運動連鎖 札幌報告

骨盤帯の運動連鎖アプローチ

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仙腸関節不安定症という、機能障害としては急務を要する、課題に対する使命を理学療法士として日々感じていますが、今回、札幌にて7/27、28日の二日間、第二回目となる道場が開催されました。
 仙腸関節は主に徒手療法の対象として歴史的に発展してきましたが、ロコモティブシンドロームという昨今の医療課題を考え合わせると、動的な機能の解明が急務となります。
 つまり硬い、動かないものを施術によって解すという考えではなく、不安定性のある骨盤輪をいかにstabilizaさせるかという命題を突きつけられています。
 体幹の安定性や固定性については、既に多くの知見や方法論が散見されますが、実は骨盤の安定性や固定性については、体幹と全く同じというわけではないのです。
 つまり、体幹のstabilityは骨盤にも当然プラスに働きますが、体幹のstabilityを高めれば、骨盤のstabilityが得られるわけではないということです。つまり骨盤のメカニズムに応じたコンセプトのロジックが必要なのです。
以下に列挙していきます。

①正中重力線と骨盤の前後傾
 骨盤は正中重力線に対して、主に前後傾どのように傾いているかという視点が大切です。何故なら、仙腸関節の解剖学的な形状をみると、その重力線からの傾きによって、剪断力が変わってくるからです。仙腸関節は軽度前傾位において前開きのやや上向きの関節面を呈しています。つまり、物理的なポジショニングにより、仙腸関節の固定性や支持性は左右されるということです。つまりは、仙腸関節の剪断力が働きやすい、仙骨の直立位は極力避けなければならないということです。仙腸関節は筋肉によって連結されているわけではなく、靭帯によってのみ接続されています。それでいて、動的に機能することが求められています。
 よって重力線と仙腸関節の関節面が揃うということは、体重が直接仙骨底にかかることで、靭帯にもろに負担をかけ靭帯の脆弱性が高まることによって、仙腸関節不安定性が生じるのです。

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②腰椎不安定性に伴う仙腸関節変位
 腰椎不安定症に対しては、仙腸関節は独特の適応をみせます。つまり必然性のある適応として、意図しないなかで脳が指令を出すのです。痛みがあるからかばうという姿勢も、痛みからの回避というある程度自覚している適応と、関節レベルの自動的に行われる営みがあるのです。腰椎不安定症は大半は前方への辷りが問題となります。よって重力線に対して前弯位ということは、剪断性が働いてしまいます。よって、物理的に適応するためには、どうしても骨盤を直立位に適応させる必要がでてきます。それだけでは後方に重心がかかりすぎて直立位を保持することが、過剰な労力となるため、仙腸関節のレベルでも骨盤の直立位に伴う後方重心化を補正するための変位がみられてきます。具体的には過剰はPI長骨ですが、座骨が前方に滑るタイプの座骨が屈曲位ともいうべき位置になります。
 S2のレベルにあるPSISから座骨までが過剰に屈曲しているため、仙骨が浮き出ているようにも見えます。つまりは腰椎から骨盤帯全体が円を描くように適応するのです。実はそのまま上体が前傾しても腰椎は前方辷りが助長してしまうので、どうしても腰椎を後方に突き出す必要に迫られてくのです。

③三次元的に仙腸関節変位を評価する方法とは?
 仙腸関節を評価するにあたって、最も難易なのはmobilityレベルにしか動かない仙腸関節という特性です。関節とはいいがたい、どちらかというと結節ともいうべき仙腸関節は、未だに動く動かないで議論にもならないほどに一蹴されることもあります。いずれにせよ、出産に伴う開閉やホルモンに伴う弛みがあることは周知の事実であることを考えると、あとは定量的な測定機器の開発を待つしか有りません。しかしながら、その膨大な開発にともなう時間と経費を考える前に、現実的にそのロジックにて臨床にて還元することのほうが何倍もの意義のあることでもあります。
 さて一般的な評価方法としては、皮膚筋膜のレベルでの歪みをパルペーションして、そのテンションを評価することによって推察するという方法になります。また呼吸を同期させることによって、仙腸関節という微々たる動きをデフォルメすることができます。
 より呼吸が制限されない、快適さをもって動的な動きから変位を推察していきます。またこの時の評価指標としてはmobilityのある方向に変位している!という関節のmobilityから推察する変位の法則を原則とします。

④仙腸関節を呼吸とパルペーションによってどのように誘導改善するか?
 では評価ができたとしてどのように改善するのか?スラストを伴う徒手的アプローチの場合は、三次元的な変位を戻す方向に刺激を加えます。もちろんその時に関節に軸をつくるように支点を作り、非生理的な動きが入っていることも確かです。運動学的なカップリングモーションに準じた動かし方はmobilizationであり、スラストの場合はそこに支点を作るための末梢と中枢分節に対する固定性を作ることになります。このような三次元的なアプローチは、スピードと低振幅の動きの幅が必要となりますが、受動的な呼吸と脳内の自動的な修正能力による作用を導きだすためには、モニタリングするというパルペーションテクニックが必要となります。
 またこの三次元的な変位の一つのベクトルを抽出することで、結果的に三次元的に最も効果のある誘導を選択していきます。その反応も含めて触診のなかで選別していくのです。

⑤仙腸関節機能と軸
 運動連鎖道場札幌において足〜膝から今回は股関節と骨盤に至る流れですが、部位別という観点ではなく、全ては抗重力に統合されるためのシステムなのです。ロコモティブシンドロームという考え方を踏襲するためには、既に抗重力下における効率的な身体操作方法がベースとなる必要が有るのです。その一つの観点として軸になります。軸とはあくまで脳内にできる表象となりますので、物理的な部位や部分を指すものでは有りません。何故なら、人間は左右対称に筋骨格系があるので、物理的には確かに脊柱を中心としたあたりと、身体感覚が一致することは確かです。しかしながら、どんなに解剖をしても脊柱から軸がでてくるわけではないのです。
 左右対称における左右からの感覚入力の入流が脳梁を介した脳内にて統合された表象が軸となります。その軸は姿勢制御の自由度に相関しており、その自由度の幅の情報によって、さらに軸の機能、つまり元に戻れる機能の促通となるのです。
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⑥前額面の軸と股関節
 前額面を司るstrategyは股関節と脊柱になります。よって新体軸と言えば前後もありますが、どちらかというと左右の対称性が大きく影響しているように思います。前後の軟部組織は対象ではなく、矢状面の拠り所については、感覚入力による整合が難しいと思われるからです。よって矢状面については身体の使い方といった視点が必要であり、前額面においては左右対称による感覚入力が大切であると思われます。前額面については、人間が二足直立方法になった時点にて、新たに獲得した機能と言えます。前額面にて二足直立において制御するという新たな命題は、軸という新たな身体感覚を有することにもなりました。また四つ足であれば四点の中心という観点にて軸とはまた違った感覚ではないかと思われます。
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札幌での道場は16名の参加者で開催されています。皆、多くの勉強会に参加したセラピストやインストラクターが集っており、それだけに統合と解釈、そしてこれから進むべき指針を示していける道場に育てていければと思います。
できるだけ臨場感のある、臨床のイメージが湧く、それでいて信じるべき理念と原理原則をベースとした内容にて進めていく予定です。あらゆる手法や方法の統合と解釈を目指す運動連鎖アプローチ!乞うご期待!

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