法を取らないと、本当の意味でのリリースにはならないでしょう。
 つまり皮膚はむき出しの脳としての外胚葉系の働きや作用があり、皮下組織にはリンパドレナージのようなリンパ血行性の改善効果が見込まれ、また多くの感覚レセプターが内在しています。皮膚から皮下組織に入っていくと、サンドイッチのように浅筋膜が挟まっており、これが皮膚と皮下組織全体のテンションを保持しているものと察せられます。
 
広義の膜としては高密度平面シートと表されるようで「関節包・靭帯・腱・支帯・筋間中隔・内臓・脈管系・神経・髄膜・骨膜」などが含まれ全身に広がって連動しているため「第二の骨格」とも呼ばれているようです。

また国際学会においては「皮下で筋や他の内臓器官を結びつけたり、包んでいたり、隔てている(分離・セパレート)している鞘やシートのような剥離可能な結合組織の集合体」と定義しています。

この膜構造は単なる隔離するための仕切りというだけでなく、姿勢保持や運動コントロールに関わる重要な役割を持っているとされている。解剖学的には器官の隔たり以上の飛躍はできないわけで、そこに機能的に重要な役割を果たしているという推察は少々飛躍しているとも言えます。しかしながらこの膜においては、筋膜をメインとして見事に機能的な器官であるという認識が広がっており、筋膜を語る上での前提条件ともなっています。これはアナトミートレインを初めとして、オステオパシーやロルフィングなどの、機能functionalとしてのコンセプトが長らく先行していたことによります。

何事も最初が肝心だということを証明してくれているいい例だと思います。
医学において機能から器官を論じることはなく、後からパラメディカルやセラピスト、トレーナーが理論体系とともにエクササイズコンセプトや治療コンセプトを提唱するといった順番であり、これでは世の中における一時の話題程度にしかなりません。膜においては最初にあるという前提とした先人の先見の明があり、医学的に証明されるまで根気よく信じて実践を続けて臨床において検証してきたという背景がああったからです。そして筋膜が解剖学的に解明される時代となり、さらに国際筋膜研究学会という学術的な場での検証も相まって、医師の治療方法の一つとして確立しつつあるといったことが決定打となっています。これが研修や訳本だけの引用のみで論じていたならば、ここまで発展もなかったでしょう。この一連のプロセスの中に本当に理学療法が医学として社会の中で、どのような手順を踏んで、どのような方向性や理念を掲げて取り組むべきかという羅針盤を示してくれています。
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