運動連鎖道場in佐賀報告

骨盤輪は相拮抗する力が吊り合うことで動的安定性が得られる



骨盤輪の機能は静から動への動力源として作用しています。つまり動的安定性の核となるのです。
動くということは推進力が働いているということです。
つまり、走るという行為も床半力ベクトルの変換によって前方へ推進しているのです。
つまり体幹の安定性と固定性や、身体軸というものがどのように推進性に寄与しているかということことを明らかにする必用があるのです。
つまり骨盤が以下のように
①仙腸関節の徒手療法の対象
②骨盤底筋による尿失禁や産前産後のリハビリ
③骨盤矯正などの整体
という対象ではなく、動的動力源としての作用を明らかにしていく必用があります。
本来、理学療法士は動きを専門とする、動きを治療する専門家です。運動療法を治療手段として用いて機能改善を促すということです。

もともと仙腸関節に興味をもってから、絶対に動きに関与していないわけがない。という思いがあり、そのための研究を続けてきました。そして仙腸関節のmobilityと荷重動態についての知見を得ることに至ります。つまり荷重動態に影響を与えるということは、姿勢や動きにも関係していることになるのです。

では動力源としての骨盤輪、仙腸関節とはどのようなメカニズムなのでしょうか?

骨盤輪としているのは、仙腸関節という部分の関節にのみ着目しているわけではないといことです。
骨盤輪とは筋肉や靭帯も含めての包括的な考え方です。

身体運動を見るときに大事な原則は、

⑴正中重力線からみたalignment
⑵隣接関節からみた相対的なalignment
⑶運動方向のベクトルと、筋骨格系の相対的なalignment

になります。

つまり骨盤輪という観点は、身体運動を解明する新たな視点としてのキーワードになるのです。

身体運動となると、骨盤のズレや矯正という視点ではなく、もっと動的なダイナミックなイメージになります。

そのためにはロコモティブとしての骨盤というコンセプトが必要になります。

❶腸腰筋や腰方形筋と骨盤輪
❷体幹と骨盤輪の関係性
❸呼吸と骨盤輪の関係性
❹歩行と骨盤輪の関係性
❺各種スポーツパフォーマンスと骨盤輪の関係性
❻骨盤輪と肩甲帯との関係性
❼重心のコントローラーとしての骨盤輪
❽動的安定性としての骨盤輪と身体軸

総括すると、動的安定性に寄与する核となるのが骨盤輪ということになります。

では具体的なプログラムをみていきましょう。

『骨盤輪を高めるプログラム』
①hip rotation
supineにて立て膝から股関節を開閉。
オープンでは大腰筋、クローズでは腸骨筋を意識する。
pelvic alignmentは、生理的な前傾と腰椎前弯をキープする。ただし、背部筋の過剰な緊張は極力避ける。

②hip flexion
同じくsupineにて、股関節屈曲。
屈曲100度付近までは腸骨筋を意識し、骨盤と腰椎前弯のalignmentは保持する。さらに深い屈曲においてpelvic tiltと腰椎の屈曲を連動させていく。膝が胸に付くところまできたら、head upさせてさらにabdominalをfacilitateしていく。

③rib cage drawing
pelvic alignment~をkeepingして、rib cageの下角をdrawingしていく。その時にback muscle relax!scapura depression!cervical elongation!
さらにdeep breathingしていくことでholdを高めていく。
最初は膝立て位からSTARTし、次に膝伸展位でのsupineにて行う。


④rib cage drawing plus upper arm elevation
③+して上肢挙上。rib cage のさらなるdrawingを強化することができる。

⑤rib cage drawing standing
③+④+として立位にて行う。座位は難易度が高くなるので、応じて適応させていく。

⑥rib cage drawing dynamical
リハビリボールを使用。ボールの上に下肢を乗せ、屈伸をリズムカルに繰り返す。膝を近付ける時に、deep exhal。腹圧を常に高めながら実践するのがコツ!

⑦pelvic tilt lumber drawing
pelvicの生理的な前傾に伴う、腰椎のalignmentを保持するためのPVMがfunctionしてきたら、腰椎骨盤の自由度と連動性を拡げていく。つまり体幹のstabilityという視点だけでは、抜けがちな脊柱のstability、不安定性腰椎に対する視点となる。最初は膝立てにて、その後は膝伸展にて負荷を上げていきます。
さらにテーブルトップへのコントロールへ。不安定性腰椎のある場合にはこの腰椎の動態にて違和感や痛みが生じます。よって、フォーカスは脊柱の分節的な安定性となります。体幹の安定性からはさらにミクロな注目が必用です。最初はsupineにてさらに立位にて実践していきます。

⑧sitting lumbar pelvic hip flexion combination
 ターゲットとしてはiliopsoasになります。supineでのヒップフレクションと同様の仕様を、座位にて行います。抗重力下におけるコントロールになりますので、難易度は上がります。初動は骨盤と腰椎は生理的なアライメントを保持し、さらに膝を抱えて骨盤と腰椎のroationを連動させていきます。膝が胸に付いたら、両手を離してキープさせていきます。hipが外旋傾向にある人は、外旋位から内回しにてhip flexionの軌道に載せていきます。

⑨standing lumbar pelvic hip flexion combination
supineおよびsittingにて行ったhip flexionのstanding versionです。屈曲側だけでなく支持側の股関節と膝関節も伸展位に保持するように意識します。

⑩walking closed pelvic
 これはgaitにてpelvicの閉鎖力(closed force)を高めるperformance exerciseです。initial contactにおいてheel lockerを作用させるためにはpelvicの閉鎖力は必須となります。つまり高齢者や若者においても、HC時に膝が推進力の受け皿として膝頭が前方に出る様子が観察されたり、逆に床半力に抗することができずに、骨盤や腰椎が後方に落ちてしまうということが見受けられます。そのカウンターモーションとして頭部の前方位や肩関節の前方位につながってきます。具体的にはPSISをセラピストが触診しておいて、HCの刹那にPIからAS腸骨への変換がみられるかを観察します。このいわゆる腸骨の前後傾という運動軸は矢状面上の動きであり、代償としては水平面での骨盤の回旋や下肢の回旋、もしくは骨盤の挙上などの前額面への転移がみられます。gaitにおいて最大の重心高位はMSであり、loading responseとなります。gaitは基本的には前方への推進力ですので矢状面上の動態ではありますが、重心高位の無駄を効率化させるために前額面や水平面での微調整が不可欠になります。主な前額面での調整は、骨盤のswayとなります。そしてその時の、水平面の動態として股関節の相対的な内旋や膝の外旋、足部の回内になります。つまり回旋要素は下肢全般の関節にて前額面要素は主に股関節ということになります。
この時に矢状面においても下肢の各関節において屈伸がみられますが、仙腸関節レベルにおいてのASとinflareが伴うことで、kinematicだけでなくkineticな要素が加わってくるのです。そこが点でみた運動学と力からみた運動力学の観点の違いとなります。

⑪breathing stability
 もう一つ重要な観点としてkinematicとkineticとは別に、拡張性expansionがあります。動力源としての推進性を得るためのもう一つの重要なメカニズムになります。推進性とは別に歩行時の前方移動だけではなく、あらゆるスポーツバフォーマンスにおいても働いています。つまり主に前方への推進というのが二足直立歩行の命題となりますので、この歩行という基本単位において、まずは最も合理的なメカニズムが働くように構造的にも機能的にもできています。この拡張性は四方八方に広がっており、あらゆる方向性への転換を可能とするのです。agility敏捷性や切り返しなどの動きも本来はこのexpansionがあってのものなのです。よって手足の末梢から動く傾向にある日本人においては敏捷性が長けていると言われながら、実際のperformanceにおいては低く見えるのは大元の動力源が起動していないからなのです。

step1 太極拳の姿勢が実は最も適応となる、この拡張性を高めるための合目的な姿勢になります。しかしながら、その拡張性のための可動性を高めるのではなく、目的な制御とするならば生理的なalignmentにおけるkeepしながら呼吸にともなう骨盤輪の拡張性を繰り返ししてきます。できれば肩甲帯を広くとって上肢90°屈曲肢位をとって行います。つまり骨盤の拡張性と肩甲帯の胸郭の拡張性に伴う広がりを同期させていくのです。

stap2 生理的な前傾前弯を保持した状態にてややスタンスを広めにとって軽度屈曲位にて立ち、体幹をrotationさせていきます。この時にはリズムカルに連続性をもって行います。ビリーのブートキャンプのようなモードですね。スクワットのような上下の運動要素よりも水平面での動きにて制動力を高めていくことを目指します。

骨盤輪の固有筋群へのisolation 評価 
腸腰筋;座位にて他動的に屈曲位にし、そこから他動的な保持を解除して自動にて屈曲位をホールドしてもらう。初動からの股関節屈曲は大腿直筋やTFLなどの補助筋が参与しやすいため、関節のterminal rangeにてholdしてもらうことで目的とする単一の筋にターゲットを絞ることが出来る。スタート前に骨盤のexpansionにてより効果的に作用するようにセッティングしておくことが大切である。

多裂筋:原則的にはsupineにて確認するなどが基本だが、腰椎のhypaermobilityがある場合にはstabilizeが難しくなる。普通はleg curlにおいて動的外乱におけるstabilityは得ることで、多裂筋の活動をと脊椎分節の固定としての役割を確認することができる。しかしながらhyper mobilityがある場合にはその限りではない。このような場合には、むしろ最初から立位にてのholdから入った方が効果的である。つまり生理的な姿勢を保持して、僅かに体幹の前後傾を繰り返すことに寄って多裂筋の収縮と弛緩を促通することができる。あまり大きな可動性で動かしすぎると、固有背筋全体が働いてくるか、compertment機構を発動させてしまうことになる。

腹横筋:これも生理的な姿勢を保持から骨盤輪のexpansionにて自ずとdrawinが促され、腹横筋が促通されることになる。つまりは、drawinすることが目的ではなくdrawinそのものがある動きの必然性として働くようにすることである。それによって単一の筋群の合目的なエクササイズという陥りやすいスポットに入ることを防ぐことができる。つまりドローインが強調されすぎると、ウエストを限りなく細く保持して動くことがあたかも良いかのように論調が出てくるからである。これは腹横筋に対しては合目的であっても、必ずしも姿勢として動きやすい身体としてはマイナスに作用するからである。

腹斜筋:これも生理的な姿勢とアライメントを保持しながら僅かに回旋や側屈を促していきます。あくまで脊椎の分節的なコントロールを徐徐に拡げていくというスタンスにて行います。ダイナミックにアウターも含めて働かすことにより、体幹が安定するといったトレーニングや補強的な要素もスポーツ選手においては必用ですが、故障や障害を有している場合においては、いきなりのトレーニングモードではなく段階をおった負荷の設定が必用です。腹斜筋も本来は仰向けにてtwistさせるようなエクササイズになりますが、仰向けでは脊柱のセンタリングを保持しながらのアライメントを保持しながらのというセッティングが難しくなるので、できるだけstandingから初めていきましょう。

 ボディワークを活かすための留意点
とはある合目的な達成を目指すことにより、日常生活やスポーツ動作における自由で汎用性のある動作への転換が損なわれてしまう可能性があるのです。よってスポーツや生活動作をより念頭におきながら、併用しながらバランスをとりながら合目的なボディワークを取り入れるといった観点が必用となります。ボディーワークそのものが目的ではなく手段であるということです。ボディーワークはその哲学や理念が余りにも深いため、探求していくと限りなく道があり、ライフワークそして人生になっていきます。手段なのか目的なのか・・・その辺りの距離感がクライアントが何を望んでいるかに寄って変えていかなければいけないと思われます。
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