道場生からの質問

筋膜を介しての評価方法

運動連鎖道場15期が今年から始まりましたが、早速皆さんからその効果についての報告やいくつかの質問がきています。
そのなかの一つをご紹介して、この場にて回答したいと思います。

姿勢制御の幅を広げるエクササイズですが、
リハビリ介入において、数症例に継続的に実施したところ良い反応が見られ
患者自身にも、以前よりも楽に歩くことが出来るなどの自覚的変化があり大変効果的です。

もうひとつ。筋膜への介入ですが、筋膜の流れ自体を感じることは出来るようになったのですが、
どのような状態になった場合に「筋膜の流れが整った」と評価するのか、
筋膜の流れを整える介入の部位はどのように決定するのか、などが理解しきれておらず
臨床で筋膜の流れを整えて結果を出すということが実践できていません。


以上のような報告と質問です。

どのような状態になった場合に筋膜の流れが整ったと評価するのか?
 運動連鎖アプローチ研究会において、筋膜の流れは当初、body mappingと表現していました。つまり身体の表面は皮膚で覆われており、モアレ像をみると山の等高線のように隆起があります。もちろんモアレは凹凸の傾斜によってなので、皮膚や筋膜の流れとは少し違いますが、等高線の幅に大小あるように当然その斜度によっても表面の分布や密度はかわってきます。また山の隆起は骨や筋肉の膨隆によるものも当然あります。しかしながら皮膚や筋膜は、そういいた物理的な影響のみならず、必ず身体の左右差や機能障害による影響を受けています。すまりストレスが物理的にも神経的にも、その皮膚や筋膜の緊張そのものに影響を与える訳で、その結果、皮膚や筋膜そのものがターゲットとなって治療方法が成り立つこともあるのです。人の軟部組織には階層性があり、筋膜は筋肉を束ねた柵のようなものであり、その柵は心理的に生理学的にもダイレクトに影響をうけ、記憶をしてしまう特徴があります。
 私も長らく、積み重なった不規則な生活習慣により、知らず知らずのうちに膜系が慢性疲労状態に陥っていることに気がつきました。胃が昨年度より痛みが続いており、人間ドッグにおいても逆流性食道炎と胃酸過多を指摘されていました。原因は不規則な生活や、暴飲暴食などによるそうです。暴飲暴食はあまり記憶いないのですが、不規則な生活はバイオリズムが乱れ、ホルモンバランスを崩します。恒常性を保つためにも規則正しく生活しなければ、脳内ホルモンの切り替えが乱れてしまいます。当たり前のことですが、栄養や健康法の前に、いかに規則正しく生活をして、しかるべきタイミングにて自律神経のスイッチやホルモン分泌を、食事や睡眠に合わせるかということなのです。
 現在リカバリーコンディショニングセミナーを開催していますが、自分のことを振り返るよい機会になっています。忙しく仕事に追われることのみが人生ではありませんね。
 さて話がそれましたが、胃の痛みの話ですがもともとあまり薬は好きではないので、処方された薬は二三度飲んだらすぐにやめてしまいました。あとは胃に負担のかかる刺激物を避けて、寝る前には食べないなどの基本的なことを守ることによって改善を促すしかありません。しかしながら、なかなかこれといった効果もなく、よくなったりまた悪くなったりでした。しかしながらジャイロトニックのコース開催のために自分自身もエクササイズにて見本を見せたりする中で、最初は胃が痛くて伸張させることに制限がありましたが、徹底的にインナーを意識して合理的に身体運動を繰り返すことで、いつしか胃の痛みはすっかりなくなりました。今でも全く違和感もありません。最終的には胃カメラを飲んでみないとわかりませんが、少なくとも自覚症状は全くなくなったのです。膜系の引き攣れは、最大伸張位にてさらに引き延ばそうとしたときに単一の筋肉ではない膜系の伸張感として感じることができます。膜系の制限は筋肉とは違ってガツンと止まる感じです。
 以前、総合病院に勤めていたときに肩のバンカート法にて関節包を縫縮した患者をよく見ていたのですが、本当にガツンと止まってしまうのです。関節包というのは、短縮するとこんなにも制限が留め金とように生じるのだなと実感した次第です。自分の身体も知らず知らずのうちに、ガツンと止まる感じが左半身において顕著にでていたのです。普段の生活においては最大伸張位にて動くことはありませんので、盲点でしたし、逆に言えばこれほどまでに身体にストレスをかけていたということを思い知った瞬間でもありました。よってヨガなどで満遍なく身体を伸ばすということは、あらゆる流れを改善させることができている可能性があります。しかしながら伸張させるのも、生理的な限界を超えては弊害になります。あくまで運動連鎖にて伸張させる、連動させることに意味があるのです。またアライメントと身体機能の原理原則に則っていなければいけないのです。

「身体の中から動いている」感覚を身につけろ!
これは臨床においてある患者さんが、治療のさなかに突如涙を流しだして語った一言です。今まで固まって思う通りに動かない身体へのジレンマが長らくあったのでしょう。患者自らも努力して、そしてこちらもステージが上がるにつれて、次のステップへの課題を設定して治療のステージを可変させていきます。原則はpassiveからactive、そしてresistへの変遷を踏みます。除重力から抗重力への転換、部分から全身への転換、など書いてしまえば当たり前のことですが、そのコンセプトを体言化できる手法へのパラダイムシフトをphaseに応じてダイレクトに変えていきます。一つの方法のみでみるという方法でも十分に貢献はできますが、それはステージが違えば当然変えなければ行けません。特に高齢者においては、どうしても一気にダンスというわけにはいきません。特に医療のなかでは求められるものが違うということもありますが、実際にはその適応は混在しており、偶然にその患者さんが外において趣味的に取り組んでいることが、治療場面においても相乗効果にてよくなることがあります。それをもって治療のみの効果と言ってしまうのには語弊があります。よくなる患者さんをみていると、間違いなく自らの努力と能動的な取り組みが組合わさっています。他動的に全て良くなることはありません。楽になると良くなるは違うということです。
 
 話がとんているようですが、筋膜の流れが整うということの背景には、「身体の中から動いている」という状態になります。それは施術者には身体の奥底から湧き出てくるような、卵がいまにもふ化しそうな、中心から同心円状にて波及する躍動感を感じることができます。つまり流れとは既に偏っている訳で、その流れを超越した状態が中から湧き出る、躍動感ということになります。触っていると即座に元気であることがわかります。睡眠不足の自分は中から湧き出るエネルギーがないでしょう。調子のいいときには弾むような気持ちと実際に身体にも躍動感があります。それは動きだけでなく細胞レベルでということです。そしてその細胞レベルは呼吸循環系においても同じで、元気いっぱいの子供は溢れでる元気を振りまいています。よって筋膜として流れではなく、どこにも偏らない状態であり奥底からの内圧を感じる状態こそが整った膜ということになります。つまり膜とは物理的な流れということだけでなく、健康そのもののバロメーターだということです。
 運動連鎖ということになれば機能障害の評価の一つとしての物理的な流れになりますが、運動器に特化したものであhないのです。心理的、神経、呼吸循環、ホルモンなどのバランスそのものが表象されるということなのです。

全く膜の流れが止まっているパターンとは?
 正常な膜の状態とは、身体の中心からの圧が同心円状に広がっているイメージとするならば、その逆はどうなのか?これは不全麻痺などの一度は中枢神経から運動器が断絶された状態を経た患者さんをみると、まさに膜系が固定化されているという体験をします。つまりどちらにも流れがないという点では、正常な膜ということと同じなのですが、躍動感は全くありません。押しても引いても全く微動だにしないという状態です。特にアキレス腱、下腿三頭筋において顕著なのですが、一度スパイナルショックなどで脱神経筋に陥った場合に、0の状態からリカバリーが始まります。人は赤ちゃんから順次、個体発生としての手順を踏みながら積み上げてくるのですが、成人になってからの0からのスタートは、全てが0ではなくて部分的に麻痺の部位が0なだけで、他の器官は正常に動いているということです。そして成人は既に身体が大きくなっており、重力に対しての負担は大きいです。これが赤ちゃんとは明らかに違う点であり、成人が完全に麻痺したあとから、もしくは不全の状態から、正常なハーモニーを奏でるための抑揚を会得する上での障壁となってしまいます。
 往々にして痺れや感覚障害があると、運動器そのものは正常でもボリュームのコントローラーが効かなくなったようなものです。外国の人が日本語を話すと、イントネーションがずれているようなものです。
 このような事例の場合、実は膜系のアプローチでは効きません。階層性の筋肉の連鎖性を利用しなければいけないのです。もっと具体的に言えば深層の連鎖性から作っていくのです。単独の筋肉へのアプローチでは効果がないのです。表材感覚が鈍麻していても、確かに感覚は必ず脳には入ってはいるのですが、やはり弱いのです。ダイレクトに筋肉のつながりを息通してのアキレス腱の伸張を促すことで、鍵があいたかのように伸張性が出てくることがあります。最近、効果的であったのは大腿四頭筋の近位と腸腰筋を意識化させることによる伸張になります。 
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