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不安定性腰椎の保存療法~理論編⑵~

不安定性腰椎の理論編の第二弾

若年者における不安定性が加齢とともに変性を起こし、変性側弯に至る過程を大まかに説明しましたが、さらに具体的な保存療法につながるメカニズムについて概説します。
不安定性腰椎の原因としては、モーターセグメントのインスタビリティーがありますが、その機序はどのようなものなのでしょうか?

無分離辷り症がL5ではなく、L4やL3に起こるメカニズム
一般的に前方辷りに対しては、ドローインに代表される、お腹を凹ませて腰椎をフラットにさせるような、ベルビックティルトと呼ばれる古典的な運動療法が思い浮かびます。
前に滑っているから背後に戻す、一件理にかなっているようですが、では常にお腹を凹ませて骨盤を後継気味に力を入れておくことが、果たして生活動作において合目的であると言えるのでしょうか?
いわゆる腰椎だけを取り出した、モデルであればそれでいいのかもしれませんが、実際のところ後ろに戻したいのは一分節だけで、腰椎を全てフラットにしたいわけではありません。これが既存の運動療法の一つの疑問であり、結果的に理論だててはいるものの、決定打になり得なかった理由でもあります。

 メカニズム重視の日本の理学療法文化において、本当に何が有効なのかを最大公約数を導き出す思考が醸成されていないのです。
 結局テクニカルとしての体系は、再生治療やエコー下の筋膜リリースなどに取って代わり、理学療法のみで治療の主流になることはいつの時代を見てもありません。
 つまり不安定性腰椎の画像所見で明らかとなる、一分節に対してのみ運動療法や徒手療法にて症状は改善したとしても、本当の意味で良くなることはありません。結果的に保存療法にてフォローアップしていた患者が、やはり手術に踏み切る例があることを考えると理学療法の限界と適当についての基準を持つことの教養が必要だと感じます。

つまり「楽になる」「軽くなる」という不確かな結果だけで良し悪しを判断することからの脱却です。
本論に戻しますと、不安定性腰椎になる一例としては、術後の患者さんです。腰椎椎間板ヘルニアなどでlove法などを施していると、椎間板がまず脆弱となります。髄核を摘出すると、椎間板が応力に対して弱くなり、早期に動かし過ぎると結果的にモーターセグメントのインスタビリティー、不安定性腰椎になります。
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よって不動は良くないということで、必要な固定をおざなりにすると、どんなに体幹を鍛えても大元の不安定性は改善しません。これはACL損傷後のリハビリにおいても同じことが言えます。ACLが断裂しているとどんなにantagonistであるハムストリングスをトレーニングして大腿四頭筋との同時収縮を学習したとしても、giving wayを完全に防ぐことはできません。ある程度は治ったとしても、半年に一回とか不意に出てくることがあります。

それと同じで、大元の靭帯や椎間板などが脆弱であると、リハビリでは構造的に治ることはないのです。さらに不安定性ということは、可動性や柔軟性を改善させるためのアプローチは適応になりません。
mobilityの改善よりもinstabilityに対して固定性と安定性を高めるためのコンセプトが必要となります。

つまり不安定性腰椎に対するアプローチの原則は、不安定性を呈している分節を留めることではなく、局所に集中しているメカニカルストレスを満遍なく分散させるために、まずalignmentを機能的に見直すことです。
完全に留めるには金具でなければまだ無理だからです。留めるために最も効果的な外科的方法と同じことが、保存療法ではできないということです。

まず無分離辷りが何故L5に起きないかというと、腸腰靱帯による強固な固定力によります。
よってL4より上位の腰椎に起きやすいのです。
ではすべての人に無分離辷りが起きるわけではないことを考えると、どのような機序にて引き起こされるのか?
これは、腸骨のアライメントが関わってきますり、腸骨が後傾すると途端にL5もposteriorに牽引されます。そのまま腰椎が屈曲位に丸くなってしまえば、前方辷りにはなりません、つまり体幹が直立位になろうとすると下部腰椎に伸展作用が働き、剪断力が働くということです。

参考資料:1)Clinical Biomechanics of the Spine:Augustus A. White (著), Manohar M. Panjabi PhD DTech (著)
    2)http://www.chiro.org/ACAPress/General_Spinal_Biomechanics.html
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