箱根駅伝回想

Category: トピックス
今年の箱根駅伝は青山学院大学の圧巻に終わりました。各校のエースが青学大では伏兵と呼ばれる選手に屈していくさまは、まさに他校からすると脱帽としか言えません。従来ならばエースと呼ばれる選手と他の選手では力の差がありすぎて、名前負けするほどだったと思います。よってエースが走る区間では大逆転もありえたわけです。ところが昨今は区間新を出してもごぼう抜きにはならない。区間賞にて迫っても数十秒だったりする。象徴的だったのは3区と6区、追う東洋大学は準エースの服部弾馬、一方青学大は三大駅伝初登場の秋山選手、物怖じするどころが笑顔さえも感じる走りで引き離していきます。二区で20数秒まで迫った勢いをあっさりと砕いてしまいました。東洋大学としては3区にて勝負をかけて配置したエース級の選手が跳ね返されるとダメージは大きいです。フィニッシュブローを打ち砕かれたことになるからです。

走りが安定していることも印象的でした。大きな穴がなく全区間区間賞を狙えるぐらいの走りに悪くても区間3位以内に収めてくる(唯一9区のみ区間9位)。これではどんなに他校が区間賞をとっても追いつけません。山登りは唯一大崩れもある区間なので5分ぐらいの差が逆転される可能性はありますが、神野選手が無難に19分台でまとめました。それでも20分を切るのが至難の区間ですから、何の問題もありません。追ってくる東洋大学や駒澤大学ではなく、日大や日体大が5区と6区にて区間賞をとりましたが、上位には何ら影響しません。むしろ後ろで潰し合いをしているかのようでした。

また6区では青山学院大学は一年生の小野田選手、追ってくるのは3分差とは言え東洋大学では先の二大駅伝にて区間賞の実績がある三年生口町選手!ここで大きく差を詰めたいところでしたが、一年生の小野田選手が区間タイ記録の走り。いくら先頭にて楽に走れるとは言っても、一年生の選手が他校の並み居る選手を退けての走りはちょっと考えられませんでした。

昨年の優勝メンバーが何人も外されての青学大のメンバー編成!他校であればエース級の選手はそれだけで優遇されるというか、外す余裕はありません。昨今の駅伝を見ていると、絶対的エースが必ずしも活躍していないケースが多く見られます。怪我であったりレースのスケジュールであったりと、要因はありますがやはり何かしらのチームにおける特別感というものが影響しているように感じます。選手層が厚ければエースでさえもうかうかできない状況であり、特定の選手だけに重圧がかかることはありません。エースには区間賞や区間新を取ることを期待されての走りはやはりプレッシャーがかかるのでしょう。
ではどうしたらこんなに選手層が厚くなるのか?他校にも有望選手がたくさん入っているわけで、明らかに入学後に伸びたことは間違いありません。一万メートルの、平均タイムが青学大は28分中盤であり、東洋大学でさえも29分台、30.秒近くの差があるのです。他校なら全ての選手がエースですね。

一区の青学の久保田選手の走りは、足が地面に張り付くかのように吸い付き安定していました。ブレない体幹!しかしながら誰もが今は体幹トレーニングをしているわけで、それでも青学の体幹トレーニングが違う理由は何なのか?ということになります。わたしが、推奨している体幹トレーニングは苦手なポジションやセッティングを捜して敢えてそこで保持するか、そこから動的に繰り返しのエクササイズを選択します。

しかしながら、それは長年理学療法士としての臨床経験の中で編み出されたコンセプトであり、形だけではなかなかあの動的安定感を得られるものではありません。考えさせる体幹トレーニング、解剖学や運動学を学生主体にて研究させ、そして取り組みアレンジして走りに反映させていくことのプロセスにこそ成功の鍵がかるといえます。如何にトレーナーがいるとはいえ学生主体にて日々取り組み実行するには相当の修練が必要です。やはり単に体幹トレーニングの方法のみならず、全てを突き詰めるマインドとスピリットがあるからこその一つの歯車なのでしょう。つまりは我々はどうしても方法論に偏りがちで、その方法を試してその場にて効果があるとドーパミンが出るわけですが、それは我々の報酬であって、本来のクライアント主体的な意欲や取り組みを引き出す何かでなければならないのです。

体幹トレーニングであれば日体大が優勝した2年前も話題になり、またテレビ画像では出走前の服部弾馬選手も、プランクからの伸展運動を繰り返していました。やっていることはどこも変わらないはずです。その取り組みも含めたハッピー大作戦そのものを検証する必要があります。

駒沢も東洋もこのままでは勝てないことを突きつけられて、はっきり言ってお手上げでしょう。勝ちにいくというより、ミスをしないようにして相手の自滅を待つしかない…もっと一人一人が厳し1日1日を過ごすというような精神論のみのアイデアしか浮かばない現状において、いったいどうすればいいのか?青学を追うチームにとって、これ以上手がない状態で混迷の一年になるのではないでしょうか。つまりは有望な選手を集めてくれば青学の選手のようになれるわけでもなく、またエースをエースとしての走りを織り込んでの計算そのものが難しくなっているのです。
山登りの5区に話題を移しますと、どのような選手が向いているのか?少なくとも平地にて速い選手が強いわけではないことは明らかです。しかしながら走力があったほうが本来はアドバンテージになることも確かです。

では平地でのスピードと山登りの強さと速さの違いは何なのでしょう?最長区間である五区は元々は世界に通用するマラソンランナーを旗印に今の区間配置となっています。山の神と言われた、今井選手、柏原竜二選手、そして神野選手、一万メートルの記録からだけでは、五区ではとても差がつきようがないタイム差がでます。他の区間ですと区間新を出しても20~30秒しか差がつかないことも多いのですが、山登りは3分や5分の差が逆転されます。

三人の歴代山の神の走りは、一万メートルの絶対的なエースではありません。もちろん遅いわけではありませんが、それが五区を走ると3分も前を走るのです。三人の走りを見ると平地ではスピードランナーと言われる走りではありません。決して綺麗なフォームではない、それは何故でしょう。それは前へ進むというのは推進力ではあるのですが、その推進力はP➡︎Aとなります。つまりは矢状面ということです。洗練された走りではないということは、矢状面から外れた動きが多いということ、つまりは前額面や水平面、そして上下動ということになります。タイプ別に分けると柏原竜二選手は前額面と水平面、神野選手は前額面、今井選手は上下動なのです。坂道はまさに矢状面の登りですが、階段昇降でもそうですが下腿三頭筋の比重が高くなります。四頭筋も使いますが下がらないように支えるために働くのであって、とても箱根の山を膝の力で蹴り出すには負担が大きすぎます。つまりは矢状面にて氷の上を滑るように移動する効率性は動力を産みにくいわけです。黒人のスプリンターのように、前後に頭を揺すりながら走るには、短距離のようにある程度前方に脚が出なければ反動を使えないわけで、長距離の箱根路には向きません。つまりは紐解く鍵は、普通に走った時の歩幅を確保するためには、どのような走法か適応なのか?という視点なのです。

山登りは走る時の歩幅でなくても、平地で歩く時の歩幅にプラスαでも確保できればこれは御の字なのです。よって、空中にある程度浮けるための動力であるモーメントを発生させなければなりません。

これが前額面と水平面、そして上下動なのです。世界に通じるランナーを育成するための箱根路五区は、ある意味ドラマティックではあるものの、実際の高速レースには向かないといえます。神野選手が両脛を疲労骨折したあたりは、前額面の力がかかっていることの表れです。それが登りになると矢状面に転換されるのです。今井選手や今回区間賞をとった日大の留学生キトニー選手は上下です。今井選手は上下動ですが、キトニー選手は脚が長いので両肩をすくめて、やや挙上位にまとめて前への推進力を作っていました。柏原竜二選手は全てのモーメントをフル活用してましたね。気持ちが前面に出て引っ張るタイプからかもしれません。

ということでスピードタイプのランナーなら、キトニー選手や設楽選手のような身体重心のかけ方にアレンジを加えて登り使用にする。また疲労骨折するような脛を持っている、つまりは捻転内反膝のアライメントにて、前額面の力を転換するタイプ。などの適正を見極めて区間配置することが効果的かもしれません。もちろん山に挑む気持ちが最も大切であることは言うまでもありません。
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輪状甲状関節の固着について

三宅 陸
初めてまして。
輪状甲状関節の固着を改善したいのですが、何か良い方法はありませか?
関節モビライゼーション等、方法があれば教えて頂きたいですm(__)m

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