肩甲骨挙上における姿勢制御

拮抗的な力を自ら生み出す身体操作


肩甲骨が姿勢制御に関わっていることは、臨床においては意識することは多いと思いますが、具体的にはどのような作用を有しているのでしょうか?

肩甲骨は上腕骨とのつなぎ目として肩関節を形成しています。いわゆる肩甲骨といえば肩関節の機能ということでイメージができるわけですが、実は全身のあらゆる部位や機能は、抗重力下における平衡バランスをとるための作用を担っているのです。


拮抗的な応力を身体内部に作り出すためには、自らの身体内部に姿勢制御を誘発することが必要です。

姿勢制御の定義とは、抗重力ということは重力下ということになりますので基本的には下方向にベクトルが向いています。つまり上から下方向に引っ張られているわけです。映画などでも重力が高くなるように磁場を発生させることで、人が地面に這いつくばってしまうというようなシーンを見ることがありますが、あれは重力下において抗重力作用を働かせなければ人は立って歩くことはできないということを表しています。

また抗重力ということにおいては、両足を踏ん張って立つという要素が必要になります。そして重心や軸が、その制御の概念として表現されています。人が動くということは、コマのように何かしらの支点があって、天守閣を支える大黒柱が必要になってきます。この柱は左右均等の部位や、真ん中に位置していることが多いと思います。そして梁や壁にて補強することで、柱を中心とした安定性を高めることになるのです。

人における軸となるべき柱はどこか?脊柱というぐらいですから、正中重力線上にある脊柱が構造的には柱になっていることは間違いないでしょう。しかしながら人は動的に動くという作用を有しているわけで、動き続けながら柱としての軸作用が必要なのです。柱と軸の違いは、比較的柱は建物に使われる言葉ですが、軸は身体動作において動き続けながらも一つのラインが見えるということです。それが軸と称されるもので、じっとしている中の真ん中という意味ではないのです。
泰然自若という言葉があります。
これも固まっていてじっとしているという意味ではありません。確かに動いてはいないものの、安定感とどっしりとした腰が座った安心感を与える姿勢となります。
 この時の安定感とは、じっとしているということではなく、押されても、揺らされても安定している感じとなります。しかしながら、これは抵抗をしているということではなく、どのような外力においても対応できる安定感ということです。一方向からの力に対しての、押し返す力ではないということです。

 つまりこのような泰然自若とは、おそらく精神性も含めた概念であると思われますが、予め予測できない事態に対しての安定性ということになりますので、軸というべき何か、そして重心の安定という作用が必要となるのです。

軸とは実は身体表象における現象であると言えます。中枢神経疾患や統合失調になると身体イメージが大きく崩れのためか、物理的には明らかに傾いているという状態においても気がつかないということになります。

当たり前ということさえも脳内表象によって、実は当たり前のことではないのでしょう。既に、傾いてはいけないという固定観念なのかもしれません。

肩甲骨が挙上した姿勢はやじろべえのように、細い平均台や綱渡りするような対応方法になります。このストラテジーは確かに足先を点にすることで、末広がりに振幅を広げバランサー機能を高めることになります。

この肩甲骨挙上は挙上+外転と挙上+内転の二通りのパターンに分けられます。一般的に挙上は前傾がカップリングすることになりますが、肩甲骨を寄せて挙上位にすることもできます。
 つまり重力線があるということは、基線となるべき軸があることになります。つまり重力線に対してブロックがずれるということは、必ずそのための歪みがおこるということであり、最悪倒れてしまいます。達磨落としのブロックが崩れるのと同じで、一方に突出したら逆方向にもブロックをずらして均衡を保つ必要があります。しかしながら同じ均衡を保っているにしても、補償の連続ではこれはこれで問題です。一つ掛け違えれば、あっという間に崩れてしまうからです。
 
 肩甲骨挙上をして骨盤が前傾することはほとんどありません。試しに自分で骨盤を前傾させてみても、かなり無理感があります。つまり肩甲骨を挙上させるということは背骨がフラットになるということにもつながるわけで、前傾という動きはかなり無理な動きとなるのです。また挙上と外転位は、上半身が前方に変位することになり、そのバランサーとして重心を後方にかけるために骨盤後傾位となるのです。また挙上+内転は、骨盤の前傾がそもそも戦略的に難しいわけで、そうするとヘッドフォーワードにてバランスをとることになります。このように肩甲骨挙上に矢状面上の動きが加わることで、頭部や骨盤による補償が行われるのです。また純粋な肩甲骨挙上が遂行されたとしたならば、それは矢状面ではなく上下の対応が出現するはずです。つまり長軸上に椎間板が潰れるという姿勢制御はさすがに無理ですので、地面に押し付けられるような応力がかかることになります。その自然にまかせていれば、脊柱は屈曲という現象にて溢れ出てしまうことになります。しかしながら背伸びとして、挙上に伴い脊柱を伸ばすという戦略を同期させたならば、脊柱起立筋をはじめとする体幹周囲筋群の伸張性の収縮にて保持することになります。
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