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TAIKAN

Category: トピックス
体幹「TAIKAN」

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今回は、日本の体幹における歴史的変遷を述べていきます。
今現在体幹のアプローチはリハビリからスポーツ現場まで、あらゆる身体の向上を目指し場にて取り組まれています。
これだけあらゆる場面で登用されると、自然にレベルが上がってきて知見が集積されてきます。
医療従事者としての解剖学や運動学を得意とする理学療法士の優位性を感じている人も多いかと思いますが、実際には体育系、ボディーワーク系、医療系という三つの流れの中で展開されているのです。

まず医療系の流れですが、理学療法においては腰痛の原因について、不安定性腰椎という前提があり、腰椎の安定性を高める手段としてスタビリティがありました。当時はマンシェットをウエストの下に敷いて、押しつぶすことで腹圧の作用にて腰を守るというものでした。その機序が腹横筋と多裂筋だったのです。

そこに体幹という要素が入って来ましたが、腰椎の病態とは違った視点からでした。つまり体幹を剛体モデルとして、その上半身重心と、下半身重心との矢状面での位置関係にて下肢の機能障害を論じる力学的平衡理論が入り口になったと記憶しています。

しかしながら、体幹を剛体モデルとして規程する中で、胸郭と胸椎の硬さが浮き彫りになってきたのです。つまり剛体モデルとなると形として一定であることが、上半身重心がTh7−8レベルに位置する背景となりますので、形として円筒形でなければいけません。例えば円背があるとその円筒形はすでに前方に傾くことになり歪みが生じます。当然ながら上半身重心における矢状面での制御ですので、円背で頭頸部が前方位にあると体幹を円筒形に戻すために、いわゆる顎を引かなければけません。しかし胸椎が硬いと容易に戻るわけではない、という問題に直面したということです。日本において胸郭や胸椎が体幹において注目される理由は、剛体モデルとしての体幹を成立させるために不可欠であったからです。

このような流れの中で腰椎に安定性ではローカルマッスルである多裂筋と腹橫筋が絶対であり、ここにアウターマッスルである腹直筋や背筋群が効いてしまうと腰椎の配列そのものが崩れてしまうということになります。場合によっては腹斜筋であっても斜めとなりますので腰椎のコントロールは難しくなってきます。このような経緯から腹部のstabilityの向上においては、アウターマッスルの収縮を抑えて、inner muscleにおける活動を高める必要があったのです。
よってプランクのような肘立てにおけるロングスパインは、アウターマッスルなしでは支えきれませんので、当初は否定されていたのです。インナー至上主義において上肢肩甲帯の安定性のためには、間違いなく腹橫筋や多裂筋だけではオーバーロードとなるからです。しかしながら現在、リハビリ現場にてプランクのエクササイズがごく普通に用いられているのはどのような経緯からでしょうか?

それは体幹機能がパフォーマンスにつながるということこととリンクしたからです。腰椎の安定性のための腰痛の改善のたえのコンセプトが、身体運動における機能となってのです。それ以前にCOREunit(コアーユニット)=軸として捉える欧米の考え方は、必ずしも体幹≠コアーではないのです。あくまで腰痛という不安定性から始まった日本の体幹は、機能のユニットとしての視点であるCOREの要素も当然ながら被ってくるからです。
つまり目的は違えど身体部位が全く同じなので、当然ながら融合してくることになります。
コアーユニットは機能的な視点がメインであり、そこにpilatesが2000年ぐらいに日本に上陸してきたのです。当時は本当に珍しくほとんど理学療法士でpilatesを習得していたものはいませんでした。それぐらい運動療法としての筋力強化を目的としたエクササイズと、何ら変わりがないようにみえる運動形態が、実際に体験してみるとその効果に驚きを感じたものです。これは一体なんなのだろうかと。ただpilatesはボディーワーク系であり、pilatesそのものが目的でもあるので、実際のスピーツ競技においてダイレクトに結びつくというよりも、pilatesという新たな競技を習得するといった感覚もあったのです。つまりpilatesの哲学をマインドを学ぶというようなカラーもありますので、より実戦的にスポーツ現場にて導入しにくい形態でもあったのです。スタジオレッスンをベースとしてコンセプトであることも一因です。
 つまりpilatesそのものが、衣裳も含めたスタジオレッスンをベースとした空気感もセットとしたディテールですので、スポーツ現場などで醸し出される体育系の雰囲気とはまた違った空間なのです。
 当初、inner muscleやpilatesが台頭してきた20世紀末、ウエイトトレーニングを代表とするトレーニングそのものがやや懐疑的にみられてきた時代でもありました。いってみればパワー不足と言われ続けた日本人において、ウエイトトレーニングは一つの有効な術であると思われていたわけです。しかしながら、ビッグマッスルからトレーニングしていくという原則であるウエイトトレーニングは大臀筋と大腿四頭筋、大胸筋、広背筋や僧帽筋など、おおよそボデイワークでフォーカスをあてる筋群と真逆であるのです。いわゆるアウターマッスルを鍛えるウエイトトレーニングにおいて、結果的に重たいバーベルなどを挙げるためには、内在的なインナーが利いていなければ挙げられない!という結論でもあるようです。しかしながらムキムキの割れた筋肉よりも、ラインとしてスリットなボディに価値観が高い時期でもあったので、インナー優位論が優勢を占めていました。ここまではいわゆる医療からの起源ですので、立場としては優位に立っていたと言えるでしょう。しかしながら、プランクを始めとする体幹エクササイズとして体育やスポーツ現場にて導入されるようになって、またボディワークと違って独自の発展の仕方をします。
 ヨガでもないpilatesでもない、パワー系の要素が入ったムーブメントです。パワー系と言ってもバーベルを持ち上げるということではなく、あくまで自重のなかでバランスや協調性といった要素を取り入ればトレーニングです。そこにはinner muscleありきでの組み立てではなく、身体全体の外観からみた協調性、バランスなのです。
 腰椎のインスタビリティからスタートした理学療法における体幹と、ファンクショナルという視点からのトレーニングは、結果的に安定性と同時に自重を支えるための筋力、そして動きの連続性におけるパワーや動的コントロールといった要素が入るため、結果的にスポーツパフォーマンスに近い様式だったのです。

そして決定打は著名なスポーツ選手の競技力向上、パフォーマンス向上です。それは因果関係は誰も証明はできないのですが、実際に体幹トレーニングを取り入れて安定性が増した!といったニュースやコメントが珍しくなくなり、それは学術的にどうとかその選手のトレーニングにおいてinner muscleの活動がどうとか、そんな裏付けよりも結果が全ての世界だからです。
pilatesが出てきたときは、渡辺満里奈さんや伊達公子選手などがpilatesを取り入れていたこともあり、話題になりました。著名な人が採用すると一気に注目度が高くなり、一般大衆に広まるものです。この流れは医療の立場からは予想できないものであり、あくまで学会や学術的な視点にてエビデンスをもとにその有効性を述べるのですが、トレーナーが提供するトレーニングにおいては選手が結果を出せば、それが証明となります。そして一般大衆に広まることで、知名度が上がり常識になってしまえば、それは科学や医療からどんなにエビデンスがどうのと言っても、世の中の流れは止められないのです。

以上のように体幹における変遷を述べてきましたが、結論としては体幹のイニシアチブをとっているのは、パーソナルトレーナーやトレーニングコーチなのです。

ただ医療従事者としてのスタンスは、脊椎の分節障害に対して、インスタビリティという機能障害に対して治療という観点から痛みや痺れの軽減を図り、そして円滑な生活動作につなげていくことにあります。

ヨガはマインドのコントロールという点で、むしろ精神的な視点にて重宝されています。
アーサナはもちろんボディーワークとしての要素と、独特なポーズをとることによる精神統一につながります。
pilatesは動きの幅が決して大きくないため、その辺りがわかりにくとこともあり、今後のさらなる独自性をどのようにアレンジしていくかという岐路にあると言えます。
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