Joint tightness

関節の遊び

長らく臨床にて患者さんをみていると、個別の身体特性を有している場合がある。関節の弛緩タイプは、joint laxityとして知られている典型例といっていいでしょう。その逆に関節が硬いというか、関節の遊びが少ないタイプがいます。柔軟性がないというのとはまた別のカテゴリーだと思いますが、表現としてはjoint tightnessということになります。

関節運動学的には関節運動には副運動があり、関節の遊びというのは生理的に共通して存在している事象だということになっています。
転がりと滑りなどのjoint playがあっての関節運動なのです。しかしながら、この関節の硬さにおいては、個人差があることは周知の通りです。何故なら、弛緩があるということは硬いという対局があるわけで、その間にもバリエーションがあるわけです。

今回話題として取り上げるのはJoint tightnessです。関節の弛緩は女性においてはホルモンの関係などによっても左右されることが知られており、前十字靭帯損傷などの発症との因果関係が報告されています。ではJoint tightnessではどうなのでしょうか?何でも過ぎたるは及ばざるがごとし、というように極端に硬いというのは、それはそれで弊害になることもあるはずです。例えば究極は関節固定術になります。完全に固定されてしまった関節においては、他の隣接関節が代償するしかないわけで、例え一分節が固定されてもその弊害は脊柱をみているとよくわかります。しかしながら大半が固定されていても、元気に過ごしている人をみると、人間の適応力というのはかなりのキャパを有しているということも言えます。

関節が硬いというと身体が硬いというイメージになりますが、私が臨床にて感じているのは関節がしっかりとしている、つまり弛くないということの肯定的な意味合いも含まれています。このような関節の遊びの少ないタイプは、確かに靭帯損傷などの問題はおきにくいといえます。特に外傷ではなく自損の発症機序での受傷は少ないと思われます。

ただし外傷などで何らかの機能障害が発症してしまった場合、遊びが少ないしっかりとした関節ということは、まさに骨のつなぎで構成されている身体特性であるため、その僅かな歪みや弛みの影響は通常とは大きく異なります。つまり絶対量としては僅かな弛みであったとしても、相対的には大きな弛みとして感じることになるのです。

身体感覚としても普通、問題にならないような関節の遊びが、その選手や患者にとってはものすごい違和感として感じることがあります。そこまで繊細なのか?というぐらいの違和感です。その違和感は尋常ではなく、大きな愁訴として聴取できます。このような個体の場合は、皮膚や筋膜からのアプローチによる変化が自覚しずらいという特徴があります。つまりある程度の関節の遊びが無いと、関節からの連鎖が波及しずらいということが言えます。

 関節の遊びが少ないということは、他の隣接関節にて代償することができないため、ストレッチなどの関節運動においても何か軌道が限定されているような硬さを感じます。しかしながら単一の関節においては正常な関節可動域はあります。しかしながら他の要素にて連動しにくいため、硬く感じるということです。つまり、いい意味での代償というものが本来関節運動にはリンクしているということなのです。ある程度の連動した結果としての関節運動がいいのか、それともより単独の関節運動が際だった方がいいのかは、難しい判断ですが、いずれにせよあまりにもstabilityがなく、関節レベルではなくブロックレベルにて代償運動がでるのは問題となります。

joint tightnessの場合はそのsensitivityが故に、大きな愁訴となって、それが心身にまで及んでくる場合があるのです。微細な歪みがわかるということにおいては、joint playもそうですが噛み合わせなどの僅かな当たりについても同様です。

つまりのところ例えば膝関節外反動揺性があるとした場合、一般的には僅かな外反動揺性であったとしても、左右差としてその僅かがあれば、その人にとっての関節の通常状態から大きく逸脱していることになるのです。

このような場合には、もともとが単一の関節における運動の比率が大きいため、僅かな不安定性やズレが関節可動域として大きく顕在化してしまいます。
 このような場合には、単一の関節に対するアプローチはほとんど功を奏しません。単一の関節固有の問題であれば尚更単一の関節へのアプローチが効果的にように一見思えますが、これがそうでもなく、かえって全身の連鎖性を同期させたほうが効果的なのです。

 つまり、実質的な関節運動だけでなく、脳における伝達も含まれているものと思われます。よって、関節運動という物理的な問題であったとしても、その関節運動が脳へのアプローチとして作用していなければ、物理的な関節運動も期待できないということなのだ。いわゆる運動器疾患であれば、基本的には神経学的ななつながりは正常であるからこそ、あたかも物理的な作用にて良くなったように思えますが、脳血管疾患であればその刺激が脳の認知機能へと結びついていることが不可避なのです。これが小脳疾患であれば、小脳への刺激にならなければなりません。小脳の場合には運動器とのつながりが深いため、筋肉への作用が顕在化しやすいのです。

まとめますとjoint tightnessの場合における機能障害は、非常にセンシティブな訴えがでる可能性が高く、その対処方法としては個の関節や部位だけではなく、全体性をもってアプローチをしたほうが有効であるということです。
そして、joint laxity の場合には個別の不安定性に対するアプローチ、もしくは、隣接関節のstabilityを高めることで改善することにつながります。
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