顎口腔系のリハビリテーションと全身

日本全身咬合学会 第28回公開講座



本日、7月21日(月曜日)お茶の水の日本大学歯学部にて開催されました、全身咬合学会の公開講座に参加してきました。学会にはそれこそ20年前以上から入っていますが、最近は学会にも参加できていなくて久しぶりの機会となります。特にテーマがリハビリテーションということで、また理学療法士の先生が講座をされるということも関心がありました。今回は午後1の講座までしか参加できませんでしたが、簡単に報告させていただきます。

講座1「口腔機能の改善と全身の健康との関係」
島歯科医院院長 島信博先生 

富山県にて開業されている先生で、講座全体を通して解剖学や運動連鎖についての必要性、そしてリハビリテーションという概念の必要性を説かれていました。背骨や姿勢のスライドから、症例の提示において顔貌や頸椎のアライメント、姿勢の改善をレントゲンと写真にて提示していただきました。

咬み合わせは何を基準にして調整していくのか?
「下顎を安定させる」ことを指標とされているとのこと、決して構造的な基線を引いて決めているわけではなく、あくまでファンクションだということです。つまり機能的な上下の咬合力をいかに作っていくか!という視点です。
また非常に興味深い知見として、
頭位の前方変位の70%に咬合障害が認められる。
後頭下筋群の緊張→椎骨動脈の圧迫

ということです。Head Forward(以下HF)の問題は運動連鎖アプローチにおいても度々出てきます。
いわうる頭頸部の前方突出における機能障害は、胸鎖乳突筋(Sternocleidomastoid:以下SCM)・斜角筋が固定として働いてしまいます。本来であればSCFは頸部の回旋と屈曲に働きますが、HFでは伸展および固定に働いてしまうのです。伸展は特にSCMの付着部の働きを強要することになります。

・治療前後にて頭蓋骨の歪みが改善されている。
・頸椎アライメントが改善されている。
・咬合治療により頸椎の形態変化がみられる。
・10年後まで患者をフォローしている。
・運動的連鎖:キネマティックチェーンによって機能的に連結連動している。
・上行性と下降性に問題が生じてくる


普段の臨床においては、
問診票の記載・問診・触診・口腔内検査などはもちろんのこと、姿勢や顔貌など、定量的・定性的な変化も含めて初診は約2時間しっかりと診るそうです。
 
「咬合治療における身体変化」
・咬合は変化していく
・頭位姿勢がかわる
・頭蓋骨の歪み
・姿勢改善
・筋緊張改善
・咬合挙上(咬合の高さを元に戻すこと)すれば頭位の前方位は改善する


「咬合治療による効果」
•身体バランス
•自律神経
•身体機能
•自然治癒力


全身咬合とは、特定の病気を直す治療法ではなく身体の治癒能力を向上させる。


講座2「口腔機能の改善と全身の健康との関係」
日本歯科大学生命歯学部歯科補綴学科学第一講座教授 志賀 博 先生

歯科治療→咀嚼機能の回復維持をご専門とされている

平成26年度診療報酬改定
「歯科口腔リハビリテーション料」の新設:機能的に使えるようにリハビリを入れようということが理念にある。

歯がある→失う→義歯を装着
↓噛み合わせが良好
↓上手く噛める食べる
↓咀嚼機能に関する臨床研究

国民の健康、高齢化社会を迎えるにあたり、咀嚼機能に伴うQOL、未来への観点が方々にちりばめられた内容でした。その前提にたって、研究がされていることが伝わってきます。

「下顎運動検査」
パターンをみるか 安定をみるか

「ソシャク能力検査」
グミゼリー咀嚼時のグルコース溶出量の測定による咀嚼機能検査法:グミゼリー片側で20秒間グミゼリーを噛んでもらいグルコースの量を測定する。

「義歯の有無による調査」
・義歯の有無と転倒歴が相関
・義歯があるほうが生存率が高い
・かかりつけ歯科医の有無による生存率が高くなる。何故か女性のほうが高い。


リハビリテーションの概念が大切
 どの領域においてもリハビリテーションという考え方が見直されてきている。いやむしろ時代の要請だと考えていいだろう。リハビリテーションの専門家である我々が、よりリハビリテーションの理念を理解し実践していくことこそが、これからの時代にさらに必要とされる存在になっていくことになるものと思われます。
義歯は人口物なので、上手く機能しているかどうか、順応する時間がかかるのでその間は、しっかりと経過をみなければいけいないだろうと述べている。つまりその人のQOLという観点からみたときに、治療にて治る治したということによって帰結することの弊害があるのです。そのことはリハビリテーションの専門家である我々が最も大切にしなければいけないことなのです。技や知識に溺れないこと。患者の、その後のライフスタイルも含めた総合的な視点にたって、我々の提供できることを逆算して考えていくことが必要なのです。そのことを改めて実感した講座でした。
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