道場生からの質問コーナー「頸部と脊柱の運動連鎖」

質問1 ・筋トレをして、必要な角度での筋力が向上したように思えるのですが、姿勢制御や動作にうまく反映されない事があります。 必要な筋力、角度のアセスメントがさほど間違いではないと仮定した場合、
姿勢制御や動作に反映するためには、どのようなリハビリが有効となりますか?

Answer1
 筋力トレーニングをして筋肉が分厚くなるとかえって動きにくくなる、重たくなるというようなことはよく聞きます。筋肉が増えるということは断面積が広くなるということであり、明らかにパワーは向上するはずです。一見、筋肉がつくと特定の筋力発揮は向上しあらゆるポフォーマンスも向上するように思えます。例えば補強運動として腹筋背筋筆立伏せをしたからといって競技力がことさら向上することもないという経験をします。懸垂ができたからといって走力がすぐに上がるかというとそうでもありません。パフォーマンスというのはさじ加減なのです。コンセントリックだけではなく、エクセントリックもアイソメトリックもあり、その収縮もMAXIMUMもあればMINIMUMもあります。そして音源のボリュームのように0から例えば10までも上げ下げできますし、隣接関節との関係、左右の関係、中枢と末梢の関係、連続した運動のなかでの変換や転換など、パフォーマンスとはあらゆる要素が含んでいることがわかります。また慣れ親しんだ動作であるか?その運動の意図を理解しているか?などの要素も関わってきます。姿勢制御に関わる要素は単一の関節のある特定の筋肉の収縮を促通したら必ず安定するというものではなく、もしピンポイントで当たれば改善することになります。よって何処を意識させるか何をどのような手順にて意識させるか?むしろ運動指導におけるキューイングが大切になってくることも多々有ります。つまり外部から何か刺激を与えて反応をみるというような、スイッチを押したら動き出すというような類のものではなく、意識的にどのような指示や指導をすればつながりをつくれるのかといったことが大切になってきます。その上でどうしてもフィジカルの面で足りない要素については、その動作の何が足りないからできないんだということをしっかり説明し、エクササイズの意義を理解してもらうことが前提となります。そうすると同じエクササイズでも全く違った反応を引き出すことができるでしょう。


質問2
・脊椎〜頸部の運動連鎖の資料について
脊椎分節と四肢関節の平衡バランスというスライドページがありますが、
これは何を記している内容でしょうか?
スライド


Answer2
関節の前後左右にせん断力を加えると、それに呼応して背骨も動いてくることが確認できます。まさにだるま落としのように生体はセンタリングを常に保持するかのように振る舞いをしています。いわゆる恒常性とは血圧や呼吸などの生理的な生命維持に関する自律性だけではなく、筋骨格系の外郭においても同じことがいえるのです。この自律性はロボットにはない機能であり、コンピューターのプログラミングにおいて、全ての身体部位についてのネットワークが不可欠であると言えます。是非、どこでも構いせんので四肢の関節の操作と脊椎分節との関係を体感してみてください。そうすると脊椎そのものにダイレクトにアプローチする徒手療法もありますが、時に四肢末端との関係性を同時にアプローチしたほうが侵襲性も少なくリスクも低いと言えます。


質問3
・手のアーチを脊柱カーブに連鎖とありますが手のアーチとはどのような形ででしょうか?

ANSWER3
手掌には手根骨のカーブとMP関節のカーブ、そして小指側の外側アーチと足部のアーチと似たような構造となっています。横アーチ、内側縦アーチ、外側アーチといったところでしょうか。身体にはこのようなアーチ構造をした部位がいくつかあり、そのアーチ構造がたわみながら抗重力下において自重を支えています。両手を着く動作においても衝撃吸収のためには少し丸みを帯びた掌の着き方が有効となります。


質問4
> ・頸部の回旋時の肩甲骨の運動パターンについて
> 野球のバッティングの動作のような場合(例えば右打者)
> 頚椎は左回旋になるの思います。
> 同側の肩甲骨は内転で、反対側は外転となるのでしょうか?

ANSWER4
運動時の関節や筋肉の動きは加速度と減速が働いているので一概に運動学的に一方向ということでは表現しきれないところがあります。単に運動学的に全体量としての回旋角度を表すのであれば、右利きであれば左肩甲骨は内転の右肩甲骨は外転になります。特に中田翔のバッティングなどは肩甲骨が胸郭に巻きついているかのようです。運動というのはカウンター作用があってのインパクトになりますので、頸部は構えは左回旋であってもインパクトからフォロースルーにおいては相対的には一定の回旋角度ではないでしょう。つまりは時系列にて刻々と制動や制御作用が変化していっているので、関節角度という切り口だけではバッティングを表現しきれないからです。加速度をそれぞれの相にて観察していくことで、どのような力が頸部や筋肉に作用しているかを推察することができます。また頸部回旋も胴体からみた回旋と時相による変化量とをみていくと基本的には左回旋の領域のなかで変化しているということがいえるでしょう。ただ回旋45度から30度に戻ったとしたら、それは相対的には右回旋運動がおきたことになるのでその時の肩甲骨の動きとは逆の回転が起きている可能性があります。
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