呼吸

運動と呼吸の連鎖横隔膜3

呼吸と運動の連動性が大事であることは明らかです。おそらく皆さんも臨床で患者さまから「呼吸はどうしたらいいですか」と運動療法の指導のときに聞かれるはずです。力を入れた時に吐いてください、というのがセオリーですが、実際は口でいうほど上手くいかないものです。Bodyworkをしているセラピストですと、その呼吸の奥深さに触れることができるため、さらなる運動と呼吸のバリエーションを持つことができます。全ての運動で呼気時に運動をするという意識づけをすると、かえってぎこちなくなるか自然な呼吸が妨げられることもあります。ヨガやピラティスの教室に通うなら話は別ですが、リハビリでは導入としてもう少しハードルを下げる必要があります。鼻から吸って口から長く吐いて、運動時に吐きましょう~など明らかなデュアルタスクになってしまいます。呼気でも吸気でもいいから基本的には呼吸を止めないで運動をするということから始めてみましょう。運動によっては吸気で体幹が伸びたほうがアシストしやすいものもあります。
 次によくある間違いが腹式呼吸です。臥位なら腹が持ち上がるのでわかりやすいのですが、座位で腹を意識して凸にするのは、まず座位で腰部を伸展して前彎を保持しながらでは無理です。ここで腹を無理して膨らませる間違いがみられます。これは横隔膜の作用を反映したものではなく、腹筋による作用によるものであり血圧がかえって上がってしまいます。腰を屈曲位にした姿勢でなら腰部は余裕ができるので横隔膜の作用による腹部の自然な動きが導き出せます。もしくは腰部伸展位で腹式呼吸をする場合は下部肋骨の左右への広がりをモニタリングします。お腹はややへっ込みますが、横隔膜はしっかりと圧下しています。腹式呼吸はお腹がドーム上に持ち上がるものだという固定観念が蔓延している風潮もありますので、患者さまにもしっかりと機序を説明する必要がありそうです。上手く腹式呼吸ができてくると、お腹が暖かくなってきて手足の血行が良くなる感じがします。
スポンサーサイト

コメント:4

新人PT
 お忙しいところ申し訳ありませんが、質問させて下さい。
 僕のイメージでは腰部伸展位だと腸腰筋の影響で横隔膜が下向しやすく、腰部屈曲位だと容量自体の広がりはみられますが、腸腰筋の影響を受けにくいので、横隔膜の十分な下向は困難ではないかと考えております。腰部屈曲位での呼吸は横隔膜のリリースにはつながるかもしれませんが、促通を図ろうとした際には困難で、逆に腰部伸展位の方がよいと思われるのですが、いかがでしょうか?

山本尚司
今回の記事は腹式呼吸で吸気にはお腹が視覚的に膨らまなければいけないという固定観点があると、腹筋を使ってしまうということを指摘したものです。腰部が伸展位で横隔膜が促通できるというのはまさにその通りですが、座位と膝を曲げてのsupineでは明らかに腹部の視覚的な動態が違います。座位での腹式呼吸での教示は「吸気でお腹を凹ませて」というほうが横隔膜の収縮は促せますし、臥位ではお腹の動きをモニタリングしながら吸気時に腹部が膨らむことを指標にします。しかしながら、座位での腰部伸展位での呼吸は実際には胸部や脊柱の伸展運動の身体感覚が有意になってしまうことがあります。つまり腹部以外の身体部位が抵抗になることでより横隔膜には促通になるということです。しかし、腰部を屈曲位にして呼吸してもらうと純粋に腹部の動的な感覚がフィードバックしやすく、腹部の容量も弛みがでることで動きが大きくなり、患者さんとしては腹式呼吸を実感しやすいというメリットがあります。

腹式呼吸

岡西
早速臨床で試してもらいました。腹式呼吸が上手く出来ない人は、胸式呼吸優位なような印象を受けます。小胸筋に圧痛を認める人は多く見かけますが、概して腹式呼吸が上手く出来ません。また、横隔膜と大腰筋との連結も認められているようで、腹式呼吸が上手く出来ない理由に、腸腰筋の機能低下などが関与しているのでしょうか?股関節屈曲動作でもすぐに腰椎の後彎が代償動作として生じる人が多いと感じます。分離した動作ができない、単関節運動するために、固定されなくてはいけない部位が上手に固定されず、代償動作が生じてしまうのだろうと思います。そんな時は、動筋と固定筋の関係を逆さにとって運動させると、その後の単関節運動での代償動作の減少を確認できます。腹圧のコントロールが出来ないからですかね?

山本尚司
腸腰筋と横隔膜は解剖をみると、大腰筋は横隔膜を貫いており、腸骨筋は筋膜性に腹壁から横隔膜につながっています。腸腰筋イコール横隔膜の促通という直立の関係ではなく、腰椎と骨盤のアライメントと腸腰筋の働きが伴って、初めて横隔膜が働きやすい環境ができるのです。よって環境ができれば単関節運動がやりやすくなります。

コメントの投稿

トラックバック:0