運動連鎖道場14期vol.4報告

脊柱のstabilityと体幹のstabilityとは何か違うのか?

 体幹のstabilityとは何なのか?固定と安定とは何なのか?固まっているということと、stabilityとは何が違うのか?
この一見、禅問答のような問いかけに帯する自分なりの明確な意見を持つことが大切です。理学療法とは医療であり、説明できることが必要だからです。時には伝えられない感覚の世界があることは間違い有りませんが、例えば医師や看護師や薬剤師が明確な返答がなく、なんとくな効くんだよねというような曖昧さがあると不安になるでしょう。結果オーライや楽なったという一言にて我々の価値判断の全てであるとするならば、それは大きな間違いなのです。
 医療としてパブリックに公聴の面前でこれが理学療法だと、そして対外的にも海外に対しても説明できることでなければ、身分保障などはありえません。小さな箱ものの講習会のための密室空間にて、結果を出す方法などと洗脳ぶってみたところで、協会の重鎮が出席したなかで同じようなロジックにて展開することが出来るわけが有りません。
 そこで大切になるのはプレゼンテーション能力です。思ったことを、やっていることを分かりやすく公衆の面前で票んすることの難しさは、公共の伝播に乗って解説している人や、大衆に対して明確に示す立場にあるはずの政治家であっても、分かりにく文言にて伝わらないことが多いことを考えると、これは一専門科としての問題だけではなく、日本人としてのスキルの課題といえるでしょう。
 よって、言い切ったり、明朗に断言できる人の話に引き込まれるのはやむを得ないと言えます。そして、誰もが深層心理に持っている、願望や思いに少しでも触れる話題であれば、完全に違うとは言えないわけで、結果的に言われてみればそういう面もあるよなという占いのレベルにて納得してしまうのです。そして、どれがより深く人生に対して悩んでいる時期やタイミングであれば、容易に靡いてしまいます。

 いつものように話がズレましたが、海老名の運動連鎖アプローチ研究所にて開催している第14期道場も合計6回のシリーズの4回目を迎えました。一月に一回の割合にて平日の水曜と金曜日に開催していますので、4ヶ月が経過したことになります。半年間という長い期間の定期開催ですので、自ずと仲間内での交流とつながりがでてきます。やはり同じ釜の飯を食った仲間というのは、いつの時代でもどこの場面でもかけがいの無い存在となります。
 

 さて10月のテーマは骨盤、腰椎、股関節です。ここで一つのテーマとしてstabilityをレクチャーしました。
体幹のstabilityと脊柱のstabilityは同じではない
 一般的には体幹のstabilityという言葉が市民権を得ている状況です。しかしながら、体幹のstabilityとは何か?という定義においては、いまだ未解決な要素が沢山あります。つまりstabilityそのものが、固定なのか安定なのか?その表記の仕方によって、全く変わってきます。固定は不安定に対しては相対的な安定となります。しかしながら、文字通り固定となると絶対量としての固定、つまり固めるということになります。
 不安定に対しては相対的には固定だが、固めることではない。しかしながらエクササイズにおいては固めるという要素があることは否めない。では固定とは微動だにしないということと同義になるのか?体幹が固定されているとは動的なパフォーマンスでは言わないでしょう。つまり体幹の安定という表現が正しいでしょう。ぶれない体幹という表現はします。特に写真などでは、動作時のある一場面を切り取って、体幹の安定してぶれない様相を表現します。しかしながら動的な連続のなかでの一場面は、連続的に変わらないわけがありません。つまりは重心の移動も速度も当然予期せぬ咄嗟の判断と動きも必要とされるなかで、体幹の筋活動が一定ということはありえません。また脊柱も屈伸や回旋を全く伴わないで、S字カーブを保持したまま、動き続けることもナンセンスです。動きの幅が大きくなければいい!ということになりますが、ではどこまでの動きであれば、量や質であればstabilityなのか?その答えは出て来ません。あるのは選手が競技成績が向上した時に、体幹のエクササイズを導入してぶれなくなったという逸話として紹介されています。選手も自覚的に、体幹のエクササイズをするようになって、プレーが安定したという表現を用いることもあります。じっとしている微動だにしないという、これも安定ということになりますが、その心は何なのか?固まっていたのでは、簡単に倒れてしまうことは明らかです。建造物が一見強固に見えるブロック壁にて積み上げられただけの建造物であれば、外力に対しては脆弱で、あっという間に瓦礫の山になってしまいます。しなるような構造をした建造物は、適度な干渉作用を有していることで、耐震が強化されます。


 体幹でいえば、その役割は背骨になります。しなるような振幅とは必ずセンターに戻ってこなければいけません。物理的には真ん中の柱、つまりbodyでいえば身体軸に相当します。しかしながら揺れるという現象は身体において、どこまでの裁量をもって可とするのか。つまり、リハビリにおける患者さんは、明らかに麻痺等により不安定になり、全か無の法則でいえば、固定のほうに軍配があがります。脊柱の手術をした場合においも、明らかに固定が選択となるでしょう。つまりその幅のさじ加減が分からないということは、無理をしないでとか様子をみながらという、かなり患者本人の裁量に任された指示になってしまいます。
 どこかで基準を設定することが、理学療法士として大切になります。
まずは制御できているということがキーワードになります。制御とはコントロールという意味にでもあり、臨床ではどのように判断するのか?またどのような状態が制御てきているということであり、どのような手順にて再現するべくエクササイズに落とし込むのか。
 運動連鎖アプローチにおいては、骨関節が筋肉によって制御されていることを前提とします。もっと具体的に言えば、筋の伸び縮みによって関節が動くということです。筋の収縮よりも骨が早く動いてしまったり、制動してしまったり、これらを制御できていないと称します。実際に臨床においては、姿勢制御の評価時にlagの状況を、徒手にて動きの加速度と抵抗感をもって評価します。確かに主観的ではありますが、臨床において最後の評価機器は我々が有している、固有受容器のセンサーなのです。そのさじ加減こそが、人の熟練という領域であり、その感覚指標が抜けるような感覚や保持できないエリア、つまりは肩で言えば、paiful arc、膝で言えばextension lagなどが似たような概念になります。もちろ肩の場合は痛みであり、膝で言えば筋の収縮不全ということになりますので、種類は違いますが、あるエリアにて抜け落ちてしまう、あるエリアにて特化した症状が発現するということになります。
 方やどんなに柱がしっかりしていても、骸骨では立つことが出来ません。やはり囲む塗り壁で補強しなければ、柱だけでは当然無理です。テンセグリーのように外郭だけで強固な構造体を形成できるように、梁の役割は重要です。
そして人の場合は二足直立ですので、真ん中に戻れる修正能力が不可欠です。テンセグリーだけでは、軸の安定という定義を満たすには足りないのです。
 安定とは軸と梁、身体で言えばその役割の中核を体幹が担うことになり、物理的には脊柱と体幹筋群ということになります。その脊柱も骨ですから、骨だけでは動きません。建造物と違うのは、柱がしなるためには傍脊柱筋の存在が不可欠になります。
 それが脊柱起立筋であり、深層の多裂筋や回旋筋などになるのです。また腸腰筋や腰方形筋なども当然、その役割を担うことになりまる。柱を囲むための留め金やダンパーは背部だけでは駄目で、当然四方にあることが不可欠です。
 
 では具体的にはどうするのか?静的なstabilityと動的なstabilityというのは、明確な線引きはありません。止まっているものが、動き出すと時にいきならいスイッチが変わって、静から動に全く違うシステムが発動するわけではありません。ストップとダッシュを繰り返すような、それも流れの中で可変させステップやターンをしなければいけない競技特性も多々有るわけです。頭で知識で当てはめるように人は動くわけでは有りません。理論とは所詮は人がある価値観にて、ある側面を切り取って体系付けしたものにすぎません。
 つまりはエクササイズとしては意識できること、筋肉の収縮の大半はコンセントリックであり、その強度はより筋肥大を促すものであればあるほどいいことになります。選択的に収縮できているかどうかは、超音波にて見ればいいことですが、確かに廃用や低下している人に対しては、強化が必要ですので収縮を促すことになります。そのエクササイズ形態は収縮ですので固めるカテゴリーになります。
 
 一番ポピュラーな方法はドローインであり、お腹を凹ますことになります。道場でも実際にそのエクササイズを行うことで、プラス背骨を屈伸や回旋が伴う時にどのような動態になるかを検証しました。そうすると大半は動きにくい、動きそのものが苦しくなるのです。
 そこで次の課題として、uprightな姿勢。直立した座位姿勢にて呼吸によって背骨を長く保ちます。ここで気をつける音は筋肉によって伸ばそうとすると、それは短縮を招くため、屈伸どちらかに偏ってしまうのです。均等に伸びるための秘訣は、伸ばそうではなく自然に姿勢制御として伸びなければいけない状況に追い込むことです。必然性を高めるということです。つまり、姿勢制御として結果的になし得たことは、必然性のある収縮形態と収縮量と収縮部位が配当されるのです。これは能動的なエクササイズによっては得られない現象になります。
 確かに動的なstabilityとしてボールなどにて四つ這いからのバランスエクササイズなどがありますが、そこからバランスを保ちながらも、動的な脊柱の屈伸などの動きのスムーズさが不可欠となります。人に寄っては負荷が強く、コントロールが難しくなりますので、課題としてのエクササイズの種類を与えるだけではなく、その質的な状態を整えることが大切となります。
 そこで吸気にて首を長く伸ばすような意識にて肩甲骨を下制させると、背骨は姿勢制御の働きも加味され、自然にのぶる方法に誘導されます。
 そこから呼気にて吐くことで、自然にしていれば背骨は屈曲し縮むことになります。そこで敢えて、呼気時にも高く保つように意識すると、本来は縮むところを長く保持するわけですから、そのためのローカルマッスルとグローバルマッスルのコンビネーションのとれた動態にて筋が促通されます。その保持には背骨の屈伸や側屈が入ってしまえば達成できないわけですので、満遍なく絞り込まれるように中心化していきます。
 満遍なく過度でもなく合目的な筋収縮動態によって、背骨の動きも妨げない、むしろより動きを邪魔しない、それでいて防御された制御された動態を体験することができるのです。
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