ベッドサイドのリハビリテーション⑵

頭頸部へのアプローチ

 ベッドサイドリハビリテーション⑴では「疾患特性」と「現状」について概論を主に述べました。しかし、これだけでは現状報告にすぎません。ベッドサイドリハビリテーション⑵では、運動連鎖アプローチの応用について述べていきたいと思います。

①ベッドサイドのリハビリテーションの意義
 ベッドサイドのリハビリといえばROMエクササイズ。そして四肢のROMがまず選択肢としてあがります。手足の曲げ伸ばしという表現になってくると思いますが、非常に硬くなっていることも多く、とても一日数回動かすだけでは改善をすることは容易ではありません。もちろん全く効果がないというわけではありませんが、効果検証という観点からいうと、もしかしたら最も難しい領域になるかもしれません。それだけ、我々が短時間で関わったことでどれだけの効果がでるか、ましてや持続するか?と言われると明確な返答ができないといったところではないでしょうか。
 しかしながら、我々は専門家です。例えFIMや要介護度というスケールでは測れないものであったとしても、僅かな変化や改善を見逃さない目と手にこだわること。そしてそのこだわりこそがプロなのだと思います。
 またご家族や病棟の看護師や介護士さんは、その変化や効果を日々みているがゆえにわかります。意思疎通はとれなくなっていても、きっと通じているではないか?本当は表出できないだけで、届いているではないか?そんな気持ちの部分こそが医療としての重要な側面であるということを考えると、その可能性を追求することの意味は大きいと言わざるをえません。


② ポジショニング    
 枕やクッションを観察すると、相当の圧力が身体の接地面を介して枕などにかかっていることがわかります。まずはこのクッションや枕の形状を戻して、改めてポジショニングするというところから始めなければいけません。これだけをみても、寝返りなど体動できないと、身体圧か集中してしまい軟部組織にダメージを負って褥瘡につながることを物語っています。
 ポジショニングの枕を裏表逆にするだけでも随分違います。また膝下のクッションや背中への三角枕なども、裏表変えるだけでも硬さが固定されるのを防止することに寄与できるものと思われます。
                    
③  頸部筋伸展位過緊張症候群
 では具体的にどのようなアプローチができるかを探っていきたいと思います。寝たきりの状態になっている患者さんの特徴として、まず問題となるのは頸部筋緊張になります。枕が窪むほどに頭頸部が伸展しています。もちろん頸部だけではく、身体のあらゆる部位が屈曲位に硬く固まってきます。
 第一選択として、どこがメジャーとして緊張が波及しているか?ということの目星を付けなければいけません。つまり緊張の源を絞ることで、より効果的なアプローチを施すことができるからです。運動連鎖アプローチでは結果か?原因か?ということをパルペーションにて探索していきます。つまり離れた2点間であったとしても因果関係を見いだし、そしてその因果関係の主従関係を評価していくのです。
 その患者によってメジャーの配分は違うと思いますが、頭頸部をメジャーポイントとしてみることで、より筋緊張の緩和が期待でると思います。
 まず全体像ですが、ベッドと喧嘩しているような状態が目に入ると思います。喧嘩しているというのはわかりにいくですが、身体の当たっている面とベッドが反発しあっているということです。重力下において持続的に圧がかかるということは、感覚がなければいとも簡単に挫滅してしまうような刺激になることがわかります。普段寝ているとそんな挫滅するようなことはありませんので、ピンとこないとろがあると思いますが、座っていても寝ていても我々は無意識のうちに除圧のための体動を繰り返しているのです。
 では具体的にどのようにアプローチしていくかを見ていきましょう。

④ 頭頸部に対する皮膚・筋膜からみたアプローチ〜後頭下部〜
 頭部が過伸展しているということは、改善のためには屈曲しなければいけません。では頭頸部を屈曲方向に動かせばいいか?応えはNoです。
 皮膚筋膜レベルにおいては後頭下筋群から外後頭隆起にかけての膜系は、あえて近づけるように施術します。それではさらに過伸展しまうのでは?と思われがちですが、より筋緊張が正常化してくるのが手に取るようにわかります。この原理については姿勢制御からの考察は後の章に述べるとして、膜系からの拮抗した状況を打開するということに尽きます。このあたりはアライメントを改善するための原則として、曲がっているから伸ばせばいい・・という直線的なアプローチでは効果が見られないことが多々あるからです。この原因はいくつかあるのですが、その一つとしてそのターゲット部位にかかっている力学的なベクトルが一様ではないということが上げられます。つまり一つの関節に対してマルアライメントがあったとして、それは例えば内反位とするならば外反方向にもリバースがかかっているからです。つまり、人は必ず歪むことに対しては修正しようとする作用が働くわけで、延々と変形し続けることに無抵抗なわけではないということです。その逆方向のモーメントやベクトルの双方向の割合はまちまちです。よって常に綱引きのような状態にて平衡がとれていれば変形はしないのですが、これが一方向の引っぱりが強ければ結果的に変位ということが視覚的にも観察できるようになります。その一つの現象として頭頸部の伸展位過緊張であり、その一連の姿勢制御の対応として全身の症候群として説明ができるのです。


⑤ 頭頸部に対する皮膚・筋膜からみたアプローチ〜頸胸移行部〜
後頭下部に対するアプローチはさらに近づける要領にて施術しますが、頸胸移行部はどうでしょう?頸胸移行部も頭頸部の過伸展に伴い、後彎が増強していることが観察されます。この部位も後頭下部と同じく、さらに頸椎の前弯が増強する方向に膜系ではアプローチします。つまり後頭下部と頚胸移行部を近づけるように施術するということです。反応としては後頭下部へのアプローチと同じなのですが、上がった顎が下がってくる、つまり頭頸部の伸展位が緩んでくる感覚を得ることができます。
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