マッスルコンディショニングセミナーⅡ

マッスルコンディショニングセミナーⅡ報告


9月1日残暑厳しい9月スタート、大井町のキュリアンにてマッスルコンディショニングセミナー臨床応用編Ⅱの開催です。私自身も非常に勉強になりました。やはり違った角度から見ていく指標を与えてくれる、経験豊な先生からのレクチャーからは得られることがとても多いことを実感しました。内容は以下の通りです。

partⅡ.「筋機能不全、痛み、脳血管障害による麻痺への応用」
開催日 平成25年9月1日(日)  10:00~16:00 (質疑16:30) 
開催場所 大井町きゅりあん 6F 大会議室「JR大井町駅」
講師:高田治実(帝京科学大学 東京理学療法学科勤務教授,日本マイオチューニングアプローチ学会 会長)
諸橋 勇(いわてリハビリテーションセンター PT)


回の脳血管疾患に対してのマッスルコンディショニングセミナーの趣旨は、臨床においても脳血管疾患に対してどのような視点にてコンディショニングしていくかという見方が多くのセラピストが悩むところだからです。生活リハビリとして動くことが推奨される流れは否定出来るものでは有りません。何故ならファシリテーションテクニックと称して、延々と機能重視してきた弊害が際立ってきた歴史があるからです。つまり、セラピスト中心に機能障害を見させていたのでは、延々と持論を展開することで、患者さんの生活という視点の欠如につながりかねないからです。麻痺が改善したらADLもQOLも向上する!その論理はある意味当たってはいるでしょう。麻痺が完全に回復したのなら、その人の問題の大半は解決しやすくなるからです。しかしながら、現実には麻痺は完全に治ることはないわけで、ファシリテーションテクニックたるものもメカニズムの説明に終始した結果、本当に効果があったかどうかのエビデンスの構築には着手しなかったのです。目の前の変化そのものが、我々の価値であると、そう信じて疑わないのであれば、全ての理学療法士に浸透しているシステムや思考を持ち合わせていれば、それは保険点数や評価として位置していたことでしょう。
 諸橋先生と高田先生のお二人が共通して仰られていたことは以下の二点です。
①すぐに動かそうとしてしまう。つまり運動療法や動作訓練の前にやることがあるでしょうということ。
②動く前に前提としてそろっていなければいけない身体機能条件があるのだが、そこを見れていないスタッフが多い。
③そのためのコンディショニングだが、コンディショニングをするためのツールである手法やアプローチそれ単体だけでは不十分であるということ。今回は高田先生はマイオチューニングアプローチ(MTA)をご紹介いただきましたが、それだけではなく、適応と不適応があるので、そこは他の方法と組み合わせることが大切であると。

①②③は事実であるとして、では問題はどうしてこのような事態に理学療法士法が制定されて、50年近く経った今も存在しているのか?という視点での考察も必要です。

再度の繰り返しになりますが、昔は機能障害全盛の時代で障害の分類としてのICIDHは、疾病と機能障害からの一方向性でした。根源は機能障害にあるということです。よって、その機能障害に対してアプローチを探究することが、先代の我々の世代の理学療法士の使命でした、。しかしながら、個としての、ある手法の団体としての理学療法における先進性を極めることに終始したために、理学療法士としての職能という協会全体の積み上げにはなりえなかったのです。そこに、回復期リハビリや介護予防、生活リハビリ、地域リハビリテーション、IADL、ICFという概念が世の中の流れに沿って出てきたことで、我々が某表としていた職人としての優位性という価値観とズレが生じてきたのです。
 その反省もあって、現在の協会の学術の視点は、テクニカルな団体間の権力争いの場にならないように、一切の極みのカラーを排除するというランディングに至っています。つまりは、寿司職人の力量に差があるように、誰もが職人としての極みを目標にします。しかしながら、その極みは極みであって、誰もが極められるわけでは有りません。大衆社会となって大量生産消費時代にあって、コアーなファンに対しての極みは勿論不可欠ですが、業界全体の底上げとは別の話なのです。
 職人の握りが堪能できるお寿司屋さんもあれば、スシローやカッパ寿司のように回る寿司もあります。どちらが消費や経済を回しているかといわれると、おそらく回る寿司でしょう。その回る寿司もシステムによって、味もネタのレベルも我々であれば十分のレベルです。それ以上の美味しいお寿司よりも、食べられる、安さにて、軍配は回る寿司になってしまいます。
 回る寿司は臨床でいえば、エビデンスとなります。アメリカなどの民主主義の自由競争社会の最たる所は、誰でもできるようにシステムにて構築しようとするところです。おそらく合衆国ならではの、価値観の多様性がそうさせるのでしょう。
 向上と上達、その意識の高さが理学療法士の持ち味です。しかしながら、その向上心も何のためにという観点が求められています。オリンピックがある国では生活の糧と将来の安定のためであるように、まだまだ日本ではオリンピックという崇高な目標に向かって、その先の生活や名誉ではない心の文化があります。
 
さてマッスルコンディショニングセミナーに戻りますと、お二人の先生に共通していることは、触り方ということです。それは祝先生にも同じ原理への到達があります。触り方のさじ加減。本来理学療法には触診というのは解剖学的な触察という観点があります。それはあくまで解剖学的な骨であり筋肉を構造的に正しい位置で触れるということです。しかしながら、正確に触れなければいけないことは確かですが、生きた人間です。どのように触るかによって、反応が違ってくるのです。整体やカイロプラクティック、オステオパシーなどではその触り方そのもに文化があります。つまり生体と会話するタッチング、反応を引き出すタッチング、受動的な触り方です。理学療法では探索する触り方というのが常識です。しかしながら、生体の刻々と変わる変化をモニタリングする触り方というのが、他の職種のセラピストにはあります。
 よって、あくまで解剖や生理学といった基礎からの触り方は、解剖学的な触り方に始まって、生理学的な効能からの触り方が独自な視点となるのです。

 その有力な効果についての理論背景が
⑴ゲートコントロールセオリー
 皮膚節デルマトーマ
 デルマトーマオーバラップ
⑵交感神経活動の抑制
⑶α運動ニューロンの抑制
であり、手技は触圧覚刺激になります。


解剖学的な手技としての理論背景
⑴筋膜
⑵筋連結

などになります。そこにさらに触圧覚なので皮膚が入ってきます。
他にも脳への刺激による、修復のための自動性。
脳内のプログラムの賦活による運動連鎖の促通
などが効果機序として考えられます。

いずれにせよはっきりしていることは、脳内や生体内で起こっていることは施術のリアルタイムには分からないということです。分析すれば多くの効果が検証できると思いますが、それは触るということ、刺激を与えるというこにおいて日々起こっていることなのです。それがバランスを崩したり、オーバーワークになることで障害となって出てくるのです。

 今回のマッスルコンディショニングセミナーにおいては、生理学や脳科学からみた分析の効果などが明らかになってきており、よって先ずは試してみる。改善が無ければ他のメカニズムが働いているという、スクリーニングに使うことです。ただ欠点としては、どのような機序によって障害が起こっているかという検証は、施術をしてみて反応の善し悪しによってのみつけるしかないということです。
 そのあたりは一つ一つ潰していきながら、原因と結果によって検証していく作業が必要なのです。
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