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半側空間無視への運動連鎖アプローチ

半側空間無視unilateral spatial neglect:USNの病態やリハビリについては、清書に各々解説されており、今更私がどうこういうことではありませんが、

運動連鎖の観点から概説したいと思います。

前提としては、発症部位や左右半球の相違はありますが、基本は中枢からの情報伝達はある程度は伝達されているにも関わらず、効果器である筋骨格系のリアクションが低調に終わっているという推察です。

つまりは脱神経筋となってから、神経の回復はされているにもかかわらず、中枢の司令が末梢部位のリアクションとズレが生じているといった状態です。

神経筋接合部においても、未使用期間が長くなると、ジャンクションそのものが脆弱になってしまうのかもしれません。

この一度は正常に働いたものが、脳挫傷や梗塞によって一度遮断されてしまうと、脳内イメージ、運動イメージ、身体イメージそのものが消失してしまい、オートマティカルに考えなくてもできていたレベルから、再構築されてくるときに、生活動作が優先されてしまうが故に、赤ちゃんのように一から数年かけて発達過程を踏めないことが要因と思われます。

つまり、この発達過程においては言語や体験など、あらゆる高次脳機能が発現し、イメージが積み上げられるわけで、その過程が一度イニシャライズされて、脳と効果器の間に走る配線だけが回復しても、それだけでは巧緻性や協調性などが伴わないものと察せられます。

生活動作は、できるかできないか?という01の世界でもあり、合目的に代償を使ってもできればいいということになります。生活する上では必然性だからです。そこに協調性や巧緻性などの高次な動きを体現するためには、運動器といったカテゴリーだけではできていないのだと思われます。

一見、生活動作には使わないような、関節や筋肉の使い分けや、組み合わせも多々あり、正常とはそのどれもがいつでも取り出して、汎用できることが必要です。その選択肢が少なくなってくると、どこか硬い動きになったり、バリエーションがないことで転倒しやすくなったりします。

もちろん完全に運動連鎖でUSNの症状が消えるわけではありません。
仮説として、一つの無視の要因としてその可能性を念頭に浮かべられるようになったもらえればと思います。

本来、中枢神経の占める割合が高いと考えられるUSNにおいて、末梢効果器からの入力の必要性は否定してできないまでも、具体的にどのようにインプットをするべきか?繰り返して麻痺側を刺激することも効果はあるあるでしょう。






 USNは単なる身体性のバランスといった物理的な要因だけではなく、身体表象や聴覚空間や触空間でも無視があることが報告されており、いわゆる身体軸の傾きといった現象には、無視が背景にあることは間違いありません。ある一定のモダリティにおける失認とも違う、無視と定義付けされています。

つまり同じ片麻痺でも右麻痺におけるUSNの割合は少ないことからも、半球優位性があることがわかります。

では何故に左側の半側空間無視があると、身体は左側に傾くのでしょうか?
無視の機序にもいくつかの神経機構が存在します。

まず右半球の特徴として方向性注意機能において空間性注意を担っています。
空間における無視が起こることが、一つの要因となっています。
では何故に空間無視がおきるとpusherを代表とする右傾斜になるのでしょうか?
はっきりしているのは注意障害であるということです。自らに空間に対して注意力て低下することで、いわゆる身体軸の傾きといった外観からみてわかる現象につながっているのです。

では右半球障害に発生しやすい、注意障害が何故に傾きにつながるのか?いくつかの仮説をあげてみます。
⑴脳内(身体表象)のなかで右傾斜している。よって正中に戻すに当たって、左へ傾くことで身体座標を正中に戻そうとしている。

⑵右半身の表象のみが顕在化するため、右半身を正中に近づけようとする

例えば健常者でもモデルとして何か類似したことはないかを考えてみましょう。
中枢における障害ではなく、末梢入力からの左右差といったことがどれだけ身体性への表象に影響を与えるのだろうか?

USNでは脳内における身体軸が傾いているのか、それとも末梢からの感覚入力量の総和として右半身オンリーの結果として傾いているのか?ただこの傾きは、やじろべえのように足底を軸に右傾斜傾していいるのか、正中重力線そのものが並行に右側に移動しているのか?この辺りは定かではないが、座位よりも立位のほうがより顕著に傾くのは、座面と足底という支持基底面の差なのかもしれません。

左麻痺側に多くの入力を入れたり、注意を向けることで変化することからも、末梢入力による知覚レベルでの加算が身体表象も含めたbehaviorに現れる。すでに提唱されている頸部への振動刺激や視運動性刺激など、感覚刺激によるボトムアップしていく方法に、運動連鎖アプローチ的解釈を加えて解説していく。

運動連鎖アプローチでは眼球運動と後頭下筋および頸部筋群、さらに肩甲骨との連鎖を提唱している。実際にUSN患者に眼球運動をしてもらうと、左側の後頭下筋の収縮が弱く感じられる。セラピストは後頭下を触知しながら、視運動にともなって触知部位への意識を促し数回繰り返す。上頭斜筋は真横、下頭斜筋は斜め下への視覚誘導を行う。
さらに頸部筋〜脊柱起立筋へと下降していく。頚椎回旋肩甲骨連鎖を評価し左への眼球運動時に左肩甲骨が内転に誘導されるように、菱形筋へのタッピングや肩甲骨のアシストなども加えていく。

また肩甲骨のinflareを視運動時に誘導させると反応が良くなります。そして足部は前脛骨筋/後脛骨筋の促通のために用いる、舟状骨および楔状骨への感覚入力によっても、足部の安定および骨盤のinflareを促通することにつながり、眼球運動による運動器の連鎖を促すことができます。
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