重度の脊椎不安定症に対するアプローチ

脊椎の不安定性に対するアプローチ

 腰痛の運動療法が腹筋と背筋のエクササイズと腹圧から、stabilityになってかれこれ20年以上になるでしょうか。もともとはマンシェットを背部に敷いて、腹圧をかけながらお腹を凹ますエクササイズが、腹横筋への選択的なアプローチとして一世を風靡したことから、今日の体幹主体の流れになっています。
 
 腹横筋と多裂筋の連動性などが、胸背筋膜を介して棘上靭帯、棘間靭帯、黄色靭帯につながり、腰椎の配列に役立つと言われている。
 体幹のstabilityと脊柱のstabilityはお互い切り離せないものであり、尚かつ別個に考えた方がいい場合がある。
つまりは、パフォーマンス全体の安定性を考えるならば体幹のstabilityを、腰椎不安定症などの病体に対しては脊柱のstabilityと分けた方がいいだろう。
 実際には共通の概念でアプローチしても構わないのだが、単語から受ける印象が違うと着眼点も違ってきてしまうからだ。このあたりは英語と日本語では、また解釈とニュアンスが違うのでお国柄がでるかもしれない。
 coreコアーという単語は日本では余り頻用されず、体幹という言葉にてほぼ統一されているように。

 ここで取り上げているのは、重度な腰椎不安定性を呈する事例となります。重度な不安定性を呈すると、専断力を極力少なくするために骨盤をできるだけアップライトに立ち上げようとします。つまり生理的な前傾ではなく、直立にしようとするわけです。何故ならば、前傾は腰椎の前弯の延長線上にあるアライメントであり、不安定性を呈すると前方への滑りとなるからです。よって、骨盤を立てると専断力は無くなるということです。

 しかしながら、その功罪はあるわけで腰椎を守るためのその姿勢は、いわゆる腰部の丸まった姿勢を招くことになります。結果的に腰背部の筋群に負担がかかり、姿勢バランスを崩すことになります。

 stabilityとは拮抗した作用のなかでの、つり合いです。
 単一の筋肉の短縮といった類いのものではないのです。
 
 もちろん腹横筋や多裂筋などの単一の筋肉が働いていることを確認することは大切ですが、真の動けるstability、実践的なstabilityへと昇華させるべく時期に来ているのです。

 仙腸関節不安定症においても骨盤低筋の重要性を何度も述べていますが、骨盤低筋を働かせることによって仙骨のカウンターニューテーション(以下CN)を導くことができます。
 結果、そのCNを制動するための拮抗が必要となってきます。
その拮抗に、背部の筋群が階層性をもって織りなしているのです。

ここで大切なのは意識です。どのような運動形態ではなく、どこに意識を向けるかが大切なのです。そしてその意識の向けるべき部位が何処かを、的確にフィードバックできることが大切なのです。

こここらは具体的に、レイヤー別に積み上げていく手順を説明していきます。

レイヤー①
骨盤底筋プラス多裂筋
最表層の背筋は、常に緊張が高くならないようにコントロールすることが前提です。骨盤底筋を収縮すると同時に多裂筋を触診しておき、呼気に伴って意識を向けさせます。収縮といっても、意識的に明確に単一の筋肉だけをピックアップすることはできません。
それを補うのが身体感覚です。人は素晴らしい能力を与えられています。身体を意識することにより、身体内部をコントロールできる術です。

意識と感覚が補完し合うことにより、より鮮明な単一性を浮かび上がらせます。

感覚のモダリティを加重していくことにより、より脳内の表象を鮮明にしていくのです。

医学や科学は、ダイレクトに電極にて刺激を与えることでしょう。リハビリはそこにアナログならではの工夫が必要です。機械ほどに単一の筋肉の収縮はパーフェクトではありませんが、そこに感覚のモダリティを加重して行くことによる、さじ加減を学習していくのです。

レイヤー②
骨盤底筋プラス腰方形筋
これも、レイヤー①と同じ手法で、階層を一枚奥にずらしながらモニタリングします。触診により地層のような階層を感じることができますので、そのエッジをモニタリングして意識をさせます。
多裂筋を省いているわけではなく、加算していっていきます。呼気にて多裂筋、すぐさま吸気にて腰方形筋を意識します。

レイヤー③
骨盤底筋プラス大腰筋
大腰筋は腰椎の椎間板から付いているようです。
レイヤー①の過程を経て、吸気にて股関節を伸展させます。下肢は重いので、自重でもインナーマッスルにとっては過負荷になります。アシストにて負荷を軽減させ、インナーにとって最適な負荷量に調節します。
この時、腰椎が捻れたりアウターの緊張が高くなり過ぎないように気をつけます。

ステップ2
ハムストリングとのカップリング。
レッグカールにて抵抗を加えると、背筋はかなり緊張が上がります。インナーが取り付く暇もないないことも多々あります。腰背部の緊張が、急激に高まらないでレッグカールを遂行する方法は、ユックリとそして嫋やかに等張性に保持することです。緊張の手前にて、保持するのも手です。

ステップ3
次なるステップは頸部の伸展による、背筋全体のコーディネーションです。
ジワリと伝播させるイメージにて緩やかに伸展させます。
レイヤー①を前段とするのは同じです。

ステップ4
ここからは四つ這いや、両膝立ちなとのアクティビティを高めていきます。
ここからは姿勢制御とのカップリングになってきます。

ファイナルステップ
軸と芯を作り、可変性のある脊柱を作っていきます。ただし、腰椎の不安定性がある場合、ステップ3までが現実的になるでしょう。
階層性を考慮して進めることで、分厚い層での脊椎の補強になり、愁訴の改善となるでしょう。
 
スポンサーサイト

コメント:0

コメントの投稿

トラックバック:0