再生医療とリハビリテーション

再生医療とリハビリテーション

 山中教授のノーベル賞受賞において、IPS細胞による再生医療が一気に注目度が上がっています。もともと相当な話題性はあったわけですが、多くの関係者がさらに認識するところとなりました。

このような時代と社会情勢のなかで、ノーベル賞受賞という世界的にも誇れる話題が出てきたということは、日本人にとっても良いことだと思います。政治的なドロドロとした話題や海域における問題などは、まさにどう出し抜くかという駆け引きのようなものです。そうでなく、純粋に未来志向における話題として提供してくれている希望になります。IPS細胞における再生治療はこの先世界に先じてリードできる分野への可能性を秘めており、そして特許をしっかりととって知的保有権を守るということにもつながります。

 再生医療が応用されて臨床成果となって表れるのは、おそらく10年~20年という年月がかかるとと思われますが、リハビリの世界においても間違いなく変わってきます。難病と言われる病態の治癒や脊髄損傷の麻痺の回復など、おおおよそ夢のような世界が広がっています。再生医療の前ではリハビリテーションはますます介護職としての認識と役割になってくる可能性があります。
 私が鹿児島の全国研修会前の士会長会議に参加した帰りのタクシーの中で、
タクシーの運転手「何のお仕事を?」
私『理学療法士としてリハビリの仕事をしています』
「理学療養士?」
(療法士だけど、まーいいか。心の声)
「介護士さんと同じようなもんだよね」
『・・・・』
「介護士とどっちが難しいの?」
というような話の展開でした。別段否定する話でもないので、聞き流していましたがリハビリや理学療法が治療というよりは介護という認識に傾くのはある意味時代といっていいでしょう。
 
 再生医療などの最先端の医療にどのように向き合っていくかを考えなければいけません。
たとえば麻痺が回復するということと、実際に動けるということとの間にはリハビリが必要です。
つまり全く動かなかったMMTでいえば0だったものを上げていかなければいけません。つまり再生医療は神経と筋肉まではつないてくれはするものの、その後の正常な筋バランスと動作への展開は間違いなくリハビリです。
具体的にはMMT1~2まで落ちた人をどのような手順にて構築していけば正常なバランスに戻せるのか?ということがテーマとなってきます。
今でも神経は回復していそうかだけど、積み上げていくことで筋力を回復させることの難しさは不全麻痺の患者さんで経験します。
 不全麻痺も回復途上にある場合、麻痺のためにこなのか?それとも神経は十分に回復してはいるものの廃用性による筋力低下における問題が顕在化しているだけなのか判断に苦しむところがあります。神経伝達速度を測定するなどの方法になるのかもしれませんが、麻痺がなくても筋力低下してしまった人のリハビリは難しいと言わざるを得ません。

人は代償という能力を持っている
 ここで問題なのは代償能力になります。人は代償という能力があるゆえに自然界において命を長らえる術を身に着けています。代償とは一つや二つの機能が失われても、他の機能にて補えるというものです。
 だからこそ麻痺やけがをしても、正常な歩容ではないものの歩くことができるのです。その代償動作のやっかいなところは、本来問題となっている部位に負担をかけないということにもつながりますが、つけたい筋肉を使わないでも動作遂行してしまうということなのです。よって歩けば筋力はつきますか?という問いかけをうけることが多いですが、これはNOという答えが正しいでしょう。

 つまりは神経が再生しても、その後の正しい順番での負荷を用いなければ、正常な動きにまで構築されないのです。ここでもう一度発達に照らし合わせて考えていくと、成人における再構築のむずかしさが分かってきます。
①子供は赤ちゃんから小さな身体から徐々に成長していく。(体重による漸増負荷)
②寝返り起き上がりなどの基本動作の獲得。(抗重力における漸増負荷)
③多様な遊びを通じての身体づくり。(自由度の獲得)

大人つまり成人の問題
①いきなり二足直立歩行するという前提
②体重が重い(子供に比べて)
③日常生活動作にて身体を使うバリエーションが限らている(とんだり跳ねたり。体育授業もない)

よって筋力がほぼ0から再構築する上では、細かい筋肉を一つ一つピックアップして促通しながら、それでいて過負荷と疲労を考慮しなければいけない。細かい筋肉は成長発達の手順を踏むことで構築されるが、大人の場合はいわゆる筋力強化となってしまい、既存のエクササイズでは不十分と言えます。おそらく正常発達における赤ちゃんの動作獲得の模倣がプログラムとして入ってくるもかもしれない。しかしながら全身を万遍なく発達させる子供と違い、大人は片麻痺などの部分的な低下であり、正常とそうでない部位との混在になる。そこか正常発達の運動パターンというステージに上ってきにくいと言える。
 いずれにせよ、今からどのような可能性があるかを探っていくことは必要であると思われます。それが未来にむかって理学療法の進むべき道を開いてくれることになるのです。
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