運動連鎖道場Ⅰ-①

第一回運動連鎖道場開催報告

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2008年2月3日の日曜日に雪降る中で第一回目の開催となりました。あまりにもの降雪でこれは開催は延期かなと思ってしまったほどでしたが、皆さんしっかりと来て頂きました。ご覧のとおり運動連鎖アプローチ研究所は一室の中ですので狭いです。よって人数は6名と限定しています。第一回目は運動連鎖をみるための触察法です。筋膜の流れをみながら立位のままで状態を変えていく実技をしました。立ったまま?と思われる方がいると思いますが、結果的にいえば同意が得れられば立位でのアプローチが最も最短で状態を変化させられる肢位となります。もちろん患者が長く立っていられないなどの条件や、立ったままの治療に対する
認識が無いということなど、あくまで実験的な講習会ならではの試みです。しかしながら座位でのアプローチがボバースやマリガンなどで盛んにおこなわれているように、それはメリットがあるのです。たまたま座位や立位でアプローチしているのではなく実際に抗重力下で暮らしていることを考えると最もその人の状態を表しているのが立位なのです。地面に着いているということは、オープンな臥位とは状態が大きく違ってきます。また足の裏からの情報にて姿勢制御がフィードバックされることを考えると、足圧の分布の変化が必ずあります。クローズでのアプローチは既に姿勢制御へのアプローチも自然に加わっているため、オープンでのアプローチに比べ手間が一つ省けているのです。よって座位でのアプローチが脳血管疾患においては多用あれるのは立ち直りなどが身体の変化に伴って自然に行われるからなのです。また筋肉の起始停止も立位と臥位では逆転します。臨床経験を積まれると気付いているとは思いますが、一般的なMMTにおける起始停止の筋作用とは実際の姿勢制御に伴う使われ方とは大きく違います。このあたりの解釈ができないと、ROM制限は拮抗筋の短縮という単純なロジックで判断をしてしまうことになります。よってアプローチは拮抗筋のストレッチでは当然良くなりません。理論的には一見間違っていないのですが、効果が無いということは根本的にROM制限の考え方そのものが違っているのです。
 実際に参加者の中に一週間前にむち打ちにて背中を痛めている方がいました。触られるだけでいやーな感じが伝わってきます。実際に筋膜の評価をしても全く反応が無い状態です。反応がない場所を無理やり施術すると間違いなく悪くなるかリバウンドがおきます。このような反応の無い場所にはアプローチをしてはいけません。その上下の反応のある部位から攻めていく必要があります。実際に左腰部のstabilityが低下もしていたのですが、上位頸椎の変位をただすことでstabilityは改善し、背中の反応が戻ってきました。最終的には肩コリも軽減し軽くなってしまいました。施術はただ触っているだけなのですが、問題はどのような順番で感覚入力を入れるかにかかっています。感覚入力であれば日常的にあちこちに入っているのですが自然に治ることはなかなかありません。若者であれば自然に治るので身体感覚はかえって鈍感なのです。ようはそのポイントが効果があることを認識してもらうことにあります。
本人が差異を自覚し納得することで治癒機転が始まります。写真でも傾いていても自覚できなければ直りませんよね。人に言われても普段自覚ななければ、また困っていなければ尚更です。しかし何らかの感覚のモダリティーを介して自覚しそして改善することがわかれば、脳は自然に治癒機転に入ります。よく脳へのアプローチと言われて久しいですが、まだまだ運動器疾患では認知運動療法以外においてはあまり脳にアプローチしている自覚はありません。しかしながら、このような筋膜の流れをみて、施術の順序性を計画することで少ない侵襲性にて大きな効果を期待することができます。これは、明らかに感覚入力による脳への治癒機転を促すアプローチになります。実際の臨床においては明らかに局所の変性や筋委縮などの問題があることも多いので、全身のアプローチのみでは無理ですが日常的な一般健康人の不定愁訴に対してはこのような発想の治療でなければ対応できません。何故なら、高齢者ほど退行性変性はしていないし関節の拘縮もないないからです。局所の問題でも全身へのアプローチをしないと良くならないのが一般健康人の特徴です。いわゆるOLの肩コリなどは典型的な例で、肩コリが治らないとされている常識はある意味間違いといえます。全身の関係性をみて治療計画を立てることで確実に改善します。その場限りではなく少なくとも数週間は効果が持続します。目標はセラピストに信用されるセラピストということになります。職場の同僚ほど頼りにならない存在はありません・・と感じたことはありませんか?どこどこが痛いといっても「それは緩いからだね」などと周りはコメントに終始するのみで、全く親身にもなってくれません。患者は治せている?ように感じているが、なぜセラピストやサラリーマンやOLの肩コリや腰痛は不得意なのか?あまりセラピストは自覚していませんが、PTは若い患者の治療ではあまり効果がでていません。高齢者の患者および手術後の患者が多いので気付いていませんが、一般健康人を相手にしたときには対応に苦慮することになります。ルーチンとして運動指導などはできても本当に良くなっているかどうか?を追跡すると間違いなく良くなっていません。ここが弱いから・・・と指摘して終わっていては、結局は何もやっていないのと変わりません。ニーズがその場で良くなってできるだけ簡便な方法で持続できる方法を望んているのですから、その場で効果がでるかどうかもわからないキツイ運動療法やストレッチをやるはずもありません。フリーで活動していると結構、最後まで追跡することができるのですが、かなり気をつけているつもりでもリバウンドがでていたり、運動が継続できていなかったりと、病院にいるときにはフィードバックされていないことが次々に明らかになることがあります。病院にいるときもそれなりにやっていたつもりでしたが、実際には問題も多々あったのかもしれません。患者は病院という箱の中では医者に対してと同様、言いたいことはあまり言えないのかもしれませんね。
第一回目のテーマは全身をイメージして局所を観るというスタンスの習得でした。
第二回目は運動連鎖からみた足底板療法を行います(ハサミ持参でお願いします!)。
第三回目は頭蓋運動連鎖です。
第一回目で全身をイメージできる技術を身につけ、最も効果が高い足部と頭蓋の身体の両端へのアプローチを覚えることで全身のコンディショニング技術を習得することがきます。これによって、ほぼどのような愁訴の患者が来たとしても、治療コンセプトは揺るぎないものとなります。ほぼ万人に対して何らかの効果が期待できる治療ベースとなるのです。
 また足と頭蓋からみることで、身体を上からみた場合、下から見た場合どのように見えるかもトレーニングしていきます。身体をあらゆる切り口よりみるトレーニングをすることでスイッチの入り方を練習するのです。知っている・・ではなくチャンネルをどんどん変えて見れるトレーニングをすることが臨床ででは不可欠です。患者の知識や情報は日々進歩しています。一般人の認識が変われば我々も変わらないと良くならなくなります。知ってしまったからにはもうその価値観は捨てることはできません。骨盤の歪みという発想は一般的に誰でも知ることとなりました。そうだと思ってしまった患者にはそのアプローチをしなければ治りません。昔は三角筋と僧坊筋の名前を知ってるだけで専門家でしたが、いまでは小学校の教科書にものっています。認識がかわれば身体感覚も変わりますのでアクセスするモダリティーはどんどん進化させなければいけません。社会の変化を感じ取って、そのニーズに答えていくことです。病院にいるとどうしても自分の興味と知的好奇心から患者をみようとしてしまいますが、世間は相当のスピードで進化しているので学術的な知見の探究やエビデンスのスタンスを持ちつつも、一つのこだわりに長くとどまっていることのないようにしましょう。医師であれば、まだ手術という最先端医療の保護がありますが、PTは身体運動という業務独占があるわけでもないあらゆる分野とかぶっているところにいるんだということを自覚し、柔軟な姿勢を持ち続けることが大切です。
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コメント:3

TAICHI
先日は大変お世話になりました。
前回学んだ事をさっそく臨床で役立たせて頂いてます。なかなか膜の流れをつかめないときもありますが、自分の評価した通りにアプローチし結果がでたことも体感できました。抗重力位での勝手に起き上がってくる反応なども感じることができ自分で言うのもなんですが臨床においてワンステップアップした感じがあるます。
まだまだ確実ではありませんが少しずつレベルアップしていきたいです。

芹澤 誠
先日の研修会は非常に有意義なものになりました。臨床で使わせていただいていますが、たいしたことをしていないのに(まだまだ時間はかかっていますが)今まで治療結果が思わしくなかった患者さんたちが明らかに良くなっていくので、びっくりしています。
今後はより精度を上げていくことと、いろいろな連鎖を見つけられるようにしていきたいと思います。

aoki
先日は大変有意義な講習会をありがとうございました。筋膜の評価を通して身体のいろいろな状態が理解できることが解りました。触察の技術を身につけ、自分の手から受ける反応を大事にしていきたいと思います。次回の足底板療法も楽しみにしていますので、よろしくお願いします。

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