触診とは何か?

運動連鎖からみた触診とは何か?

今まではさらっと流してきた触診について述べて行きます。
反応をモニタリングする触り方は、運動連鎖アプローチにおける、絶対的なベースとなります。


この写真は側頭骨を例にとった説明です。頭蓋骨や仙腸関節など、動きの少ない部位はどのように変位をきたしているのか?
それは、変位のある方向にモビリティがある!という原則にそうことです。
これはどういうことかというと、動きは小さくても、僅かながらに可動性はあります。その可動性は仮説として二つの方向性が考えられます。
仮説1 変位と逆方向にモビリティがある。
仮説2 変位の方向にモビリティがある。

微妙な触感のなかで、この判断は大切です。なぜなら、機能障害の論理的背景の根底をなすからです。
正解は既に述べましたが、仮説2になります。ということは、モビリティの無い方向に誘導すれば、機能的な改善が認められる!と、断定したいところですが、実はそうも単純ではないのです。
何が単純ではないかというと、簡単に変位の方向とは逆方向に動かして改善するならば、深刻な機能障害になることはないからです。

また逆方向に施術をして、恒久的に治癒するということもありません。一時的な改善は、いくらでもできますが、それが効果の持続に結びつくことはなく、返ってリバウンドを起こします。

もし一時的に戻るとするならば、それはかなり強い刺激である可能性があります。そうすると、周りの環境が連動して、元のままとどまっている状況にある場合が大半であり、改善させた部位とぶつかってしまうのです。

変位を戻す方法はいくつかのパターンがあります。
⑴変位のベクトルと真逆に直線的に戻す
⑵敢えて変位を助長させる。
⑶変位のベクトルをXYZ座標に分けて、一軸のみを戻してみる。

⑴についての弊害はすでに述べました。但し、急性期にて組織的な破壊が少なく、何らかの外力にて変位が生じ、軟部組織の歪みレベルの機能障害により痛みが起きている場合は、スラスト的な刺激にて改善が認められます。あくまで急性期としたのは、明確な誘引がなく退行性変性疾患のように、長期な経過による機能障害の場合は、適応にならないのです。

⑵敢えて変位を助長させるというのは、一見逆説的に見えます。しかしながら、実はそうでもなく、元々変位とは総ての応力が一方向に向いていることはありません。綱引きのように引き合っている結果、力が強い方向にモビリティがあるのです。つまり、生体には恒常性があり、元に戻ろうとする作用が働いているのです。
このように引き合いが非常に強い場合は、敢えて10-0にするべく変位方向に助長させます。そうすると脳内のイメージが引き合いではなく、一方向に修正されるため、クリアーになるのです。クリアーになったイメージは、次に生体はもとに戻ろうとする力を呼び戻すことになるのです。

基本的に生体というのは、物理的な力で直すといような建物ではありません。生きた人間は、ブロックや無機質な物体ではなく、有機的なあらゆる複雑系システムによって成り立っています。
生体を外力によって戻すというのは、外科的な悪いものを取り除く、付け替えるという医療と、我々のように保存的な視点においては、多様なシステムの中での治癒作用に期待するというスタンスなのです。おおよそ治すとは、程遠いニュアンスてある、理学療法士が行う、治癒を促すために刺激を入れるということなのです。

生体の表層である皮膚に刺激を入れることで、先ずは変位方向に引っ張られます。そして、次に戻す方向に方向転換します。そのことがパルペーションの中で、明確に感じられます。
但し、このような手当のレベルのタッチングは、セラピューティックタッチとしてセラピストの基本となるものです。ここから、機能障害のレベルと種類によってさじ加減が決まってきます。

そこででてくるのが⑶になります。手当レベルでは、診断名がつく患者は追いつきません。逆方向にベクトルを戻すのではなく、手当よりも一段上げた方法として、ベクトルを分けて施術をするのです。

このような、仮定を経て一見、何も動かしていないようで、実はその刹那に多くの情報処理をしているのです。
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