“センタリングアプローチの原理原則”

“センタリングアプローチの原理原則”

 センタリングアプローチとは、身体の恒常性ともいうべき自己修正能力を引き出すことにより、筋骨格系のみならず、呼吸循環、免疫系など、あらゆる身体バランス機能を高めることにあります。元来、正中重力線上にある脊柱や骨盤に対するアプローチの有効性は高く、そのメカニズムを解明して体系化したものがセンタリングアプローチとなります。
⑴抗重力stability 
 一般的にstabilityといえば、体幹が連想されます。体幹の腹横筋・多裂筋などがその主たる筋群になります。この体幹の周囲を囲むような安定性とともに、重力に対して抗する安定性が不可欠になります。二足直立歩行を使いこなす人類は、体重に押しつぶされないよう重力に抗して生活しています。つまり、床半力からの力を巧みに利用して直立を保持しています。下記にその要因を列記します。

①床半力:人の身体部位で唯一地面に接しているのが足底になります。床半力は、体重の反作用としてベクトルが伸びています。このベクトルは運動時や衝撃時には、より大きなベクトルとなって身体に返ってきます。その衝撃の大きさを上昇する力に変換させることで、高いレベルでの推進力に変換しているのです。このような身体内に発生した力を、目的とする動作に変換するためには、どのような身体機能の体系化が求められるのか?以下の項目で、さらに紐解いていきたいと思います。

②contrast(コントラスト):身体内で拮抗した力を生じさせることで、推進力に変える。従来の観察的なな動作分析は、運動学的な視点がメインでした。また力学的な視点により、回転モーメントという力の視覚化も一部ではきるようになりました。しかし、この従来の動作分析モデルは、点と線の移動量やフォースプレートなどから測れるデータに限られています。よって、身体内でどのような手順で運動が行われたか、姿勢制御戦略が行われたかについては、現存する測定技術では及ばない領域となっています。もちろん、その時の身体表象などの身体感覚については、未知なる領域としか言えない状況です。

③姿勢制御の考え方:姿勢制御とは能動的な要素だけでなく、反射や反応として起こっていることが多々あります。姿勢制御は基本的には受動的であり、一般的に知られているバイオメカニクスや関節運動学からの筋作用では説明不可能なのです。例えば、姿勢制御においては筋肉の起始と停止部を、上下逆転させて考えなければ説明できない事象も多々あります。また脊柱起立筋や腹直筋など、コンパートメント機構を使って、筋そのものを剛体として作用させる機能も有しています。つまり従来の筋肉が伸び縮みするという関節運動を通して説明されている作用は、身体の恒常性を維持するための極一部であり、まだまだ知られていない多様なメカニズムを有しているのです。

④感覚入力:その時脳は何をしているのか?従来筋骨格系へのアプローチは、構造的・物理的な視点からしかありませんでした。しかしながら、膜系を中心とした、全ての器官が外界からの情報を処理する受容体であると定義づけられ、感覚入力が脳を介して生体に作用するという全く違った角度からのメカニズムが当たり前となってきました。つまり、身体の恒常性は幾重もの階層(layer構造)でできており、治療とはその階層性の一部を取り出し、その法則性を利用することで好転反応を引き出しているのです。

⑤筋緊張の考え方:筋緊張は硬く緊張しているところを「ほぐす」というアプローチだけではなく、その病態を臨床思考過程において明らかにしてから方針を立てることが大切です。まず①spasm:防御性収縮 ②いわゆる筋肉痛 ③廃用性:筋の厚みが薄く、痛みの閾値が低下する。 ④Over use(使いすぎ症候群):筋を使いすぎて回復する間も無く、筋肉が痩せてくる現象。筋繊維が太く弦のように張りが触知できる。おおまかには、以上のようなカテゴリーに分けることができる。通常はこれらが一括して硬い➡︎ストレッチ・マッサージという手法に頼りがちとなる。しかしながら、筋の硬さは、その成り立ちの原因が結果として生じているものであり、必然性としての筋緊張が存在する。必然性に対して直接アプローチすることは得策では無く、原因の究明と根元的なな是正こそが医療の担う役割となる。

⑥筋緊張の背景:⑴関節の不整合:いわゆる関節のズレと呼ばれる状態であり、求心位にない状態を指す。安定性が損なわれると、筋は常に緊張を強いられることになりspasmが生じる。⑵急性外傷:生体は急激な痛みや外傷が起こると、固めて動かないことで治癒を優先する。患部の隣接関節は固定され、その一連の防御反応は即時的に行われる。また、患部が治癒をした後にも、心理的な不安感で緊張が持続することになり、慢性的な痛みとなりやすい。つまり、二次的な機能障害を本質的な問題であると脳が解釈していることが多々存在する。⑶短縮:体幹の傾きなど、弛緩している側の筋長は短縮位となり、筋のボリュームは減少し、硬く伸張制限となる。

⑦パルペーションの仕方:触診には能動的な探索的パルペーションと、受動的なモニタリングする触診とがある。探索的な触診はセラピス側が操作するものであり、受動的な触診は掌を受容器として用いることで主観的な感覚を目的とします。モニタリングとは、待つことによってその変化に合わせることであり、どちらかというと四肢関節を動かすリハビリにおいては、馴染みの薄いmodalityと言える。
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