尾骨痛のメカニズム

尾骨は何故痛くなるのか?



尾骨痛の患者さんを、それほど沢山見るわけではありませんが、しかしながらごく稀にお目見えすることがあります。

長い臨床経験の中でも、本当に片手ぐらいかもしれません。代表的なものは尻餅をついてとなりますが、これは外傷ですのでわさわさメカニズムについて説明する必要はないでしょう。

このような外傷ではなく、イベントなく発症するタイプのものです。

いわゆる慢性外傷のメカニズムとなります。

尾骨には幾つかの靭帯が付着しており、そよ左右の靭帯のテンションにより痛みを発症します。

仙結節靭帯と仙棘靭帯になりますが、左右対称に尾骨に付着しています。

痛みを出している原因がこの靭帯にいるのならば緩めればいい!

となりますが、これでは一体何が原因かはわかりません。

硬いからほぐす!

というのは結果論であり、対症療法になるからです。

予防や自宅にて自分でできるエクササイズや注意点を求められる時代ですので、他動的に良くなりました…だけでは理学療法士の真骨頂とは言えません。

何れにせよ尾骨に痛みがでるくらいのテンションですので、かなりの不合理なメカニカルストレスがかかっているといえます。

骨盤輪を評価する時に、必ず靭帯をチェックしますが、左右差は必ずと言っていいほどあります。

しかしながら自覚症状がある人は、ほとんどいません。

ということは靭帯そのものに左右差があることだけでは、問題になりにくいということになります。

その前に何故に坐骨と尾骨にまたがる靭帯に左右差がでるのか?

というメカニズムですが、仙骨に対して腸骨の左右差が出るからです。

単純に脚長差があるだけでも、仙腸関節に歪が出ますので、坐骨には左右差がでます。

主な変位方向として、前後があります。
左右の坐骨にかかる圧は、座っていても必ず左右差があります。つまりは既に位置関係にズレがあるということです。

そして前額面からみての、左右差になります。尾骨からの距離といえば、わかりやすいかもしれません。運動方向としては内転と外転になります。

腸骨の変位にはカップリングがあり、股関節のように運動方向を面に分けて区別できません。

つまり矢状面、前額面、水平面、全ての面にまたがってカップリングしているのです。

具体的には腸骨のASとinflareおよび坐骨の外転、腸骨のPIとoutflareおよび坐骨の内転になります。

もともと仙腸関節の関節面がほとんど凹凸がない半関節であり、可動性は極めて小さいといえます。極めて強靭な靭帯や関節包にて覆われている構造体です。

よって四肢の関節のように、運動学的な分類がそぐわないことも確かです。

仙結節靭帯や仙棘靭帯が硬く短くなっている様はよく見られます。しかしながら、痛みにつながるのはどのようなケースでしょうか?

単純に骨の起始と停止が近づくだけでは、単なる短縮というだけで、そこに牽引力はかかりません。

つまり痛みが出るということは、牽引力がかかるからといえます。よって硬いからほぐすという理論では、根本的な問題解決にはならないということです。


問題の焦点はどのような牽引力が、どのような場面にて起こっているか?になります。

先ず靭帯はPI腸骨だと短縮位になり、AS腸骨だと伸張位になります。

もちろん間には正常な長さがあります。

一番の牽引力の発生は、短縮位のアライメントでありながら伸張ストレスかかかる!という場面になります。

靭帯だけでなく当然筋肉にも制動するべく働いてきます。

つまり坐骨高位において、靭帯の短縮位を保持しようとする筋肉は、大臀筋となります。大臀筋は臀部を寄せるような働きをしますが、これは下肢が閉じていることが一つの条件になります。動作やパフォーマンスとして、閉じ続けることは困難であり、開脚するような場面があると筋肉での防御の影響力は低下し、靭帯への負担が増します。

つまりこのような矛盾が生じる背景には、隣接関節のlag(ラグ)遅延!が見られます。

例えば回内足にて、足の内在筋にて制御できない。

股関節の過度な内旋によりロックしているなど、マッスルボーンの関係が崩れているのです。

骨や靭帯性にて制御しているということは、筋肉によって制御できていないということであり、そこには筋肉が関節をコントロールできていないという現実があります。

回内足にて本来は坐骨が内転方向に連鎖すべきものが、パフォーマンスとして股関節の外転により坐の開きも強要されると、そこに矛盾が生じます。

または骨盤後傾のPI腸骨において、股関節の前捻や内旋などにより、無理やり骨盤の前傾が強要されると、矛盾が生じます。

連鎖の順序としては前後はあっても、この二つの例でいえば、遅延要因であるラグは回内足と股関節の過剰な内旋となります。

筋肉→靭帯→軟骨→骨

この機序によって順序問題が起きてくるのです。

ただし尾骨においては、尾骨を保持する?筋肉がメインではなく、短縮位にあるアライメント制御できない隣接関節の連鎖が波及して靭帯に過度なテンションがかかり、痛みに波及するということです。
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