肩甲骨下制における姿勢制御

拮抗的な力を生み出す身体操作Ⅱ

拮抗的な力を自らの身体に生み出すことにより、人は重力という万有引力の法則の力をあらゆる運動方向に転換させるための戦略をとり続けます。
つまり、筋力偏重のパフォーマンス考察から、体幹のstabilityへと展開している系譜から、さらなる論理展開の時代に突入しているのです。

検証するべき身体技法は、いまは経験値という発想レベルかもしれませんが、トライ&エラーを個別にアプローチしていくことによる、その現場での指導において定量性という考え方が導入しづらい側面があるからです。つまり一流スポーツ選手というのは、その個体そのものが希有な存在であり、そしてシングルケーススタディそのものが多いに影響を与える存在であるのです。つまりN=1の重みが違うのです。このように一個体であっても社会的影響と競技力や成績という目に見える形になって社会的評価を得るために、そこに統計学的な科学性を求めることそのものに無理があるのです。つまり秀でたアスリートそのもののメカニズムを個別に分析することに意味があることであり、普遍的な法則を見つけるために同じ個体をいくつも揃えることは不可能なのです。

つまりどのようにしたら速く走れるか?という問いに対しては、解明をしようとはするものの、その分析結果を追随しようとするよりも、人それぞれのやり方と合った方法があるということに行き着くための結果になってしまっているということです。ウサインボルトが何故早いのか?ピッチが早くストライドが長い!という結論を得たとしても、それは一体どれだけ参考になるだろうか?
 
金メダルをとるための法則!そんな方法はほぼ無いと言ってもいいでしょう。また同じ種目にて同じ方法にて2人が取り組んだとしたら、それは既に金メダルをとれる確立が50%になってしまうということです。

スポーツパフォーマンスにおいては、あらゆる練習方法や身体操作のための方法が泡ぶくのように出てきます。その検証や是非が論じられる前に、また新たな潮流がくるのです。またその方法を検証しているスパンは、現場においてはある意味停滞を意味します。トライ&エラーにて思考錯誤をすることこそが、唯一の方法論になるからです。もちろん栄養学やコンディショニング方法、リハビリテーションなどの進歩により、格段に選手寿命が延び、より高いレベルでのパフォーマンスが実現できていることを考えると、むしろそれは最低条件として知り得ておかなければならない常識となります。

その上でのしのぎを削って勝ちにいくための先手は何か?

これは未知なる領域になってくるため、既存の文献を探っていくようなことも時には必要ですが、むしろ誰も知り得ていない方法やアイデアへのトライが望まれます。

またどのようなトレーニング方法がいいか?という根源的な方法論も大切なのですが、ダイエットブームが毎年のように変わるように、新規なものに飛びつくという脳の特性もあり、いちがいにコンセプトのみで効果が出るというものでもないのです。目新しいものに対しての期待とワクワク感が、よりその人のやる気を引き出すことになるからです。

また、トレーニング方法やコンディショニング方法が一時期モテハヤされる背景には、当然それまでにもしっかりとトレーニングしていたという前提があるのです。つまり順序効果というべき、先に何をやっていたかによって、そのトレーニングによる恩恵を得た上での、新しい側面からの加点になるからです。筋肉や運動とは手動の裏には拮抗があり、その拮抗する筋肉や固定に働く筋肉は、競技特性上刺激が入りにくい可能性があります。しかしながら、主動のためには周りのあらゆるサポートが必要なわけで、そのサポート機能は意識的に競技のみでは届かない部位にフォーカスを当てて上げる必要があるのです。

肩甲骨挙上の運動連鎖について前回述べましたが、今回は下制になります。その連鎖として下制には骨盤前傾が伴います。重心は骨盤にしっかりと安定するため、その反作用として背骨は上に伸びやすくなります。これは抗重力筋が低下したならば、逆に押しつぶされる力に作用しますが、抗する力があれば逆に適度な抵抗となって背骨が長軸上に伸びることになるのです。
 クリスチアーノロナウドをみていると良くわかると思います。

重心の安定は頸部の安定を意味し、胸郭の拡張性につながります。
この胸郭の拡張性は肩甲骨の前額面への広がりへとつながります。
本来は前額面に広がるという運動学的な表現は正しくないのですが、胸郭の拡張性に伴う肩甲骨面の前額面への近接ということになります。その結果、上下ではなく左右前後への拡張性が出やすくなるため、体幹内部にエアーバックのような空気圧ができ、躍動感のある身体を作ることができます。この躍動感のある身体は全身の呼吸に伴う連鎖となって波及し、運動連鎖の最小単位となります。この拡張性こそが背骨の上下の伸張性となり、能動的な背伸びとは違う適度な脊柱の彎曲を損なうこと無く、機能的な姿勢バランスとアライメントを獲得することにつながるのです。膨らんで伸びれば、全体的に整っていくメリットが生じるのです。
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