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不安定性腰椎に対する保存療法〜理論編⑴〜

不安定性腰椎はmotor segmentのinstabilityが背景にある

“motor segment”は,椎間板,前縦靱帯,後縦靱帯,椎間関節,棘突起間黄色靱帯が動く部分で,さらに脊柱管内の脊髄など,左右の椎間孔もこれに属する。脊椎は24椎体ありますので、後頭環椎関節や環軸椎などの特殊な構造も含めると、motor segmentは合計25分節ということになります。
motorsement.png(河端正也:腰痛テキスト.20,南江堂,1998.より)
この“motor segment”の不安定こそが腰椎不安定性の根源であり、腰椎の安定性stabilityが運動療法のスターダムに上がってきた病理背景となります。
 つまり,“motor segment”は,脊柱の椎間構成要素であり、椎間板が変性することで潰れると、脊椎を固定している靭帯に弛みが生じ、椎間孔の狭小化などの神経症状を引き起こすのです。
 この腰椎の不安定性に対して腹横筋と多裂筋理論が唱えられるようになり、
  腰椎の安定性
    ↓
  腰部の安定性
    ↓
  Coreの安定性
    ↓
  体幹の安定性


以上のような変遷があります。
私自身の臨床経験からは、この不安定性腰椎は比較的若年者にも見られ、20歳代にも珍しくありません。
この若年者の段階では椎間板の変性などはほとんど見られず、いわゆるローカルマッスルの低下やアライメント、不良姿勢によって、メカニカルストレスが一分節に集中することで引き起こされます。

スポーツ選手においては成長期に見られる腰椎分離症は疲労骨折のような病態ですので、過負荷が繰り返しかかることでL5の椎弓が骨折することによって分離辷り症を発症します。

L5は解剖学的にも強固な靭帯によって固定されており、分離骨折を伴わないと辷ることは起きにくい構造となっています。

もちろんスポーツ種目によっては過度な前弯を強要されることによって、多椎間に分離辷り症を呈することもありますが、概ねスポーツ選手に起こる分離辷り症はL5/S1間になります。

これが中高年になり椎間板の変性によるmotor segmentのinstabilityが出てくると、L4やL3に辷り症が出てくるようになります。分離を伴わない、無分離辷り症ということになりますが、本来は骨折を伴わないと辷らない構造となっているのですが、腸腰靭帯によって連結が脆弱もしくは連結がないL4/L3は前方辷りが出やすい機構となっています。

では何故に無分離辷り症が起きるのでしょうか?
一般的には腰椎の過前弯による前方辷りが言われていますが、5腰椎の6分節が満遍なく前弯している場合には、問題は起きにくと言えます。特にウエイトリフティングをしている腰椎を見てみると、屈曲位ではダイレクトに椎間板に負担がかかってしまうので、椎間関節も含めた椎間板との配分が大切となってきます。よって腰椎前弯が機序としてもお腹を凹ませてウエイトリフティングをすることは逆に腰椎を傷めることになります。
つまり前弯も生理的前弯を保持して重たいウエイトをリフトすることが合理的と言えます。
しかしながら腰椎の生理的前弯の判断が難しい!
腰が反りすぎている!
腰が曲がっている!

これは見た目にも分かりやすい判断となります。
しかしながら正常な腰の反りの基準がありません。
実は日本人は生理的な前弯を保持できている人は少ない印象です。
腰椎は骨盤の前後傾角度によって、前後弯が相関します。
では骨盤の整理的前傾を評価することが一つの目安となりますが、腰椎を見たわけではありません。
高齢者は生理的な骨盤の傾きを維持できている人は殆どいませんので、この腰椎の彎曲と骨盤の傾きをいついつまでも維持し続けることは、個体発生の見地からも困難である可能性があります。

どちらかというと骨盤後傾位で臀筋が下垂している人が、若年者においても多い印象の日本人において、腰が反った人は逆に稀であり、それが臀筋の発達によるヒップアップが前進にあったとしても、見た目から過前弯と言われてしまうことがあります。

理学療法においても腰痛イコール腰椎の前弯の増強という論理ですので、ウエイトリフティングに適した体型である腰臀部の発達と、腰椎の均等な前弯Cカーブを有している人そのものが希少価値となっています。
よって見慣れない姿勢においては理学療法士も見た目で腰が反りすぎているので腰が痛くなるよと、固体観念が作動しやすいくなるのです。


参考文献
1)藤村 昌彦 他:座位作業における座面の傾動が腰背部に及ぼす影響.広島大学保健学ジャーナル Vol. 1(1):65~72,2001
2)三上 靖夫 他:腰椎変性疾患の自然経過とリハビリテーション治療.京府医大誌 127(5),273 ~ 283,2018.
3)河端正也:腰痛テキスト.20,南江堂,1998.
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