生活動作と姿勢制御2「成長発達学的な視点」

起き上がり・立ち上がり動作と姿勢制御

fc2blog_20150513090601b86.jpg


起き上がり動作のパターンは以下の幾つかに分かれます。
主にベッドからの起き上がりと想定して列記します。
①脚から動き出し、ベッド端に脚をだしてから起き上がるパターン
②上半身から起き上がってから脚をだすパタ~ン
①②のいずれにおいても、タイミングが大事です。つまり、カウンターアクティビティたるものが先行すること、できるだけカウンターモーションやカウンターウェイトの割合を小さくすることに限ります。なぜならは、円滑な動作とは、筋肉によって骨関節が漸増的に動くことに他ならないからです。

起き上がりは寝返りからの延長線上にありますが、ベッドサイドにて動作をみていると、難しいのはオンエルボウからの起き上がり相になります。つまりはON ELBOW にて動きが止まってしまうと、そこからは肘の伸展への比重が高くなってしまいます。肩甲骨の安定性を含めて、上半身の重量を支持して尚且つリフトするのは至難の技です。特に麻痺を有していると、下肢のカウンターのストラテジーを使いにくくなります。
つまりは全てはタイミングによる、梃子と重みを、絶妙な連鎖にて使い分けるコーディネートが必要なのです。

例えば起き上がる時に、大きく両脚を振り上げて起き上がる人がいます。これはこれで、実用的に使えているならば肯定すべきでしょう。ただ、このストラテジーはかなりの体力のある人に限られ、また身体を固めて使うことになります。この辺りは、すでに確立したストラテジーであるということと、そして発症前からの使い方に起因していることもあります。あまりにも堂々とよっこらしょっと!やられると、あまり指摘しても仕方がないのかな?と思ってしまいます。
例えば、脚を振り上げて起き上がるストラテジーは、中途半端なタイミングになると、シーソーのように戻ってしまいます。つまり脚を振り上げるとなると、そのためには体幹の強さがなければ支点になれないため、起き上がり動作が完遂できなくなります。

ただ大きく振り上げるパターンは、仰向けからのストラテジーであり、サイドラインからの起き上がりにおいてはアレンジが必要になります。

健常者においてもよく観察すると、必ず片脚が何らかの形でカウンター作用が、みられます。
例えば上になる脚が屈曲する、これはよくあるパターですが、下になる脚を最初に動かす人もいます。

いわゆる梃子を使うストラテジーは一つの手段ではあるのですが、円滑なカウンターアクティビティであるかといわれるとそうではありません。つまり理想は細かい筋肉がコーディネートしながら、アウターの筋肉が最小限度の関わりの中で遂行する動作と定義づけできます。

これがいわゆる「赤ちゃんの動き」と言われる正体になります。赤ちゃんがカウンターウィエイトを使うか?と言われると厳密には使えないから倒れてしまうわけで、自らのポテンシャルを超えたときには転んでしまいます。寝返りや起き上がりにおける、ある場面において筋力があるわけではないのに動作遂行できるように見えるのは、効率良くタイミングのなかでアクティビティもモーションもウェイトも使わざるを得ないからです。このカウンターが三権分立してしまっているのが、大人でみられる動作になります。特になんらかの機能障害がおきると、コーディネートが破綻してしまい特化したストラテジーとなります。

赤ちゃんはこの個々のストラテジーが全体的に未発達なため、コーディネートにて遂行するしかないのです。ともすれば赤ちゃんの動きが、モデルかのように提唱されますが、実は赤ちゃんの時にも既にストラテジーに個別性があり、結果的に幼少時における身体特性につながっているのです。赤ちゃんの動きが時として、理想とされるのは、例えとして用いると都合がいいからだとも言えます。身長や重さが軽いが故に、見えにくいだけで理学療法士として観察するとかなりの個別性が見てとれます。この辺りを一辺倒に模範とするのではなく、その赤ちゃんであったとしても、機会や環境を設定することでコーディネートを促さなければならないのです。

でなければ赤ちゃんの時に理想的な動き方を誰もがしているのなら、既に幼児においてコーディネート能力に大きく差が見られることの理由をどの時期からの要因において、今現在の問題につながっているのかの説明がつかないのです。

潜在的には備わっているというより、コーディネートを使わなければ遂行できない未発達な身体機能であることが、赤ちゃん特有の動きとして、取り上げられることになります。

では赤ちゃんが重心のコントロールセンターである骨盤帯や、身体軸の核である脊柱の連動性を有しているのかどうか?

既に赤ちゃんの時に備わっているとは思えません。幼少時に片脚バランスができないような状況があるなかで、元々備わっていた能力が失われた?のでしょうか?寝返りからの起き上がり、そして立って歩くという行程において、二足直立の抗重力能が必要となります。この立ってからの歩きだしの時期についての所作は発達学的アプローチの体系にはありません。あくまで寝返りと起き上がり、ハイハイぐらいまでのことです。それが抗重力の動きに、効果的であるかのように唄うのは、論理の飛躍と言えます。
ウォーキングのメソッドが、おおよそ赤ちゃんの歩き方をモデルにしないのは、大きな矛盾なのです。よって、処女歩行と言われるフェイズの課程の意味を今一度考えて、体系化させることが必要です。そうすると寝返りや起き上がりから、立ち上がりから歩行へのシフトにおいて、新たなアイテムを獲得する必要性がわかることでしょう。

マネキン型のロボットの二足直立が未だに確立されていないように、また平地や階段まではクリアできても、不正な地面や障害物をクリアできるロボットができていないように…全く違った技術革新が必要なのです。


運動神経が良いと言われる子供たちは、必ずしも体幹や四肢末端の構造としての強さがあるとは言えません。むしろパーツだけをみると、これでよく動けているなと思ってしまうぐらいです。つまりはパフォーマンスは高いが、故障をしてしまいやすいということです。太さや強さはないものの、やはり身体軸と骨盤帯の安定性が必要です。ただし競技特性にもよって、走るとか飛ぶなどのナチュラルな身体能力は、身体軸が必要ですが、重心の前方への推進性を競うことがメインではない球技などでは、筋肉の質や身体感覚によってカバーできるようです。それも身体がまだ成長段階で成長しきっていないからこそ成り立つのです。つまりは、軽いということは重力に抗する支持性や力ではなく、神経系の発達と伝達によってなりたつのです。

成長期に筋肉をつけすぎると、その神経系のコーディネートがかえって邪魔されることもあります。よって強さはできても重さになってしまうのです。動きを妨げないようにして筋肉をバランス良くつけて、パワーに変えていくことの課題が成長期にはあります。動きとは可動域とその可動域をコントロールするための筋肉の作用となります。ある限局した部位に筋肉をつけすぎると、その部位は短縮するための作用が強くなります。つまり伸張しながら関節をコントロールすることが不可欠であり、そのための筋連結や運動連鎖、そして何より姿勢制御のパターンの習得による汎用性と自由度を高めることが長く選手として続けられる条件になります。

姿勢制御から見た生活動作へのアプローチにおいては、他動的・自動介助・自動・抵抗という段階があり、そしてまたどの部位にどのような運動方向に作用させるかが大切となります。また参照点としてなのか、それとも誘導していくのか、促すのか、言葉は似たような表現ですが微妙にニュアンスが違ってきます。

筋肉の働きが、どのような関節の動きによって作用するのか?その反応を四肢末端のあらゆる部位からの組み合わせを試しながら、キーポイントを探していきます。姿勢制御とはいわゆる観察にてわかる動きだけではなく、その動きの前段階となるプレパレーションなのです。このプレパレーションともいうべき反応が、ウェイトに負けないで、あらゆるパターンにて起きることが高いパフォーマンスにつながるのです。これが若い時には質の良い筋肉によって達成されているのですが、年齢とともに筋肉の質は低下していきますし、偏りが出てきます。それでは身体が持たないのです。そのコンディショニングを整えるという意味と、怪我の回復においては姿勢制御としての身体反応の自由度を獲得する必要があるのです。
スポンサーサイト

コメント:0

コメントの投稿

トラックバック:0