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凍結肩の診断基準と治療

昨日、Clinical live Lecture(主催:ファイザー株式会社)
を聴講しましたので、備忘録として書き記しておきます。
臨床が終わってからの90分間のライブ配信勉強会でした。

講師は肩関節疾患では第一人者の菅谷啓之先生(船橋整形外科病院スポーツ医学・関節センター長)と船橋整形外科市川クリニックの理学療法士 仲島佑紀先生の実演とレクチャーもありました。

以前にも菅谷先生のお話を聴講したこともあるのですが、改めて再聴すると目から鱗のように感じます。
シンプルイズベストということを改めて実践され実感させていただけるようでした。

診察場面を数年前に実際に船橋整形外科にて拝見させていただいことがあるのですが、その手際の良さとテンポの良さが強く印象に残っています。シンプルで手際が良く繰り出す展開は、劇場にて舞台を観ている様でもあります。

実際に聴講された方も多いかと思いますが、ROMという至極当たり前のシンプルなデーターを、何百という症例を分析することで導き出される「真理」
本来は理学療法士自身が持ち合わせていなければならない視点なのでしょう。

Frozen shoulder の原因
1 持久性
2 外傷性
3 DM性
基本は理学療法、5%が手術適応

石灰沈着性と肩関節の痛みなどの症状とは必ずしも相関しない。
急性期における石灰沈着の疼痛機序は、急性期に石灰が溶け出し、肩関節内の内圧が高まり夜間痛につながる。

画像所見において石灰沈着や腱板損傷が無く、肩関節の痛みが生じている場合、運動機能障害(肩甲胸郭関節の可動性低下)筋力低下による。

肩関節の痛みの種類
・安静時
・夜間痛
・特定の運動時痛:①ADL ②スポーツ動作
※安静時痛と夜間痛は炎症所見がある

急性期の炎症期に無理に動かすことが悪化の最大の要因ですので、いわゆる肩関節周囲炎における早期の負荷は避けるべきです。炎症所見については関節内が真っ赤に関節鏡などでは見えるようで、ステロイドは関節内に打つことを推奨されていました。凍結肩の機序としては、関節内炎症期に無理に動かすしたりと悪化させると関節包が肥厚してしまいます。

凍結肩の特徴はグローバルな関節可動制限であり、これは全てのレンジ方向にて制限が満遍なく見られるというものです。ある特定の動きだけが制限の場合には、ある限定された軟部組織の損傷などが疑われるからです。

よって凍結肩に至る経緯には、関節内の炎症による内圧増大ということになります。
全方向へのグローバルな可動域制限を呈する場合には、肩峰下滑液包の炎症など限定された部位ではないということです。単一方向のみの制限においては関節包ではなく、
・腱板損傷
・肩鎖関節損傷
・長胸神経麻痺
などの障害によります。

繰り返しになりますが、炎症期に無理にROM訓練や避け、疼痛のコントロールに徹することです。
具体的には安静➕ステロイド
夜間痛の消失まで概ね5回ぐらいのステロイド注射にて寛解するようです。

DMになると痛みのコントロールにが難しくなるようでワントラムなどの服用薬が有効とのことでした。

何れにせよ疼痛コントロールにて理学療法をしなくても、可動域は改善してくるといったことからも、確かに自然に五十肩が治ったといったことを患者さんからもよく耳にします。

ステロイドもリハビリにも反応しない場合には、関節包に軟骨系遺伝子の発現が見られたとのことで、明らかに軟部組織そのものの問題となります。こういったケースにおいて手術になるようです。

実際の診察においては、必ず立位と臥位にて関節可動域を評価するようで、これは関節内の問題ではなく姿勢やポジションによって変化してくる運動機能性の制限となります。

特に強調されていたのは胸郭・胸椎の可動性低下、肩甲胸郭関節の可動性および安定性の問題を指摘されていました。
また筋バランスや筋力低下など、一般的な機能障害も要因となってきます.

frozen shoulder=グローバルな可動域制限が特徴になります。このグローバルは先ほども説明した通り、屈曲が100°なら外旋も30°で結滞動作も仙骨レベルなど、マルティプルに可動域制限があります。例えばimpinementではある特定の角度のエリアにて引っ掛かりがあり、それ以外では問題なく関節運動が遂行できるなど特異的ですが、関節包由来の可動域は袋構造であることを考えるとマルティブルということになります。

凍結肩の可動域基準
 FF≦100° 屈曲
 ER≦10° Ⅰ外旋
 IR≦L5 結滞動作
※必ず立位と臥位で同じ結果になることを確認する。
 つまり立位で可動域に制限があっても臥位では拡大することがあると、それは肩関節そのものの組織の問題ではなく機能的な破綻ということになります。この結果は菅谷先生が379症例の凍結肩患者を分析しての報告です。

[可動域制限の解釈]
severe &global loss
severe ¬ global loss
mild &moderate global loss

severe &global loss,これがいわゆる凍結肩の定義となります。痛みもsevereであり、全方向に可動域制限があります。
severe ¬ global lossでは、腱板損傷や肩鎖関節障害、神経麻痺などの整形外科的テストが陽性となる様な診断名が付きます。specificな症状ですので、その障害部位特有の肢位のき制限がおきます。mild &moderate global loss これは運動機能的な問題ですので、肩甲胸郭関節の可動性や胸郭のmobilityなど、理学療法の最も適応となる症状となります。

総括 診察のデモと理学療法のデモも併せてありましたが、理学療法の限界とその判断基準など、実際には理学療法もステロイド注射もやってみないとわからないところはありますが、可動生ひとつ見るにも、大まかな方向性をイメージするだけでも全く違ってきます。常々、理学療法士とイントラや医師との違いは、資格ということだけではなく、物事を見るスタンスにあります。距離感が近い日本の理学療法士は、診察や診断など見立てを立てるための距離感ではありません。
つまりいい意味で個別性にこだわる理学療法士と、しかしながらエビデンスをベースとしてのプロトタイプのフォーマット!ステレオタイプやプロトタイプというとワンパターンとも捉えかねませんが、フォーマットやクリニカルパスそしてエビデンスべースと表現すると一気に印象は良くなります。まだまだこの距離感を掴みかねている現状ですが、この距離感こそが責任や責務とつながってくるのです。
 運動指導においても集団訓練や指導の距離感とも違って、理学療法士はやや苦手意識を持っています。この距離感を改めてつかみとることが、次のステップにいける鍵となることでしょう。
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