骨盤と仙腸関節

本日は京都での運動連鎖道場でした。

テーマは骨盤と股関節です。

高齢者のリハビリにおいて、股関節は伸び代のある身体部位でありロコモや運動器不安定症、介護予防などにおいて注目すべきポイントの一つと言えます。

大切なことは関節運動学的な視点として、関節としての閉鎖系で考えるのではなく、抗重力下での姿勢と運動の制御機構としての身体部位としての視点が大切です。

つまり画像所見と身体所見が一致することが、古今東西変わらぬ真理ではあるものの、高齢化社会の到来や障害モデルの変遷によって、診断として下すという視点から患者自身の視点への転換など、あらゆる立場から考えたときにどう見えるかどうあるべきかという双方向性の考え方が浸透してきたことによる結果でもあります。

よって「満足度」や身体機能障害そのものは同じであったとしても、その人の社会の中での障害とは必ずしも一致しないということの視点です。

ICIDHからICFへの転換は、私にとってもパラダイムシフトであり、この障害モデルにそって機能を考えるのには、ハマるのに少々時間がかかりました。そこで経験したことは知識や技術の量は変わらなくても、その運用するための理念やコンセプトが違うだけで、その持っている技術が全く違う色を出し始めるということです。

股関節の制御の特異性は前額面にあります。

前額面の制御については膝では内外反のアライメントとしての変形、足関節にいたっては回内外の成分として前額面が含まれるにすぎない。つまり足部の回内外は距骨下関節・距腿関節・そして前足部となります。

距骨下関節の可動性は回外20度、回内10度といわれているが、実際に距骨下関節のmobilityを確認してもわかるが、構造上そこまでの動きは考えられない。背屈と底屈における動きのなかで踵のアライメントを測定したときに、角時計をあてればそうなるだろうが、そこには距腿関節もさらには純粋な回内外面だけでなく内外転などもカップリングしたなかでの複合的確度となる。純粋に距骨下関節のみのCKC下での動きについては、さらに小さな動きではないかと推測される。

いずれにせよ二足直立になったことにより足部と股関節には内外転の要素が付託され、そこに足部の苦悩が汲み取れる。本来はできない、ない機能を無理くりとってつけて、代用させながら適応してきたということだろう。進化といえば聞こえがいいが、二足直立とは文明化に欠かせない手先のフリーの獲得を、何が何でも手放したくないために身体に無理難題を突き付け続けたということだろう。その結果が足部の前額面での役割としての回内外といえる。

股関節のラグ(lag:遅延)
 股関節には前額面上での動きのなかで遅延が生じることがある。これは絶対的に作用できないエリアであり、筋活動にてコントロールできない範囲ががあるということである。制御とは伸張性の収縮によることが多く、コンセントリックのように固めるために力づくにてボリュームをあげればいいというわけではない。
 
 制御の場合には他の身体部位との協調性のもとに関節運動が最適なタイミングにて連鎖することが不可欠であり、その時の筋活動は微妙な波長を奏でるかのような筋活動のハーモニーが必要となります。そこには単関節の運動とは違う、ロコモーションを実現するための一要素として組み込まれなければならない。つまりコンセントリックが主張とるすならば、姿勢制御のなかでおこる筋活動は主たるエクセントリックの筋活動はオーケストラの楽器の一つとしての団員となる。

この溶け込むような自己主張をしないハーモニーこそが、現代の生き方としても大切なのかもしれませんね。

さて、このような役割のメインに立つ股関節ですが、前額面での移動幅が最も大きい身体部位といえます。つまり重心部位である骨盤帯こそが最も抹消と中枢部との連結部位として統合していく作用をもっており、抹消部の動きを受け止めるためには、距離が長ければ長いほど梃子の棒と同じで変位の幅が大きくなる。よって足部抹消と頭部の動きができるだけ小さくまとめられればベストであり、それによって受け止める丹田は最小限にとどめるべく涙ぐましい尽力をしているのです。

その前額面上での変位を可能にしているのが股関節の上で並進運動をしている骨盤であり、結局は股関節の骨盤に対する相対的な内外転なのです。 

中臀筋がこの時にしっかりと作用することが求められていますが、実際には中臀筋のベクトル上に前額面の運動軸が一致することは難しく、筋肉のベクトルは大臀筋化していることが多々見られます。中臀筋と大臀筋化とは鉛直推薦からみて後方に傾くということです。

筋肉というのは起始と停止部位が近接するだけの作用ではなく、姿勢制御においては重力に対してどのような位置関係にあるかが重要なファクターになります。

つまり本来の作用とは違った役割は重力線からの変位にて担うことになり、また起始と停止部が移動することが考えらえる筋肉においても同様である。つまり筋肉とは本来多様な働きをしており、人間が起始と停止部による主動作と違う役割があることの認識を柔軟に持つことが必要なのです。

このように考えると姿勢制御における評価は重力線に対しての傾きと、身体内における相対的な位置関係としてのalignment評価という二つの見方が必要となってきます。

骨盤の前後傾と仙腸関節における腸骨の後傾は違うとうことです。

つまり骨盤は前傾であったとしても、仙骨に対する腸骨の後傾がありうるのです。
このような場合、骨盤は前傾ですので腰椎も過前弯になり腰痛となる・・・
ではこの腰痛の原因は腰椎に過前弯?か?
実はレントゲンをみるとある1分節がhyperに過伸展していたり過屈曲していたりします。

つまり腰椎が全体で前弯や後弯を合算しているわけではなく、ある1分節が症状を引き起こしてる原因だったりするのです。
これは骨盤の前傾と腸骨の相対的な後傾(PI腸骨)が同期しているわけで、ベクトルとしては相拮抗することになります。
よって腰椎には前弯の力と後ろに引っ張られる力が同期することになり、これがさらなる腰椎の分節的な負担につながっているのです。よって腰椎が反っているな〜と観察できたとしても、それはつまり腸骨で後方に牽引する力が働くことにより、さらに背筋の緊張が高まった形にて腰椎の直立と前弯を形成することになるのです。

腰椎の前弯が強い!その真理は腰椎全てで反っているわけではなく、ある1分節に過剰に伸展力が加わってしまうことによる弊害なのです。そう考えると、PI腸骨に対しては当然AS腸骨への調整が必要となるが、腰椎に対しては過剰な伸展を抑制しなければならなくなります。

もっと言えば腰椎の過前弯として骨盤の後傾を促すためのpelvic tiltを行うことは、仙腸関節レベルの中で考えると必ずしも正しくないとなります。もちろん骨盤の後傾を促すことで腰椎の分節的なストレスを回避し、さらに腸骨に対して仙骨の起き上がりを促すことにより結果的に仙腸関節と腰椎のmal alignmentを改善させることにつながれば症状は軽減します。しかしながら臨床思考過程としては腰椎の過前弯に問題があるのでpelvic tiltにて過前弯を改善するべきエクササイズを実施した結果、腰痛が軽減したとなると原因は腰椎の過前弯になってしまいます。そうすると、本当はPI腸骨による腸腰靱帯の牽引によるL5の後方牽引による上位腰椎の前後の乖離が原因となって、分節的な過剰ストレスが加わることにより腰痛を引き起こしているという論法が正しくなります。

同じアプローチをしても解釈が違うと、機能障害の発生機序そのものが違ってくるのです。よって、偶然にも結果が出たとしても、もともとの機能障害モデルが間違っているので、ヒットしない例も出てきます。その時になぜに良くならないかという選択肢にたどり着かなくなってしまうのです。

なぜに骨盤の前後傾と仙腸関節における腸骨の前後傾という考え方が大切かというと、それは抗重力における影響を仙腸関節はもろに受けるからなのです。仙腸関節の関節面の形状と特性から、直立位の骨盤における仙腸関節にはせん断力がかかることで、骨盤輪の靱帯に負担をかけることになります。慢性的になると靱帯が弛緩してしまうことで不安定な骨盤輪になってしまいます。よって骨盤の重力線との関係性はとても大切であり、内在的な仙腸関節においてさらに調整することでより効果的な治療に結びつけることになってくるのです。

徒手療法を主とした仙腸関節へのアプローチは臥位にて調整することが多く、直接的に姿勢のなかでどのような安定機構を働かせるかという考え方が欠如しています。

時代は活動と生活動作つまりアクティビティなのです。

これこそが過去にない現代だからこその、最新の流れであり先進の機能障害に対する考え方なのです。
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