胸郭出口症候群における小胸筋との関係についての考察

胸郭出口症候群はムチ打ちなどの外傷性における報告が散見され、姿勢症候群としての背景があることが報告されています。いわゆる矢状面からみたレントゲンにおいて、頸椎が長くなっている!これは別に頸椎そのものがエロンゲーションしているわけではなく、Th1番そのものが画像上に見えているということです。本来は肩甲骨の陰に隠れているからです。長くと言っても平均では0.5mm程度と言われていますので、なかなか分かりにくいところもあります。ただ左右差で見ると明らかに下がっている側に症状があり、左右差と言った観点からも相対的な位置関係のほうが分かりやすいかもしれません。
 また胸郭出口症候群の厄介なところは、頸椎症との判別になります。スパーリングテストやジャクソンテストにより、神経根症状は出なくても、クビにつまり感などのメカニカルな違和感を感じることも多いのです。この辺りを考慮すると、頸椎そのものの運動学的、解剖学的な問題もあることが考えられます。つまり胸郭出口症候群の最大の誘発テストはMoleyテストであり、斜角筋になります。斜角筋の緊張があることは一般的になっていますが、そのメカニズムの1つに頸椎alignment障害、つまり軽度の頸椎症が存在していることが考えられます。頸椎症においては屈伸や側屈においてメカニカルストレスによると違和感が生じてしまいます。これは頸椎アライメント異常による、局所的なストレスの集中によるものです。
レントゲンを見るとアライメントがストレートのみならず、前後弯が混在していたり、分節的に椎間板および椎体の変形が見られます。不安定性頸椎を呈しているも多々あります。つまり一分節にて屈伸が繰り返されており、骨性の💀支持が戦略として採用されていることで、筋肉による関節の誘導が損なわれている状態なのです。

不安定性のある分節の筋肉は痩せてしまいます。そして益々関節の安定性が低下してしますわけですが、その時に過剰に代償するのが斜角筋なのです。つまり斜角筋の拮抗筋は頸部の伸筋群であり、それとともに頸椎という断面性が小さいなかで、頭を支持しているわけですので、拮抗する筋群が互いに協働する必要があります。
そういった関係の中で、頸椎伸筋が低下すると斜角筋が亢進し、頸椎の屈筋が低下すれば伸筋が硬くなる!となります。その伸筋、屈筋どちらが低下しても、結局は斜角筋が過緊張して代償することになります。それだけに斜角筋をリリースすることの難しさがあります。

また肩甲骨の安定性が低下しても、斜角筋が緊張する傾向があります。つまり斜角筋はヘッドフォーワードする事で、固定筋として作用するからです。ヘッドフォーワードする要因は各種ありますが、肩甲骨の前傾が阻害される要因として小胸筋の低下があります。本来は小胸筋の下で、腕神経叢からの末梢神経や動静脈が絞扼されることが、胸郭出口症候群の一要因と考えられています。実はこの小胸筋の筋力低下、萎縮により肩甲骨の前傾が損なわれると、大胸筋が過剰に収縮する事で鎖骨を前方移動させる代償が働きます。
 現実的には小胸筋は烏口突起に付着しており、大胸筋は鎖骨と胸骨および上腕骨に付着していることを考える、大胸筋は肩甲骨の前傾には直接的には関与できないことになります。ただ肩甲骨の安定性が低下する事で、小胸筋の前傾作用を、肩の前方位をとることで、僧帽筋などのバックマッスルや筋膜を伸張させることで、結果的に肩甲骨を前方に移動させようとします。
つまり肩甲骨に付着していない筋群にて、肩甲骨を前傾させようとすることは、鎖骨や頭頸部の前方位につながり、結果的に斜角筋の緊張が更新するというメカニズムです。
では逆に小胸筋部を押した時にしびれや圧迫感を感じる症例は何が違うのか?
小胸筋が萎縮しているところまでは機序は基本的には同じです。この小胸筋を触診すると下部繊維が硬くなり、繊維化しているかのように触知できることもあります。つまり肩甲骨が下方回旋していると、下部繊維が働きやすくなるものと考えられます。全体的に体の軸も傾き、相対的にも下制位となると小胸筋は筋緊張を失い肩甲骨のコントロールは不可となります。この段階では前述のような機序にて、斜角筋が緊張することになります。

具体的なアプローチの原則とアプローチ
⑴身体軸の修正
⑵分節的に萎縮している頸部伸筋部位の収縮を促しボリュームを増やしていく。
⑶体幹後傾運動と同期した頸部安定性エクササイズにおける胸鎖乳突筋の抑制
⑷ロールダウンにおける過度な胸椎屈曲に伴うヘッドフォーワードのコントロール
⑸ロールアップにおけるスタンディングポジションにおいて、仙腸関節の閉鎖位からの下部腰椎~鳩尾の凹み~頸椎の安定性、一連のワークをつなげていく。
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