道場生からの質問

運動連鎖道場質問コーナー


Q1「これは距骨下関節のスタビリティではなくて、筋による安定性だね。」
みたいな事を言っていたんですが、
スタビリティと筋による安定性の言葉の違いがいまいちよく分かりませんでした。
言葉の意味や含まれる要素など教えて頂けると嬉しいです。


A1 どの場面での発言かは定かでありませんので、即答は難しいですが、おそらく問題が距骨下関節ではなく距腿関節の安定性に問題があるということを言いたかった?のではないかと自分で回想しています。つまり一般的には回内足というのは距骨下関節のmal−alignmentが背景として存在しますが、距腿関節の場合には距骨下関節のalignmentが固定された状態で変位します。stabilityの要素は筋肉ですが、そこに関節の整合性が必ず関係してきます。距骨下関節の場合には、動きが小さく関節というよりも結節のような構造体です。つまりは、距骨下関節のstabilityといった場合には関節の整合性による要素が高くなり、体幹のように筋肉がstabilityに関与する割合は低くなります。荷重による圧迫力が垂直にかかることにより安定する構造、関節面の面圧によって床反力の伝達効率が高まり、長管骨に伝わっていきます。この整合性によって周りの筋群が働きやすい環境になると言えます。体幹の場合にはドローインに代表されるように、意識的に操作することによって収縮がえられます。そして体幹は、意識的にコントロールできる対象として認識されています。距腿関節の場合には意識的ではなくても内反捻挫をすると腓骨筋が伸張されて痛めることになります。つまりかなり筋肉のバランスによって成り立っている機能構造といえます。stablityは筋肉要素と関節面の整合性の度合いが、各部位によって相違があるということです。



Q2姿勢症候群の改善の為の身体機能の原理原則についてですが、
自由度と汎用性、立ち直りと平衡反応の関係性は理解できたのですが、
姿勢改善においてこの原則をどのように当てはめていくと良いでしょうか?


A2.姿勢改善を静的だけでなく動的な安定性を得るためにどうするか?そのためには原則が必要となってきます。腰痛が有していても、その時に良い姿勢をとることはできます。しかしながら同じ良い姿勢をとることができたとしても、姿勢制御のキャパシティが広ければ腰痛を有している確率は低くなります。また良い姿勢が必ずしも教科書的な解剖学的肢位であるわけではなく、メッシのように明らかに円背でヘッドフォーワード姿勢であることもあります。しかしながらあの自由度の高さは、姿勢制御の幅が狭ければ得られるスキルではありません。つまり一見よくない姿勢であったとしても、高齢者においてだんだんと姿勢が丸くなっていったとしても、自由度と汎用性が高い身体部位が一箇所あるだけで、身体全体の機能障害を軽減させることができるのです。姿勢改善というよりも機能改善により直結する動的安定性を得ることができるのです。 



Q3・舌骨の評価や動態の指標などはあるのでしょうか?
臨床上での重要度や機能不全を起こしているという現象は見られたり、肩甲骨や顎との兼ね合いもあると思うのですが・・・
山本先生は臨床上どのように評価されているのでしょうか?


A3舌骨は触診が難しい部位となります。空中ブランコのようにまさにどこにも直接関節などにてつながりをもたない、特殊な身体部位だからです。舌骨上筋群と下筋群の絶妙な筋緊張によってのみ存在しているのです。それでも何かしらの評価方法がないわけではなく、前方からそっと触ると、その実態を感知することができます。感知という表現を使いましたが、触知といってもいいですね。それぐらい感覚のアンテナをもって触らなければダメだということです。舌骨は馬蹄形につまりUの字になっています。舌骨は舌骨下筋群の緊張が低下しているとstabilityが低下し回旋位となります。肩甲舌骨筋の機能が低下している側の舌骨側が前方に変位するということです。例えば左側の肩甲舌骨筋が低下していると舌骨は右回旋するということです。つまり舌骨の左側が前方位になるということです。そうすると開口路は下顎が舌骨と同じく右変位を起こしやすくなります。つまり舌骨上下筋群の筋緊張が低下している側とは反対の顎関節の開口時における、前方への滑り運動が阻害されてしまうのです。舌骨上下筋群の機能低下は、舌骨の対側への変位をもたらし、結果的に対側の顎関節の滑り運動を低下させてしまうということなります。
 ただし、本当に舌骨が回旋したり前方位にあるという評価が正しいかどうかという証明はありません。実際に舌骨を触知してそっと回旋させることによって開口路がどう変わるかを確認しておくなどしておくといいでしょう。医師であれば確定診断をつけるために、いくつかのスクリーニングをして総合的に判断する作業を繰り返します。それと同じで、肩甲骨の上部のstability、顎の開閉の問題、そして舌骨の変位と舌骨上下筋群の筋緊張などを総合的にみることで、見立ての確率を高めていくことになります。例えば右側の上肢挙上時に痛みがある→肩甲骨のstabiltyが低下している可能性→原因の一つとして舌骨下筋群が要因ではないか?→開口路の確認→肩甲舌骨筋の促通によってこれらの動態の変化を再評価する。というような一連の流れとしてみていきます。


Q4・前回の脊柱ともリンクしてくるのですが、上位胸椎の柔軟性の低下がみられる方を臨床上多く見られます。
鎖骨・上位肋骨・肩甲骨、頭部前方偏位などのアライメントも含め様々な影響が見られると思いますが、
特に頭頸部伸展時に上位胸椎部の疼痛に関してどのように解釈・評価していけばよいでしょうか?


A4.ご質問のなかにある上位胸椎部の疼痛とは具体的にどこの部位を指しているのでしょうか?また頭頸部伸展時とは主に後頭環椎関節のことか?それとも頸部伸展運動のことを指しているのか?ということによって解答が変わってくる可能性があります。額面通りとらえると上位胸椎部とはTh1〜2番の分節のことなのか?それとも下部頚椎も含めた脊椎のつまり感なのか?はたまた上位胸椎高位の全体的な部位を言っているのか?この辺りの前提を明らかにしておく必要があります。普通に解釈すると、「頸部伸展時におこる頸胸移行部あたりの鈍痛または詰まり感」ではないかと推察されます。その前提にたって解答させてもらうと、いわゆるhead forwardになりやすい姿勢であると、胸椎後弯が頚椎下部をも含み、頚椎前弯がC5/6あたりで急激に立ち上がるという現象を目にします。つまり脊椎カーブの位相が上に変位しているということです。当然、胸腰移行部においても彎曲が上方に移動しているためフラットになりやすくなります。このカーブの変位、頭側への位相変位ということにより、頭頸部伸展時に頚椎の伸展運動を緩衝するために分節数が少なくなり、一分節に負担が大きくなることにより伸展運動時において痛みが誘発されるということです。つまり生理的な限界を超えて伸展運動を強要されるため、伸展運動範囲の許容量を容易に超えてしまうということです。


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